三菱UFJ銀行では、2019年5月から男性社員の育児休暇取得を実質的に義務化することになりました。他にも育休を義務化する企業が出てきており、今後は「男性も育児を」という風潮と共にさらに増えていくことが予想されます。
産後間もない時期は、出産での身体のダメージが残る中、昼夜問わずの授乳や赤ちゃんのお世話で母親は想像以上に疲れ、ストレスが溜まるもの。そんな時に父親の助けがあれば産後うつや育児ノイローゼを防ぐこともできるでしょう。
しかし、必ずしもすべての母親が男性の育休を望んでいないというのも事実。今回は男性の育児休暇取得に対する妻たちの本音を紹介します。
■男性の育休取得の現状は?
厚生労働省の「平成30年度雇用均等基本調査」によると、平成28年10月1日から平成29年9月30日までの育児休業の取得率は以下の通りでした。
【育児休業取得者の割合】
女性:82.2%(対前年度比 1.0ポイント低下)
男性:6.16%(対前年度比 1.02ポイント上昇)
男性の育休取得率は、10年前の平成20年度が1.23%だったことを考えると約5倍に上昇していますが、女性に比べると依然として圧倒的に少ないことが分かります。
また、男性の育休期間は「5日未満」が36.3%で最も多く、その次に「5日以上~2週間未満」が35.1%と、育休を取得したとしてもその期間は短く、「名ばかり育休」ともいえる状態。赤ちゃんのお世話をする機会はほとんどなく、有給休暇と同じように終わってしまうことも想像できます。
参考:「平成30年度雇用均等基本調査(速報版)事業所調査 結果概要( https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-30r/10.pdf )」(厚生労働省)
■男性の育休に対する妻たちの本音は?
育休を無理やり取ったところで家事や育児をしないなら意味がない
育休義務化により、家事や育児に関してやる気がない・できない人が休みを取ることになった場合、出産後に体を休ませなければいけない時期に妻の負担が増えてしまう可能性もあります。
たとえば、料理ができない夫が家にいるのであれば、食事を作らなくてはいけなくなるかもしれません。オムツ替えや泣いている赤ちゃんをあやすなどを積極的に関わってくれれば良いですが、そうでなければ「居るだけで意味がない存在」と、余計にストレスが溜まる場合も。
しかし、今まで仕事が忙しくて、家事をする時間がない・育児の知識がないという人がいきなり育休を取っても、何もできないのは当然といえば当然です。やる気があっても何をすれば分からないのかもしれません。
育休を義務化するのであれば、育休を取る前に父親教室のようなものに参加するのを必須とするべきではないでしょうか。ミルクの作り方、オムツの変え方や沐浴の仕方などを学べる機会があれば、父親も育休中に即戦力となるでしょう。
育休よりも恒常的に早く帰宅してほしい
育休中に一緒に育児ができたとしても、それが終わればまた残業で帰宅時間が遅くなるということなら、結局は母親のワンオペ育児状況になってしまいます。そのため、育休よりも毎日の帰宅時間を早くして、夕食やお風呂、寝かしつけをしてほしいと思う母親も多いでしょう。
夫が平日の帰宅後にできることは少ないかもしれませんが、子供のお風呂は夫に任せて、自分一人でお風呂に入るなど、子どもから少しでも目を離せる時間があるだけで心の余裕が全然違います。
核家族で頼る人が夫しかいない家が多い中、夫の帰宅時間が早くなり、少しでも育児に参加してもらえるようになれば、母親の負担を継続的に減らすことができます。
収入が減る、会社での立場が悪くなるなら働いてほしい
育休を取る場合、給付金の支給額は最初の半年で賃金の67%、それ以降は50%となり、社会保険料は免除になるものの収入の減少は避けられません。
産後の体調が悪い場合は、収入が減っても休んでほしいと思うかもしれませんが、体にトラブルはなく、里帰り出産で実家の両親のサポートもあるという場合、「収入が減ってしまうなら働いたほうが良い」と結論づける家庭もあるといいます。このようにすべての家庭が男性の育休を望んでいるわけではないようです。
■おわりに
男性の育休義務化は良い傾向に思いますが、実際に育休中に積極的な育児参加がなければ意味がありません。やる気があっても「何をすれば良いかわからない」という人も多いでしょうから、父親教室のようなセミナー取得を必須にして育休を取るという流れも必要かと思います。
また、妻たち全員が育休を望んでいるわけではなく、育休よりも恒常的に帰宅時間を早くしてほしい、収入が減るなら育休はいらないという意見もあります。
これらの問題は解決するのにまだまだ時間がかかりそうです。