今ではイングランド代表の常連となっているカルバート・ルーウィン photo/Getty Images
今季はプレミアで16得点
今月開幕するEURO2020に臨むイングランド代表で、前線の要となるのは間違いなくFWハリー・ケインだろう。しかし、その陰に隠れてこそいるが、スリーライオンズにはもうひとり楽しみなCFがベンチに控えている。
その名はドミニク・カルバート・ルーウィン。エヴァートンでプレイする24歳で、今季はプレミアリーグで16得点を挙げたストライカーだ。2019-20シーズンの後半戦からゴールを量産し始め、今ではイングランド代表の常連となった同選手。はたして、そのブレイクのキッカケはなんだったのか。
間違いなくカルロ・アンチェロッティ監督の存在は大きいだろう。同監督がエヴァートンの指揮を執り始めてから彼が殻を破ったのは、プレミアファンなら知っている人も多いだろう。しかし、過去にサッカー界で活躍したレジェンドを参考にプレイしたことも、カルバート・ルーウィンの才能が開花した大きな要因なのかもしれない。
「以前の僕はあちこちを彷徨っていた。ゴールスコアラーとして、相手の脅威にはなっていなかったんだ。だから中央で構えることを意識した。そしたらゴールを奪えるようになったんだ」
これは、ブレイク直後の昨年1月にカルバート・ルーウィンが残したコメント。以前はボールを触りたがるあまりにサイドへ流れることも多かった同選手だが、よりゴールに近い位置でチャンスを待つことにより得点が増えたのだという。
そのモデルとなったのは、かつてACミランなどでプレイした元イタリア代表FWフィリッポ・インザーギだ。居てほしいところにいる。至極シンプルだが、それを極めて世界屈指のストライカーと評価されるまでになったのが彼。フラフラと前線を彷徨ってしまうことも多かったカルバート・ルーウィンにとって、インザーギのスタイルを意識するのはこの悪癖を治すための特効薬だったと言っていい。本人もインザーギのプレイ動画を見るのは非常に参考になったと次のように語る。
「僕は以前から自分のプレイを研究していたが、アンチェロッティ監督に似ていると言われてからはとにかくインザーギのプレイを勉強したよ。これでもかというほどYouTubeで彼の動画を見たね。それを自分のプレイの改善に役立てたんだ」(英『DAILY STAR』より)
ゴールの近くにいなければ、得点を量産することは不可能。基本的なことだが、それを意識したことでカルバート・ルーウィンはストライカーとして覚醒することに成功したのだ。イングランドに出現した“インザーギの系譜を継ぐ男”。次世代のゴールハンターは、EUROの舞台でもここ一番で決定的な仕事を果たすことができるか。大舞台に強い一面も継承したいところだ。