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この夏も厳しい暑さとなる予想で、熱中症等の健康管理や農作物の温度管理には十分注意して下さい。また、梅雨や台風シーズンは目前まで迫っています。

大雨への備えを万全にしておきましょう。

気象台発表の3か月予報

北陸の夏 エルニーニョ発生予想も 過去の常識が通用しない猛暑・短期的な大雨に注意

5月23日、新潟地方気象台は、北陸西部の福井・石川・富山と北陸東部の新潟の4県を対象とした「北陸地方の向こう3か月の天候の見通し」を発表しました。そのポイントは「暖かい空気に覆われやすいため、向こう3か月の気温は平年並か高い。」ということです。

その背景には、
①地球温暖化の影響等により、全球で大気全体の温度が高い状態が続いている。
②冬に終息したラニーニャ現象の影響等が残るため、チベット高気圧は東側で強く、西日本や沖縄・奄美に加えて、東日本(北陸地方)も暖かい空気に覆われやすい。ことがあげられます。



また、降水量に関して、太平洋高気圧は、日本の南で西への張り出しがやや弱く、日本列島には高気圧の縁を回って暖かく湿った空気が流れ込みやすい時期がある予想となっています。近年は、短時間強雨の頻度が増える傾向にあり、今夏も大雨への十分な備えが必要となりそうです。

エルニーニョ現象下の北陸 過去の実況では夏の気温は低い傾向だが?

北陸の夏 エルニーニョ発生予想も 過去の常識が通用しない猛暑・短期的な大雨に注意

5月12日、気象庁から発表されたエルニーニョ監視速報によると、今後、夏までの間にエルニーニョ現象が発生する可能性が高い(80%)予想で、規模の大きいエルニーニョになる可能性もあるとしています。

今夏は、ラニーニャ現象の影響が残る中で、エルニーニョ現象が発生する可能性が高いということです。これは、自動車のアクセルとブレーキを同時に踏み込んだような状態が続くのも同然で、地球温暖化が続く中、長期予報を難しくしそうです。

まず、1951年~2022年までの夏の期間(6~8月)について、エルニーニョ年、平常年、ラニーニャ年の三つのカテゴリー毎に分けて、北陸地方の気温等の傾向を調べました。



その結果、福井・金沢・富山・新潟の4地点ともに、エルニーニョ年の平均気温は三者の中で最も低く、最高気温が35度以上の猛暑日も最も少ないことが確認されました。日照時間についても同様の傾向となっています。

反対に、ラニーニャ年の平均気温は、4地点ともに最も高く、猛暑日日数は最も多くなっていることが確認されました。

地球温暖化により気温のベースが高い中、冷夏傾向となるエルニーニョ現象が今夏発生しても、その影響が数カ月遅れて現れる場合には、猛暑となることも予想されます。今夏も熱中症などの健康管理や農作物の温度管理に十分注意が必要となりそうです。

エルニーニョ現象下の梅雨の日数や降水量は?

北陸の夏 エルニーニョ発生予想も 過去の常識が通用しない猛暑・短期的な大雨に注意

1951年からの統計で、梅雨の日数が最も長かったのは、1956年(平常年)と1991年(エルニーニョ年)でともに65日となっていました。

梅雨の平年日数は42日ですから、かなり長かったことになります。3位~5位には、いずれもエルニーニョ年がランクインしおり、カテゴリー別の梅雨の平均日数は、エルニーニョ年が最も長く44.9日となっていました。
(過去、北陸で梅雨明けが特定できなかった、1993年、1998年 2009年、2022年の4シーズンは、梅雨明けが特定できない程大雨が頻発し、雨のシーズンは65日を超えて更に長いという解釈もできますが、エルニーニョ年、平常年、ラニーニャ年の全てが含まれており、カテゴリー別の平均日数の計算の対象から除外しています。)

一方、4地点の夏の期間(6~8月)の総降水量の多いトップテンを見ると、4地点全てに、エルニーニョ年、平常年、ラニーニャ年が含まれていて、エルニーニョ年の夏の総降水量に関して、統計的に有意な傾向はなさそうです。

図の4地点の状況はあくまでも一例です。この夏の気温や降水量の動向については、今後も、毎週木曜日の午後に発表される1か月予報など、常に最新の気象情報を確認するようにして下さい。

大雨への備えを万全に ハザードマップを十分確認

北陸の夏 エルニーニョ発生予想も 過去の常識が通用しない猛暑・短期的な大雨に注意

梅雨や台風による大雨シーズンは目前まで迫っています。昨夏の北陸地方では、線状降水帯が発生、大雨特別警報や相次ぐ記録的短時間大雨情報の発表、河川の氾濫による大規模な浸水被害等がありました。

ハザードマップや万一の際の避難場所を予め確認しておきましょう。ハザードマップは、自宅周辺で浸水(河川浸水・高潮浸水など)の可能性がある場所や、土砂災害(崖崩れ・土石流・地すべりなど)の危険性の高い場所を把握することができます。

自宅付近の避難場所や避難場所までの避難経路を知っておきましょう。河川が増水した場合や高潮・高波でも安全に避難できるかを確認し、予め複数の避難経路を確保するようにしましょう。

場合によっては、自動車による避難が既に危険な場合もありますので、徒歩で避難するケースも想定しておきましょう。周辺地域で過去に起きた災害を把握し、どんな災害が起こりやすいかを事前に確認しておくことも大切です。

熱中症 気温の前日差が大きい日や猛暑日に急増 熱中症警戒アラートの発表がなくても危険な日も

北陸の夏 エルニーニョ発生予想も 過去の常識が通用しない猛暑・短期的な大雨に注意

図は、2022年の富山県の日別熱中症救急搬送状況で、初診時の傷病の程度や当該日の気温・降水状況・熱中症警戒アラートの発表有無を重ねて表示したものです。(一部期間の抜粋)

6月19日は、前日より最高気温はかなり高く、シーズン初めて重症が確認されました。その後も、気温の上昇に対応して救急搬送者は増加しました。富山では7月1日にかけて五日連続の猛暑日となり、同2日には残念ながら死者も確認されています。



熱中症警戒アラートの対象に初めてなった8月1日は、シーズン最多の救急搬送があり、同じくアラートの対象となった2日には再び死者が確認されています。

熱中症警戒アラートの発表の根拠となる暑さ指数は、予測に基づいて計算され、基準超えが見込まれると、対象日の前日17時と当日5時に発表されます。これは、実況ベースではないため、100%実況に等しくならないケースが起り得ます。

更に、暑さ指数の計算式は、「気温:1」「湿度:7」「輻射熱(ふくしゃねつ):2」の割合で影響が計算され、湿度のウェイトが高くなっています。このため、フェーン現象により高温と乾燥が同時におこりやすい場合には、最高気温が35度以上の猛暑日となっても、熱中症警戒アラートが発表されないケースが起り得ます。

昨夏の6~8月の富山では、最高気温が35度以上の猛暑日は19日あり、北陸4県の県庁所在地で最も多くなりました。その一方、事前に熱中症警戒アラートが発表されたのはわずか4日で他の3地点より一桁少なく、北陸4県で最も少なくなりました。

熱中症警戒アラートの発表が無くても、現実には熱中症リスクの高い日はあり、救急搬送が行われていますので注意が必要です。

台風2号の動向 5月末から6月始めにかけて「台風+前線」の危険な組み合わせに注意

北陸の夏 エルニーニョ発生予想も 過去の常識が通用しない猛暑・短期的な大雨に注意

台風2号は、上空の太平洋高気圧に北上を阻まれるように、海面水温の高い領域を西よりに進み、今後は猛烈な勢力まで発達、29日(月)には沖縄の南まで近づく可能性があります。

その頃になると、上空の太平洋高気圧は弱まり、台風の日本列島への接近を阻止するシールドが無い、言わばノーガード状態となる予想となっています。偏西風の強風帯は台風から離れた北側にあり、動きが遅くなる可能性があります。また、各種予測モデルを見ると、次第に北から東よりに進路を変え日本の南に進む予想をしているものもあります。

ここで、週間天気図の31日(水)に注目すると、本州付近には前線の停滞が予想されています。台風が本州付近から離れていても、前線に向かって熱帯由来の暖かく湿った空気が供給されると、総雨量が多くなり、局地的には記録的な大雨となる可能性もあります。まだ、予想には幅がありますが、特に5月末から6月始め頃にかけては、最新の台風情報や天気予報の入手に努めるようにして下さい。