ラグビーではボールを大きく蹴り出すことで陣地を獲得する Photo/Getty Images
最新のセットプレイ戦術か
セットプレイは試合の流れを変え、コントロールするためにも有効だ。フリーキックだけでなくスローイン、そして近年はキックオフも一種のセットプレイととらえられ、昨季はブレントフォードがキックオフから素早くゴールに迫るシーンを何度も見せてくれた。
今夏、そのキックオフ戦術に変化がみられる。キックオフは通常、味方に向かって短くパスを出すところから始まることが多いが、コーナーフラッグ方向に向かって大きく蹴り出すチームが急速に増えているのだ。
狙いは、敵陣コーナーフラッグ近くでスローインにすることにある。もちろん相手ボールとなるが、これにより高い位置からプレスをかける体制を容易に作れるのだ。プレスをかけてボールを奪えば即座にチャンスとなり、クリアされても回収は比較的容易だ。サッカーの戦術の進化は日進月歩だが、うまいことを考えるものだ。
この戦術は、パリ・サンジェルマンが行ったことで注目を集めはじめた。昨季チャンピオンズリーグ決勝のインテル戦でも行われている。そして今度はプレミアリーグのクラブが、この戦術を取り入れ始めた。『THE Sun』によれば、開幕戦で44回のキックオフ(リスタート含む)が行われたうち実に31回、約7割のキックオフでこのやり方が使われたという。これをやっていなかったのはチェルシー、アストン・ヴィラ、ウルブズ、リーズの4チームのみだったようだ。同紙は「プレミアリーグがラグビーの戦術を模倣しはじめた」と報じた。
この傾向がいつまで続くのか、対抗するための新たな戦術が生み出されるのか。今季のひとつの注目ポイントかもしれない。