周囲に結婚生活の相談をすると「もっと我慢して」と言われたり、離婚をすると「我慢が足りない」と言われた経験がある人は少なくないでしょう。結婚生活を語る上で欠かせないのが「我慢」です。



結婚は生活であり、価値観も生活習慣も異なった者同士が生活するわけですから、ある程度の忍耐は必要です。一方で、何でも我慢さえすれば問題が解決するわけでもありません。



■ともすれば「女性が男性に合わせる」ことが多い現実



夫婦で話し合いを重ね、お互い平等に妥協点を見つけられれば問題ありませんが、結婚生活においては女性が我慢することになるケースは少なくありません。



イメージしやすい例として、夕食に晩酌用のおつまみを作るかどうかというケース。



女性が「旦那さんは家族のために頑張って働いてくれるんだから、おつまみの1品くらい作りなさい」といわれることがあっても、男性が「奥さんは頑張って家事も育児も仕事もしてるんだから、おつまみなんて我慢しなさい」とはいわれにくいでしょう。



この背景にあるのは、家事育児の大変さが正当に評価されていないことが一つ。

家事育児は立派な労働ですが、収入が発生しないため「やって当たり前」「誰でも普通にできる」と思われやすいものです。



また、男性社会であるゆえ、家事育児をしない男性側にはその大変さはなかなか理解されにくい問題もあります。さらに家事以外でも、育児、住む場所、仕事選び、キャリアなど、女性が男性に合わせることが多いのが現状です。



■経済力で減っていく我慢の必要性



何をどこまで我慢するかの判断も難しいものです。結婚生活の我慢は家事育児だけでなく、時にはモラハラ、セックスレス、義実家トラブル、借金、不倫、リストラといった問題に及ぶこともあります。



モラハラやDVといった精神的・肉体的暴力でさえ、我慢してしまう人が少なくありません。

特に小さな子を育てる母親は、働いて生活するだけの収入を得るのが難しく、そうした状況に甘んじることを強いられやすくなります。



モラハラやDVも段階があり、「シェルターに入ったり生活保護を貰うほどではない」と我慢する人もいるのです。 



一方で、昔よりも我慢が強いられる風潮は減ってきました。離婚しても「自分らしい人生を取り戻せてよかったね」といわれる場合も増えてきています。



大きなポイントはやはり「経済力」でしょう。女性側がいつでも経済的に自立できる状況にあれば、無理のある我慢をする必要がなくなります。

それゆえ、一昔前に比べれば、何でも我慢や忍耐といった風潮は薄れつつあります。



■夫婦お互いが自分らしい人生を歩むために



2020年4月より「同一賃金同一労働」が施行されます。これにより、正社員とパートや派遣の賃金格差が是正されるようになるでしょう。子どもを持つ女性はパートで働く人も多いですが、少しずつ労働条件や環境も変化しています。



女性も経済力を持ち、男女平等が言葉だけでなくだんだんと実現に向かう中で、「結婚における我慢」も次第に変化していくでしょう。



いま我慢で苦しい思いをしている人は、目先だけでなく5年、10年先を見て、経済的な自立を視野に入れてみてはいかがでしょうか。