なぜマルティネッリは昨季の半分の8ゴールに甘んじているのか ...の画像はこちら >>

ボーンマス戦でもマルティネッリには得点機があったが、活かせなかった photo/Getty Images

チーム事情の影響も受けている?

マンチェスター・シティと最終盤まで優勝争いを演じているアーセナルは、一昨季の5位から一気に返り咲いた。ミケル・アルテタ監督を中心に一体感が感じられるチームで、所属選手たちもイキイキとプレイしているのが見て取れる。



しかし評価を上げた選手ばかりではなく、当然ながら結果を出せず苦労している選手もいる。FWガブリエウ。マルティネッリも、昨季ほど絶対的な存在ではなくなりつつあるかもしれない。

昨季はプレミアリーグだけで15ゴール5アシストをマークしたマルティネッリだが、今季は全公式戦で8ゴール5アシストにとどまっており、ゴール数は約半分に減ってしまった。負傷で離脱していた期間があるためプレイタイムに差があり、昨季のリーグ2806分に比べて今季は1917分となっているが、復帰したあともレアンドロ・トロサールに先発を譲る試合が多く、復活しきれていない印象がある。

英『football.london』は、これをコンディションの問題だけではないと見ている。
理由の1つは、マルティネッリが左サイドで孤立しがちになったことだ。昨季のアーセナルは左インサイドハーフをグラニト・ジャカが務めていたが、ヒートマップを見るとジャカは頻繁に左のタッチ際にも顔を出しており、自然とマルティネッリとのポジションの入れ替えが発生していた。しかし今季左のインサイドを担うことが多いデクラン・ライスはあまり左に寄ることがなく、中央にポジションをとる。これがマルティネッリの動きを制限しているのではないかという。

また、アーセナルの攻撃は右サイドに偏る傾向がある。『Whoscored.com』によればおよそ40%の攻撃が右サイドから行われているが、右ではブカヨ・サカ、マルティン・ウーデゴー、ベン・ホワイトが毎試合のように使われていて、ガナーズの攻撃の中心となっている。
しかし左は試合によってサポートに入るサイドバックやインサイドハーフが変わることが多く、ゴール前に構えるカイ・ハフェルツも右に絡んでいくケースが多いため、マルティネッリはやや孤立しがちになっている。

もちろん孤立した状態からでもある程度の単独突破が可能なのがマルティネッリの良さだが、右のサカがカットインと深さをとる方向の2つの選択肢を持っているのに対し、マルティネッリはより直線的で、ゴール脇のポケットをえぐろうとすることが多い。この動きが今季は読まれてしまっているのも否定できない。しかも今季は昨季に比べてアーセナルに対してより深いラインで守るチームが増え、このこともマルティネッリのゴール数低下に影響しているだろう。

とはいえマンチェスター・シティ戦などで重要なゴールを決めているのもマルティネッリであり、欠かせない戦力には違いない。来季は彼自身のプレイのバリエーションが求められると同時に、その長所をより活かせるような戦術の整備も必要となってくるかもしれない。