老後の生活を支える柱になるのが年金です。2020年にパワープランニング㈱が運営する『manewaka』が実施した『年金制度に関する意識調査( https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000055022.html )』(2020年)によると、年金制度を「とても重要だと思う」人の割合は55.0%。

一方、年金の内容を「あまり理解していない」人も48.6%に上りました。



「年金が重要だとわかっていても、内容を詳しく知らない」という人も少なくないようです。



年金の具体的な金額がわからないと、老後の生活がどんなものになるかイメージできませんよね。そこで、まずは「年金がいくらもらえるのか」について押さえておきましょう。



■年金はいくらもらえるのか



公的年金の制度は、2階建て構造です。



1階部分は、国民年金。

日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が対象です。
2階部分は、厚生年金。サラリーマンや公務員など厚生年金保険の対象者が加入します。



自営業やフリーランスなど厚生年金保険の対象にならない人は、国民年金のみがもらえます。
厚生年金保険に加入している場合は、国民年金と厚生年金の両方が受給できます。



厚生労働省の『令和2年度の年金額改定についてお知らせします( https://www.mhlw.go.jp/content/12502000/000588114.pdf )』から、公的年金の受給例をご紹介します。



・国民年金(満額)受給者の場合…1人あたり月額6万5,141円
・厚生年金のモデル世帯…月額22万724円



厚生年金のモデル世帯とは、平均月収43万9,000円で40年間就業した世帯です。受給額は、1人分の厚生年金と2人分の国民年金を加算したものになっています。



一方、厚生労働省の『平成30年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況( https://www.mhlw.go.jp/content/000578278.pdf )』をみると、実際に厚生年金保険(第1号)受給者がもらっている年金の平均月額がわかります。



・厚生年金保険(第1号)受給者…月額14万5,865円(平成30年度末現在)



フルタイムの共働き世帯なら厚生年金がダブルでもらえるので、老後の安心度は高めでしょう。



■老後の生活費はいくらかかるのか



つぎに、老後の生活費をみていきましょう。



生命保険文化センターの『令和元年度 生活保障に関する調査(速報版)( https://www.jili.or.jp/press/pdf/press_190920_2.pdf )』によると、夫婦2人の老後の生活費(平均額)は以下のようになっています。



・最低日常生活費の平均額…22万1,000円
・ゆとりある老後の生活費の平均額…36万1,000円



厚生年金のモデル世帯やフルタイムの共働き世帯なら、最低限必要な生活費を年金だけでカバーできる可能性もあるでしょう。とはいえ、人生にはアクシデントがつきものですし、子育てしながらフルタイムで働き続けるのは容易ではありません。



一方、自営業やフリーランスには定年がないので、健康であればいつまでも働けます。しかし、退職金はありませんし、国民年金だけでは最低日常生活費もカバーできません。



■付加年金や国民年金基金を利用しよう



国民年金の対象者で一定の条件を満たすと、付加年金や国民年金基金を追加で利用できます。受け取れる国民年金の金額が増える制度なので、ぜひともチェックしておきましょう。



なかでも、付加年金は「毎月400円の付加保険料を追加で支払う」ことで、「200円×納付月数」の分だけ毎年国民年金の受給額がアップするという、大変お得な制度です。



たとえば、付加保険料400円を40年間支払った場合、200円×12カ月×40年=9万6,000円が毎年国民年金にプラスされるのです。付加保険料で支払った分は、2年間でモトが取れますよ。



■ねんきん定期便を確認しよう



年金額は個人差が大変大きいので、平均値だけを見て判断するのは危険です。毎年誕生月に日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」で、自分の年金額をしっかり確認しておきましょう。



「ねんきん定期便」に記載されているアクセスキーを利用して「ねんきんネット」に登録しておけば、パソコンやスマートフォンからいつでも年金記録を確認できます。



年金の支給額は将来改定される可能性もあります。老後の健康面や介護費、住居費などを想定すると、老後に向けて早めに資金準備を始める必要がありそうです。



■投資の利用も検討しよう



日本人は貯金が大好きだといわれています。コツコツ節約して貯蓄を増やすだけではなく、今あるお金を投資で増やすことも検討しましょう。



個人型確定拠出年金の「iDeCo」や少額投資非課税制度の「NISA」、「つみたてNISA」などのように節税対策ができる資産運用もありますので、賢く利用してみてくださいね。



【参考】
『年金制度に関する意識調査( https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000055022.html )』manewaka
(対象:20代以上年金制度に興味関心のある872人、方法:インターネット調査、期間:2020年2月14日~28日)
『令和2年度の年金額改定についてお知らせします( https://www.mhlw.go.jp/content/12502000/000588114.pdf )』厚生労働省
『令和元年度 生活保障に関する調査(速報版)( https://www.jili.or.jp/press/pdf/press_190920_2.pdf )』生命保険文化センター
『付加保険料の納付のご案内( https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/20150331-03.html )』日本年金機構
『「ねんきんネット」に登録するには?( https://www.nenkin.go.jp/n_net/registration/accesskey.html )』日本年金機構



【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。