■近づく消費増税



軽減税率はややこしい…。コンビニの 「イートイン」「栄養ドリ...の画像はこちら >>

■消費増税実施まであと1カ月強、コンビニ利用時の注意点は?



消費増税の実施まであと1カ月強となりました。さすがに、ここで実施見送りの選択肢はないと思われますから、2014年4月にそれまでの5%が8%に引き上げられて以来、5年半ぶりの増税実施となります。



ただし、今回は軽減税率制度が導入される点において、従来の増税時とは大きく異なります。この軽減税率制度は思った以上に複雑なため、全てを完全理解するには相当な時間を要するでしょう。



そこで、皆さんが日頃よく利用するコンビニエンスストアでの購入に的を絞って、その注意点を見ていきます。



■そもそも「軽減税率制度」とはどのような内容か



軽減税率制度とは、令和元年10月1日に消費税及び地方消費税(以下「消費税等」)が現行の8%から10%へ引き上げられるのに際し、主に低所得層への配慮から、「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」を対象に実施される制度です。これら対象物品は、現行の8%が据え置きとなります。



なお、この先は、「標準税率」=10%、「軽減税率」=8%とします。



■弁当等のテイクアウトは軽減税率(8%)、イートインでの食事は標準税率(10%)



コンビニで一番問題になりそうなのが、イートインスペースでの食事でしょう。結論から言うと、同じ弁当等でも、テイクアウト(持ち帰り)は軽減税率、イートインでの食事は標準税率となります。つまり、イートインでの食事は「外食」と位置付けられるのです。



“何だ、簡単じゃないか”と思うかもしれません。しかし、コンビニの店員がいちいち“テイクアウトですか?イートインですか?”と聞いて購入代金を処理するのは、結構大変な作業です。店員が聞くのは“ポイントカードはありますか?”だけで十分な気がします。



また、たとえば、おにぎり2個(ツナ130円と明太子150円)と缶コーヒーを買って、おにぎり1個(ツナ)だけイートインで食べて帰る等の場合、もうワケが分からなくなります。さらに、もし、間違ってツナではなく価格の高い明太子のおにぎりを食べたら…となると、これは完全に対処不可能です。



そこで、おそらく、ほとんどのコンビニでは「お願い:イートインスペースを利用して飲食する方はお申し出下さい」というような案内板を掲示するものと予想されます。逆に言うと、客が申し出ない限り、弁当等はテイクアウト前提の軽減税率ということになります。



そうすると、軽減税率で買った弁当を(本来は標準税率の)イートインで食する不届き者が出てくるでしょうが、それはある程度織り込み済みと考えていいでしょう。



■ファストフード店のテイクアウトやピザ宅配も軽減税率



ちなみに、この考え方はファストフード店にも適用され、テイクアウトは軽減税率、店内飲食は標準税率となります。ただし、店内飲食を選択した食事の食べ残りを持ち帰る場合、これはテイクアウトとは見なされず標準税率となりますのでご注意ください。なお、ファストフード企業によってはテイクアウトと店内飲食を均一価格にする動きがありますので確認が必要です。



一方、見た目はテイクアウトではないものの、ピザの宅配やソバの出前などは準テイクアウトとして軽減税率の対象になります。



■栄養ドリンクは「医薬品」「医薬部外品」ともに標準課税



コンビニの主力商品の1つが栄養ドリンクです。何となく疲れた時や、“よし!”と気合を入れる時にコンビニでドリンク剤を買う人も多いのではないでしょうか。こうした栄養ドリンクは、「医薬品」「医薬部外品」に該当するものは「食品」に該当しないため標準税率となります。



ただし、「医薬品」「医薬部外品」に該当しない栄養ドリンクは「食品」として軽減税率が適用されます。



分かり易い一例として、「リポビタンD」は標準税率、「オロナミンC」は軽減税率となります。また、「のど飴」でいうと、浅田飴は標準税率、龍角散のど飴は軽減税率です。



■「酒類」は標準税率だが、「みりん風調味料」や「料理酒」は軽減税率



最近はほとんどのコンビニで酒類を取り扱うようになりましたが、「酒類」は例外なく標準税率です。ただし、ここでいう「酒類」は、酒税法に規定する「酒類」です。そのため、紛らわしい事例がいくつか考えられます。



たとえば「みりん」です。和食の調味料として用いられる「みりん」は酒税法の「酒類」に該当するため標準税率ですが、「みりん風調味料」はそれに該当しないため軽減税率が適用されます。



また、「料理酒」や「料理用ワイン」なども、食塩や酢などが加えられているため「酒類」には該当せず軽減税率となります。ただし、これらの対象食品はその適用税率が値札(QRコード等)に記録されているため、会計時に問題となることはありません。



■コンビニで買う新聞は軽減税率の対象外



最後に注意したいのが新聞です。どうも世間一般では“新聞は軽減税率対象”という完全には正確でない認識が広まっているようですが、軽減税率の対象となるのは「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」だけです。



したがって、コンビニで売っている新聞は全て標準税率となります。“いやいや、私は毎日買っているんだぞ”というのは屁理屈になりますのでご注意ください。



なお、駅スタンド売りの新聞も標準税率ですし、購買契約を締結しても週1回発行の新聞(競馬新聞など)なら標準課税です。



■導入直後は相応の混乱も予想される



コンビニ各社は、今回の消費増税に際して、いわゆるキャッシュレス対応を含めた様々な施策を講じています。しかしながら、導入直後は何らかの混乱が生じる可能性は十分あるでしょう。また、店員の方々の不慣れによる混乱も考えられます。そんな時でも、コンビニを利用する私たちが冷静になって対処したいものです。



編集部おすすめ