「趣味の機材が欲しい」「友達と旅行したい!」などの理由から、夫(妻)に黙って“へそくり”を貯めている人もいるのでは?それは60代以降のシニア夫婦も同様であり、驚くような額を“へそくっている”女性も多いとのこと。今回は、「株式会社ハルメク」が実施したアンケート調査を元に、シニア夫婦の“へそくり”事情を掘り下げていきます。



■「へそくりあり」は全体の53.5%



株式会社ハルメクが実施した「夫婦関係とへそくり( https://s3-halmek.s3.amazonaws.com/media/company/newsrelease/19a8b86b54271a9fb92c80cfc2bcc4d6.pdf )」に関するアンケート調査によると、60代~70代の婚姻関係にある男女437名の内、53.5%が「へそくりあり」と回答しました。具体的な“へそくり”の金額は、以下の通りです。



【へそくりの金額(n=234)】
・50万円未満:23.1万円
・50万円~200万円未満:29.5%
・200万円~500万円未満:16.7%
・500万円~1,000万円未満:14.9%



最も多かった回答は、「50万円~200万円未満」の29.5%。全体の平均へそくり額は436万円となりました。もはや“へそくり”の域ではなく、日本人の平均年収(※441万円)に匹敵する額となっています。



また“へそくり”の金額は、男女別で金額差があることもわかりました。同調査によると、男性の平均額は330万円、女性は514万円です。その理由について、女性回答者から以下のようなコメントが寄せられています。



・自分の老後のお金に心配がないように貯金している。残されるのは私だから(66 歳)



・過去に配偶者が投資で失敗して全財産を失った。それもあり、夫には内緒で 300 万確保
してある。いざというときの「へそくり」は心強い(61 歳)



女性に関しては、夫の財政管理意識や年金生活への不安、男性よりも長生きする可能性などを視野に入れ、計画的に“へそくり”を貯めている印象です。

その金額差は、約1.6倍。万が一に備え、できるだけたくさんのお金を蓄えておきたい女性が多いのでしょう。



■“不仲な夫婦”ほどへそくり額が多い?



同調査において、「夫婦仲が悪いほど“へくそり”の金額も大きい」ことがわかりました。「仲良し夫婦」と「不仲夫婦」の男女別へそくり平均額は、以下の通りです。



【仲良し夫婦の平均額】
・男性:308万円
・女性:479万円



【不仲夫婦の平均額】
・男性:472万円
・女性:898万円



注目したいのは、不仲夫婦における女性の平均額。898万円と、1,000万円近くのへそくりを貯めていることに驚きます。なぜここまで、金額差が生じるのか。調査で得られた不仲夫婦のコメントを見ると、その原因が見えてきました。



【不仲夫婦のコメント(男性)】
・女房はひとりじゃ生活できない。我慢してでも一緒にいた方がお互いにいいはず(69 歳)



・相手も小言いいながらも、離婚は言ってこない。相続とかにメリットがないからではないか(63 歳)
【不仲夫婦のコメント(女性)】
・親としての責任は終わったし、へそくりも 2,000 万円あるから離婚したい。(66 歳)



・実際問題、放り出したら夫はどうなるか。

何もできない人だし。これから何とか折り合いを見つけていかないといけない(73 歳)



男性回答者のコメントから察するに、配偶者(妻)が「ここまで来て離婚を切り出すわけがない」と考える傾向にあるようです。また治療費(入院費)・介護費・生活費など、老後の快適な暮らしには、お金がかかります。このあたりの危機感も、女性に比べて薄い印象を受けますね。



一方の女性側は、老後の不安要素に比例して、“へそくり”額が増減するようです。同調査の「夫婦のお金に関する不安なこと」という質問において、仲良し夫婦は介護費・入院費(療養費)・年金・生活費の4項目、不仲夫婦は介護費・入院費(療養費)・年金・生活費・自宅のリフォーム費用(修繕費)・葬儀費用(お墓代)の6項目が回答に並びました。老後の不安と“へそくり”の金額は、相関関係にあることが良くわかります。



■夫(妻)にバレにくい“へそくり”の隠し場所



“へそくり”を貯めるコツは、配偶者にバレにくい場所に隠すこと。“タンス預金”が一般的でしょうが、ふとした際にバレるので要注意。それよりも電子マネーを活用したり、子ども名義の預金口座に貯めたりするのがおすすめです。



例えば、電子マネーは少額のへそくりをコツコツ貯めるのに向いています。交通系ICカードなら、第三者にバレにくく、現金を持ち歩かなくて良いのがメリットです。

またスマホ決済サービスの「PayPay」には、チャージした残高を指定の銀行口座に振り込める機能があります。浮いた生活費をチャージしておき、必要な時に出金する、といった使い方も可能です。



へそくり専用の銀行口座を開設する場合、通帳が残らないネットバンクがおすすめです。WEB上で取引履歴も確認できるため、へそくりの管理が楽になりますよ。子ども名義の銀行口座にすれば、万が一バレた際に言い逃れやすいのもポイント。ちょっとした悪知恵ではあるものの、自己防衛のために覚えておきましょう。



■まとめ



老後の不安要素とへそくり額は比例します。良好な夫婦関係さえ築けていれば、老後の不安・負担は軽くなるはず。幸せな老後生活を送るためにも、夫婦で“お金の情報共有”をすることが大切です。



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