南野拓実は無事カタールの地にたどり着けるのか photo/Getty images
森保監督は誰をカタールに連れて行くのか
2試合用意されていた親善試合を戦った日本代表。アメリカに勝利、エクアドルには引き分けだったが、ワールドカップ・カタール大会に出場する実力を持つチーム相手に無敗で終えることができた。
『センターフォワード』前田大然、上田綺世、古橋亨梧、町野修斗(大迫勇也)(序列順)
サムライブルーはCFの人選に常に悩まされており、9月の2戦では上田綺世、古橋亨梧、前田大然、町野修斗がそのポジションで起用された。存在感があったのは前田で、アメリカ戦では彼のハイプレスが相手のビルドアップを混乱させ、ショートカウンターから鎌田大地がゴールを決めている。2列目の選手が前を向いてボールを持つ時間を作るための落としを技術として持っており、4人の中では最も序列が高いといえる。そこから下はほぼ横並びで、前線でキープ力を見せられる上田が一つ抜けているか。そのため招集外となった大迫勇也を呼び戻す可能性がある。
『トップ下』鎌田大地、久保建英、南野拓実
日本代表が9月に見せた[4-2-3-1]の肝となるトップ下は鎌田の一強だろう。南野拓実がそのライバルだが、エクアドル戦で良さを見せられなかった。サイドでも起用される久保建英は鎌田のバックアッパーになれる存在であり、カナダ戦で久保のトップ下を試したい。
『サイドハーフ』伊東純也(右)、堂安律(右)、三笘薫(左)、久保建英(左)、相馬勇紀(左)
サイドには強烈な個を持った選手が多く、右サイドは伊東純也と堂安律で確定だろう。両者ともにボールをキープして攻撃を前進させることができ、伊東が右利き、堂安が左利きと強みも違う。
左サイドは三笘薫が抜けているが、先発から起用するかは悩ましい。
『ボランチ』遠藤航、守田英正、田中碧、原口元気、柴崎岳、旗手怜央
このポジションは遠藤航と守田英正のコンビが鉄板だ。守備力、運動量、ビルドアップでの貢献度とすべての能力のクオリティが高く、アメリカ戦は遠藤、守田、吉田麻也、冨安健洋の四角形でビルドアップを成立させている。
問題は彼らのバックアッパーであり、2戦目のエクアドル戦では柴崎岳、田中碧コンビを試したが、イマイチな出来に終わってしまった。田中はアジア最終予選で遠藤、守田と出場しており、どちらかとコンビを組めば問題ないのかも知れないが、逆にどちらもいなければ難しい。柴崎は残念ながらエクアドル戦で存在感を発揮できていない。中盤で時間を作ることができず、パスのチャレンジ要素が強すぎる。もちろん狙うことも大事だが、このポジションはセーフティな立ち回りを求められる。原口元気はアメリカ戦の終盤のみ出場。ポジションは右ウイングバックで、中盤とは言わず複数ポジションのバックアッパーとして考えられているのか。
『センターバック』冨安健洋、吉田麻也、伊藤洋輝、谷口彰悟、瀬古歩夢(板倉滉)
板倉滉が招集外となれば冨安と吉田が1番手のコンビだろう。冨安は守備力、ビルドアップでの貢献度、右サイドバックでもプレイできるユーティリティ性と武器が多く、怪我だけが不安要素だが、守備陣は彼がキーマンとなる。谷口彰悟はエクアドル戦でPKを献上してしまったが、伊藤洋輝と共にクリーンシートに貢献している。スタメン総入れ替えと難しいゲームとなったが、この2人は奮闘していた。瀬古歩夢は気になる存在だったが、旗手同様に起用されず、彼もまた次大会でのW杯出場となるか。
負傷中の板倉だが、W杯に間に合うとの報道があった。朗報であり、板倉と冨安のCBコンビが見たい。3バックの中央でもプレイ可能で、最終ラインの組み合わせの幅が広がる。
『サイドバック』酒井宏樹(右)、山根視来(右)、伊藤洋輝(左)、中山雄太(左)、長友佑都(両サイド)
右サイドバックは基本的に酒井が1番手で、その控えに山根が来る。
左はアメリカ戦で中山、エクアドル戦で長友が先発した。中山は攻撃時のクロス、長友は粘り強い守備を披露しており、各自の武器で輝いている。しかし中山はビルドアップでの判断スピード、長友は攻撃力のなさが弱点であり、本戦までにある程度の改善が必要だ。伊藤はCB起用だったが、6月の4連戦では左SBで起用されており、板倉復帰となれば彼が左SBに回ることもあるだろう。
『ゴールキーパー』シュミット・ダニエル、権田修一、川島永嗣、谷晃生
このポジションは9月の2連戦で序列が変わったかもしれない。ブラジルメディア『ge.globo』はエクアドル戦でPKストップを成功させたシュミット・ダニエルを絶賛しており、権田修一、川島永嗣を抜いたと高く評価している。それ以外にもビルドアップではロングフィードの質が高く、敵陣にいる味方に一気につなげる場面も見られた。権田は負傷でチームから離れており、彼がポジションを譲るきっかけになるパフォーマンスを見せたわけではないが、シュミットが勢いに乗っていると森保監督が判断すれば、序列逆転もあり得る。
この30人から本戦は26人となる。まず人数が減るのはCFで4人は多い。
ボランチは出場がない旗手が当落線上で、2列目では南野のポジションが危ない。10番が選外になる可能性は低いが、エクアドル戦だけのパフォーマンスを見ると、そうなってもおかしくはない。E-1組からフル代表の招集を掴んだ相馬はドリブルで輝いており、中盤からは旗手と南野の2人がカタール行きを逃す可能性がある。
旗手同様出番のなかった瀬古だが、この枠は板倉に代わる可能性が高い。ボルシアMGで躍動する俊英であり、復帰を待ちたい。
登録メンバーが23人から26人になったことで各ポジションでの起用の幅が増えた。守備陣は計9人を連れて行くことが可能で、人材豊富な2列目もより多い人数でも構わない。5人交代が通常化しており、各ポジションの攻撃力、守備力の低下を防げる。
CF、GKから人数が減るのはある程度予想できるが、残りの2枠はどうなるのか。おそらくボランチと2列目が削られると予想でき、11月1日のメンバー発表を待ちたい。