ドクとサビ―ニョ、2人のドリブラーはベンチスタート ペップ・...の画像はこちら >>

マンチェスター・シティのペップ・グアルディオラ photo/Getty Images

アストン・ヴィラに劇的勝利を収めた

一足早く行われたプレミアリーグ第34節マンチェスター・シティ対アストン・ヴィラの一戦は後半アディショナルタイムに決勝点が生まれ、2-1でシティが勝ち点3を獲得。今季は不安定なシーズンとなっているシティだが、終盤にきてようやく最適解といえる並びを見出し、リヴァプール、アーセナルに次ぐ3位に浮上した。



その最適解というのが前線3枚の並びだ。ケビン・デ・ブライネが偽9番としてフリーマンとなり、左にオマル・マルムシュ、右にジェイムズ・マカティが立つ。この2人の役割はジェレミー・ドクやサビ―ニョといった今季多くの試合でWGを任された2人とは異なる。場面によって大外に立つこともあるが、基本的にはハーフスペースでボールを呼び込み、裏のスペースを積極的に狙う。大外を担うのはSBの役目で、左はニコ・オライリー、右はマテウス・ヌネスが担当している。

ドクとサビ―ニョ起用時との違いは、攻撃が流動的になったということだろう。アーリング・ハーランドが不在で、デ・ブライネもフリーマンとなっており、ボックス内に固定で立つ選手はいなくなった。そのため前述したマルムシュ、マカティ、デ・ブライネ、そしてイルカイ・ギュンドアンやマテオ・コヴァチッチ、場面によってSBの2人など、様々な選手がボックス内に侵入し、ゴールを狙うようになった。これはハーランド加入前のシティに近いといえる。

基本的にドクとサビ―ニョが使用するレーンは大外であり、ハーフスペースを使うこともあるが、マルムシュとマカティほど味方とのポジション入れ替えは多くない。

また、ドリブラーの存在は攻撃で強みになると同時に守備では被カウンターの機会を増やすことになる。今季は中盤でフィルターとして機能していたロドリの怪我や広大な最終ラインをカバーしていたカイル・ウォーカーの不調、スカッド全体の高齢化など、以前のように守備で相手からボールを刈り取ることができなくなっており、相手のカウンターを止められない場面が散見された。


これもドリブラーをベンチスタートとしたことで保持を高めて相手のカウンターの機会を減らし、守備面では直近4試合でわずか3失点と大きな成果を上げている。

ただ、ペップ・グアルディオラ監督はドリブラーを完全に排除したわけではなく、ドクをジョーカーとして起用するなど、使いどころを見極めている印象だ。特にエヴァートン戦、アストン・ヴィラ戦の2試合での活躍は素晴らしく、『Manchester Evening News』ではドクに対し、「彼は最初の5メートルでは世界最高の選手だ」と称賛の言葉を送っている。

新たなシステムというよりも原点回帰となったペップ・グアルディオラ監督のシティ。ハーランド、ロドリという2本柱の復帰はまだ先であり、今季の残りの試合はこのシステムを採用することになるのだろうか。

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