「最下層にいる奴らのことは気にしないというのか」 FAカップ...の画像はこちら >>

4部相当ニューポート・カウンティのファン。下部クラブにとってカップ戦は打倒ビッグクラブのチャンスだ photo/Getty Images

ビッグクラブを倒すチャンスでもあった

イングランドでは、来季からFAカップの再試合が廃止されることになった。

ドローだった場合に日程を改めて再試合を行うというのは同大会の伝統だったが、現在では5回戦から廃止。来季から全ラウンドにわたって廃止されることになった。

イングランドでは過密日程が継続的に問題視されていて、おりしもCL、ELでプレミアの3強が揃って敗退したことを受けて問題が再燃しているところだ。選手の負担を軽減することを考えれば、やむを得ない措置であることは理解できる。

しかし、イングランドサッカーは一部のエリートクラブだけで成り立っているわけではない。イングランドに限らないが、カップ戦はそういったエリートクラブをスモールクラブが打ち倒すというのが醍醐味で、今季もFA杯ではコヴェントリーが準決勝まで勝ち上がり、マンチェスター・ユナイテッドに挑む。


英『Daily Mail』は、プレミアのビッグクラブやチャンピオンシップのクラブなど、さまざまな立場にある指揮官たちの意見を紹介している。サウサンプトンのラッセル・マーティン監督は、今回の決定に際してプレミアのクラブだけに意見を聞いたのは不公平だと語った。

「大会に参加するすべてのクラブに意見を聞くべきだった。たしかプレミアの20クラブだけに尋ねられたはずだ。イングランドサッカーを特別にしているのは、プロとしてプレイする機会を得られる人数のピラミッド、そしてプレミアとチャンピオンシップの背後にある構造だ」

「下部リーグのアカデミーを経てイングランド代表としてプレイした選手が何人いるかを見てみよう。それはイングランドのサッカーを本当に特別でユニークなものにしている。
だから、最下層にいる奴らのことは忘れて気にしなくていいと考えるのは、本当に世間知らずで不公平だ」

リーズのダニエル・ファルケ監督も「試合が多すぎることを心配していると思うが、私は練習するよりも(試合を)プレイしたいと思う。リプレイがあったクラブにはその利点があった」と再試合を肯定している。

しかし再試合肯定派ばかりではない。ノリッジのデイビッド・ワグナー監督はドイツ人だからという理由もあり、1回の試合で決着をつけるほうが望ましいと語った。

「ドイツカップではリプレイは一度もなかった。それが気に入っているよ。
生きるか死ぬかだからね。それとは別に、今後のスケジュールが明確でない場合、再試合するかどうかわからないのはマネージャーとしては難しいよ」

今回の再試合廃止決定でさまざまな意見が飛び交っている。下部クラブにとってはビッグクラブを打ち倒すチャンスが減ってしまったわけだが、これも時代の流れなのだろうか。