年末年始は子どもにとって、クリスマスプレゼントやお年玉がもらえる楽しみな時期。親にとっては、なにかとお金がかかる頭の痛い時期といえるかもしれません。
なかには、「子どもにあげたお年玉やおこづかいの使い方が気になる」という人もいるでしょう。子どもが多額のお金を持ちやすい年末年始は、子どもにお金の教育を始める絶好の機会でもあります。
■日本人は金融リテラシーが低い?
日本には伝統的にお金の話をタブー視する風潮があります。「細かい金額にこだわるのはケチ」「子どもの前でお金の話をするものではない」という価値観が、年代や地域を問わず広く浸透しています。その結果、日本ではお金に関する知識やスキルが大人になるまで身に付かないといった状況になりがちです。
お金に関わる知識やスキルを「金融リテラシー」といいます。
金融広報中央委員会は日本人の金融リテラシーを把握する目的で、2019年に『金融リテラシー調査( https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/literacy_chosa/2019/pdf/19literacy.pdf )』
を実施しました。全国に住む18~79歳の2万5000人を対象に、金融に関する設問に回答してもらうという内容です。米国のFINRA(金融業界監督機構)をはじめとする海外機関による同種調査とも比較可能な点が、本調査の大きな特徴です。
その結果を米国と比べると、共通問題の成績が全年代で米国を下回っていました。とくに、若い年代ほどその差が顕著です。
一方、日本でも金融リテラシーの必要性が次第に浸透してきている様子もうかがえました。家計管理や生活設計などに関わる金融教育について、「行うべき」と考える人の割合が67.2%と過半数を超えていたのです。お金に対する日本人の価値観は、少しずつ変わってきているのかもしれませんね。
■主婦の金融リテラシーは平均よりも高い?
同調査によると、主婦・主夫層の正答率は57.1%で、全体サンプルの正答率56.6%をわずかに上回っています。
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主婦・主夫の行動・考え方に関する特徴(金融広報中央委員会の資料をもとに編集部作成)
主婦・主夫層では借入や株式などの利用が少ない一方で、支出管理や長期的・計画的な資金の確保などの分野で良好なスコアを上げていることが分かります。投資よりも貯蓄を好む日本人の堅実な主婦・主夫像がみえてきますね。
金融リテラシーは、通常年代が上がるにつれて高くなることが知られており、「金融リテラシー=お金にかかわる経験値」ととらえることも可能です。金融のジャンルには新しいスキルや金融商品が次々と登場しており、金融リテラシーの低い人を狙った詐欺も急増しています。
金融リテラシーを習得しないまま大人になると、詐欺の恰好のターゲットになりかねません。
■子どもにお金の話をするときのポイントは
子どもにお金の話をしたくないと考える人のなかには、「親に『お金がない』と言われ続けてつらい思いをした」というケースが少なくありません。また、「子どもに対して、『パパやママが稼いでいるから、こんな生活ができるんだよ』という話をするのは恩着せがましくていやだ」と感じる人もいるようです。
子どもの金融リテラシーを向上させたいなら、「お金がない」「パパやママのおかげだよ」などという親の感情や都合だけを伝えてもあまり意味がありません。むしろ、逆効果になることさえあるでしょう。
ポイントは、「お金とはどういうものか」ということや働いてお金を得る仕組み、家計収支の実情などといったお金にかかわる”事実”を正確に伝えることにあります。
■年末年始にお金の話をしてみませんか
金融リテラシーという言葉を聞いただけで、「難しい話はちょっと」と思う人もいるのではないでしょうか。しかし、お金の話がしにくいと感じるのは、お金に関する教育を受けてこなかったことや、いつの間にか刷り込まれた古い価値観のせいかもしれません。
子どもの金融リテラシーを高めることは、国際社会で生き残っていくための喫緊の課題でもあります。子どもが大金を持つクリスマスやお正月こそ、お金の教育を始める絶好の機会といえるでしょう。夫婦でお金の話がしにくい状況があるなら、まずは風通しの良い夫婦関係を作ることから始める必要があるかもしれませんね。
【参考】
『金融リテラシー調査(2019年)( https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/literacy_chosa/2019/ )』金融広報中央委員会(知るぽると)