ミランで活躍を続けるジルー photo/Getty Images
ついに頼れる9番が誕生した
名門ミランですっかり『呪いの番号』となってしまっていたのが、背番号9だ。かつてはマルコ・ファン・バステン、デヤン・サビチェビッチ、ジャン・ピエール・パパン、ジョージ・ウェアらレジェンドたちが背負ってきた番号で、この番号を背負う者はゴールでチームを頂点へ導くことが求められてきた。
しかし、ここ10年ほどは理想的な9番が見つからなかった。いつしか呪いの番号となってしまい、9番を背負った者は軒並み苦戦を強いられてきたのだ。
振り返ると2012年のアレシャンドレ・パトに始まり、アレッサンドロ・マトリ、フェルナンド・トーレス、マッティア・デストロ、ルイス・アドリアーノ、ジャンルカ・ラパドゥーラ、アンドレ・シウバ、ゴンサロ・イグアイン、クシシュトフ・ピョンテク、マリオ・マンジュキッチが着用してきた。しかし、期待に応えられた者は少ない。
チームスタイルがはっきりしなかったこともFW陣が苦戦した理由の1つに挙げられるが、イグアインやトーレスといった実績ある選手から、アンドレ・シウバなどフレッシュな若手も苦戦した。最後にミランの9番を背負って成功したFWのことを忘れてしまったサッカーファンもいたかもしれない。
だが、その悪い流れも終わりが近い。現在9番を背負っているのは、前線で体を張っている36歳のベテランFWオリヴィエ・ジルーだ。歴代のワールドクラスFWたちとの比較は苦しいかもしれないが、ジルーは昨季11ゴールを挙げてスクデット獲得に貢献し、今季もチャンピオンズリーグ・グループステージで4ゴールを挙げてチームをベスト16の舞台へ導いた。近年のFWたちと比較すれば、十分に成功例と言える。
スペイン『MARCA』はジルーのことを「フィリッポ・インザーギの後継者」と呼んでいる。2人はまったくタイプの異なるストライカーだが、インザーギは2001年から2012年まで9番を背負ってきた名手だ。
指揮官ステファノ・ピオリの下で戦い方がはっきりしていることも大きく、今のチームには戦術的な迷いがない。ジルーもベテランとして前線でリーダーシップを発揮しており、ミランがチェルシーからジルーを引き抜いたのは大正解だったと言える。