優勝候補の一角であるスペイン代表 Photo/Getty Images
イスラエルを非難したサンチェス首相
先日、スペインのペドロ・サンチェス首相はイスラエルを国際的なスポーツ大会から排除すべきだと発言した。マドリードで開催された自転車レース「ブエルタ・ア・エスパーニャ」の最終ステージはイスラエルのチームが出場していることに抗議したパレスチナ支持派の活動家たちによって中止に追い込まれたが、それを受けて次のように発言している。
「スポーツ団体は、イスラエルが国際大会に出場し続けることの倫理性を再考するべきだ。ウクライナ侵攻後にロシアを排除したのであれば、なぜガザ侵攻後のイスラエルは排除されないのか。野蛮な行為が終わるまで、ロシアもイスラエルも国際大会に出場させるべきではない」
この発言の影響はサッカー界にも波及しているようだ。『COPE』によると社会労働党(PSOE)の広報担当者であるパトシ・ロペス氏は、イスラエルが現在行われている欧州予選を通過して出場権を得た場合、スペイン政府は出場をボイコットする可能性があることを示唆した。
イスラエルがW杯出場権を獲得した場合、スペインは撤退するのかという質問に対し、ロペス氏は「あとで検討する」と述べ、イスラエルに対しなんの措置も取られない場合は、適切な時期に要請を行う可能性があると語っている。
また、スペイン政府のスポーツ大臣であるピラール・アレグリア氏もガザの状況悪化を鑑みて、イスラエルを国際大会から排除するように求めている。ガザ保健省の統計によると、2023年の10月7日以降、イスラエルによるガザへの攻撃で少なくとも64,964人のパレスチナ人が死亡したという。
「スポーツは現実世界から独立したものではないし、またそうなることもできません。特に、現実世界が人権の破壊を告げているときにはなおさらです」
イスラエルは現在、ノルウェーやイタリアと同居するグループIの3位につけており、勝ち点は2位イタリアと同じ「9」。プレイオフを経て本戦出場を決める可能性は十分にある。
スペインメディア『LA DERECHA DIARIO』によると、スペインの現行のスポーツ法では、高等スポーツ評議会(CSD)に、「国家レベルの代表チームの国際大会への参加を承認または拒否する権限」を与えている。つまり、スペイン政府には代表チームの参加を阻止する権限があることを意味する。
スペイン代表は来年のW杯で優勝候補の一角と見られているが、出場をボイコットしてしまうのだろうか。なおFIFAはこの件に関し、今のところ何もコメントを発していない。