5月のペトロポリス戦でベンチに入ったロマーリオ Photo/Getty Images
#001 ロマーリオ
ロマーリオ・ジ・ソウザ・ファリア。1988年に移籍したオランダのPSVで頭角を現すと、1993年にバルセロナへ。93-94シーズンにリーグ優勝を果たす。その後母国のフラメンゴ、ヴァスコ・ダ・ガマ、フルミネンセなどで得点を量産し、ブラジルを代表するストライカーに上りつめたレジェンドだ。1994年のアメリカW杯では5得点を挙げブラジルの4度目の優勝に貢献。ベベットとの強烈な2トップは見るものに鮮烈な印象を与えた。
そんなロマーリオは、引退後に政界へ進出したことでも知られている。2010年にリオ・デ・ジャネイロ州の選挙区から立候補し、15万票に迫る得票で当選した。ロマーリオが政界進出を決意した背景には、末の娘イビーがダウン症を患っていたことがあるといわれている。イビーと接するなかで同じように難病を抱える人々と触れ合うようになり、社会的に弱い立場の人々を救いたいと考えるようになったことで、政治の世界へ踏み込むことになったようだ。
歯に衣着せぬ物言いで政治家としても大人気となったロマーリオは、2014年の上院議員選挙では絶大な支持を得て当選。一時は大統領候補とまで言われ、上院の副議長まで務めた。練習嫌いで知られ、現役時代は決して品行方正とはいえなかったロマーリオだが、教育や医療の充実に尽力するなどブラジルの発展に貢献する。特にファベーラと呼ばれる貧困地域の対策には力を入れていたようだ。
上院議員として活躍していたロマーリオは、同時にカンピオナート・カリオカ・セリエA2のアメリカFCの会長でもあった。そして2024年4月、突如として同クラブでの選手登録、つまり現役復帰が発表された。本人もXにて、「愛するアメリカのために出場する準備はできている」「息子とピッチで共演したい」と綴っている。御年58歳。57歳で現役を続けるカズこと三浦知良よりも年上となる。
その後アメリカFCのinstagramにはトレーニングに励むロマーリオの姿も投稿され、5月18日のペトロポリス戦ではベンチにも入っている。試合には出場しなかったものの審判に猛抗議する姿も見られ、伝説のストライカーはまだまだ元気なようだ。