右サイドバックとして存在感示したルーカス・バスケス(左) photo/Getty Images
サイドバックの位置から活かせる攻撃力
スペイン代表が2010南アフリカワールドカップを制覇してから10年。今のスペインは大きく若返っており、当時の優勝を知る現役メンバーも少なくなってきた。
その数少ない選手の1人がセビージャ所属のDFヘスス・ナバスだ。当時のナバスは24歳で、テクニシャンが揃うスペイン代表の中では珍しい爆発的なスピードを武器としたドリブラーだった。主に試合途中から攻撃にアクセントを加えるスーパーサブ的役割を任されることが多く、右サイドで縦に仕掛け続けるナバスは貴重な戦力だった。
今もそのスピードに大きな衰えは見られないが、役割は随分と変わった。今のナバスはポジションを下げて右サイドバックの選手になっており、セビージャでもスペイン代表でも主戦場は右サイドバックだ。このコンバートは見事にヒットしており、それが35歳になった今も代表でプレイ出来ている理由だ。
それに続く存在となるのだろうか。現在レアル・マドリードで密かに評価を高めているのが29歳のMFルーカス・バスケスだ。

セビージャで主将として活躍するヘスス・ナバス photo/Getty Images
右サイドバックとして計算できる存在に
バスケスもナバスと同じく右のウイングを本職としていたが、今季は右サイドバックのダニエル・カルバハルが負傷離脱したことを受けてサイドバックに回る機会が増えた。以前より攻守に走り回ってくれる貴重なユーティリティプレイヤーだったが、今季のパフォーマンスから右サイドバックとしての評価が上がることになった。
さすがに攻撃的な選手だけあって、今季リーグ戦で右サイドバックを務めた計322分間で9回のドリブル成功を記録。これは856分間プレイしている先輩のヘスス・ナバスと同じ数字だ。
レアルのウイングにはエデン・アザール、マルコ・アセンシオ、若いヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴ・ゴエスなど優秀なアタッカーが揃っている。バスケスが単純なテクニックや得点力で彼らに勝負を挑むのは難しいだろう。
しかしヘスス・ナバスのようにポジションを下げることで、レアルでプレイする時間を伸ばせるかもしれない。一見すると地味なプレイヤーだが、チームのために汗をかいてくれるバスケスはレアルのようなスター軍団では貴重だ。
今後も困った時は便利屋・バスケスに声がかかるはずで、指揮官ジネディーヌ・ジダンにとって何かと頼れる存在になっている。(数字は『WhoScored.com』より)