ファンに愛されながらも不遇だった“半袖の左SB”とのお別れ、...の画像はこちら >>

ラストマッチでゴールを決めてみせたティアニー Photo/Getty Images

ティアニーは来季セルティックに

プレミアリーグ最終節、アーセナルはアウェイでサウサンプトンを破り、2位を確定させた。この試合で先制点を挙げたのがDFキーラン・ティアニーだ。



今季限りでセルティックへの移籍が決まっているティアニーを、ミケル・アルテタ監督は先発に抜擢した。前半のアーセナルはサウサンプトンのゴールを破れずにいたが、ベン・ホワイトからのクロスを中で合わせネットを揺らしたのはティアニーだった。ティアニーは自らのラストマッチでゴールを決めてみせ、お別れのゴールをファンにプレゼントした。

英『football.london』は、「ティアニーはクラブで彼をこれほど愛される存在にした核となる資質、つまりパスワーク、そしてもちろんゴールを披露した。スコットランド出身のティアニーは、ニアポストに彼らしくないながらも美しい右足シュートを決めた」と評し、チーム最高評価の「8」をティアニーに与えている。

2019年の夏にセルティックからアーセナルにやってきたティアニーは、クラブが低迷にあえぐ中で重要な戦力となり、飾らない人柄と時折見せるリーダーシップでファンの心をつかんだ。どんなに気温が低くとも常に半袖シャツで元気に走り回り、大粒の雪が降りしきる中ゴールを決めたこともあった。次期キャプテン候補の声もあったほどで、アルテタ監督のチャントにもティアニーの名前が出てくる。ファンも長くアーセナルを支えることになる選手だと考えていたのだろう。

しかし、オーソドックスなSBタイプであるティアニーはアルテタの志向する「偽SB」による保持スタイルに合わなくなり、レアル・ソシエダへのローンを経験するなど居場所を失っていく。今季も選手たちの度重なる負傷によっていくらかの出場機会を得たが、基本的にはアルテタの構想外だったとみられる。実力と裏腹に、ティアニーは不遇な扱いを受けるようになっていった。


最終戦を終えたのち、会見でアルテタはラストマッチとなったティアニーについて次のように語っている。

「彼は昨日『アーセナルでの最後の試合でゴールを決める』と言っていたんだ。彼はそれをやってのけた。彼を称賛し、心から感謝する。彼はここまでの道のりの一部であり、私とともに勝利を掴んできた。確かに彼はソシエダに数カ月在籍していたが、彼とともに仕事ができたのは喜びだった。彼は本当に特別な存在で、彼と彼の家族の幸せを心から願っているよ。このクラブの扉は彼に開かれている。彼はクラブでも、ロッカールームでも、とても、とても好かれている人物だ。彼の幸運を祈る」

また、SNSにはティアニーとの別れを惜しむファンたちの声が溢れた。

「素晴らしい男だ。最後の試合でゴールを決めるのも当然だ。
キーラン・ティアニー、君を忘れない」
「真のプロフェッショナルだ。アルテタ監督は彼に公平な機会を与えていなかったと思う」
「ティアニーとホワイトの喜ぶ姿泣ける」
「辛い時期を支えてくれた君に乾杯」

来季からはアルテタのチャントにも新しい歌詞が必要になる。ゴールと勝利を置き土産に、ティアニーは古巣セルティックに去っていく。



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