ライスとハイタッチするモイーズ photo/Getty Images
ウェストハムが魅せるファイト
マンチェスター・ユナイテッドでも指揮官を務めたデイビッド・モイーズといえば、プレミアリーグ特有のパワー溢れるフットボールを好むイメージが強い。エヴァートンとマンUではベルギーの大型MFマルアン・フェライニのことも重用しており、一方で当時マンUに所属していた香川真司のような小柄なテクニシャンとは相性が悪い部分もあった。
そんなモイーズが現在指揮するウェストハムも非常にフィジカル能力が高い選手が揃っている。順位は10位と平凡だが、残留を第一目標とする中堅クラブにとってモイーズの戦い方は計算しやすい。
ウェストハムの陣容を見てみると、最前線にはフランクフルトから獲得した190cmのFWセバスティアン・ハラーが構え、中盤にはセンターバックもこなす185cmのイングランド代表MFデクラン・ライス、相棒にチェコのFCスロヴァン・リベレツより獲得した192cmのトマーシュ・ソーチェク、センターバックも194cmのイッサ・ディオプ、191cmのアンジェロ・オグボンナ、188cmのファビアン・バルブエナなど全体的に高さのある選手が揃っている。
実際に彼らの高さは対戦相手の脅威となっており、ここまでリーグ2番目に多い297回もの空中戦勝利数を記録。1位はシェフィールド・ユナイテッドの302回だが、シェフィールド・ユナイテッドの場合は空中戦に挑んだ回数がウェストハムより50回ほど多くなっている。勝率ではモイーズが作り上げたウェストハムの方が上だ。
セットプレイからの得点もリーグで2番目に多い7得点を記録しており、今月11日に2-1で勝利したリーズ・ユナイテッド戦ではセットプレイからソーチェクとオグボンナが頭で得点を記録。実にモイーズらしい勝ち方だった。左サイドバックを務めるアーロン・クレスウェルの高精度のボールが活きており、セットプレイでウェストハムほど怖いチームも珍しい。
個人別に空中戦の数字を見てみると、ソーチェクはリーグで2番目に多い79回の空中戦勝利数を記録。最前線のハラーもリーグ5位となる58回を記録しており、ハラーに放り込むだけでもチャンスが生まれる可能性がある。

192cmのソーチェクも脅威 photo/Getty Images
フィジカルを武器に生き残る
また180cmと高さは平均的だが、異様なパワーを活かした縦への突破を持ち味とするFWマイケル・アントニオの存在も見逃せない。
さらにこちらも高さは174cmと小柄だが、リーグで13番目に多い33回のタックルを記録している右サイドバックのヴラディミール・ツォウファルもモイーズの戦い方に合っている。タックル数ではチームNo.1となっており、今夏にチェコのスラヴィア・プラハから獲得したのは正解だったと言える。
モイーズは英『sky Sport』にて長期的なビジョンでチームを築いていきたいと語っていたが、今のウェストハムはモイーズらしい戦える集団になってきている。1試合平均のクロス本数がリーグで3番目に多い22本というのも特長で、ウェストハムはパワーで強豪クラブをも苦しめられるチームだ。10位とはいえ楽な相手ではない。
2月に入るとリヴァプール、トッテナム、マンチェスター・シティと強敵との対戦が控えている。ここでウェストハムが彼ら優勝候補組を苦しめる可能性は十分に考えられる。プレミア屈指のファイター軍団となっているウェストハムも注目のチームだ。(データは『WhoScoredより』)