2020年1月、小泉環境大臣が育休取得を表明したことが大きな話題となりました。実際に小泉大臣は、周りの協力を得て12日間の育休を取得することができたそうです。



現役の大臣が育休取得したことは、男性の育休取得に対する認知度アップに寄与したかもしれませんが、足元ではまだまた男性の育休取得が浸透しているとは言えないようです。



■育休取得を積極的に取るつもりがない男性が7割以上!?



オーストラリアのコンサルティング企業であるザ・ドリーム・コレクティブは、2020年2月17日に「働き方の多様性に関する意識調査( https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000054196.html )」(日本全国の働く男女800人を対象)を発表。その中で、育児休暇・産休制度についても聞いています。



まず、「職場で育児休暇を取得した人はいるか」という問いについては、女性では「いる」が約7割(66.5%)であるのに対し、男性は23.9%という結果でした。男性の育児休暇実績のない企業がまだまだ多いことが分かります。



また、7割以上の男性(73.3%)が今後育休取得を積極的に取る意思が弱く、その内の4人に1人(23.3%)は取得しない理由を「男性は育児休暇を取得する必要がないと思うから」と回答しています。



男性の育休が認められていない・取りづらいという環境にある会社が多いということもあるでしょうが、「育休を取る必要がない」と考える人もいるというのは、共働きが多数派の今でも、仕事は男性・家事育児は女性という意識が残っているからかもしれません。



一方、「育児休暇を取得する機会があれば取得したいと思うか」という質問に対しては62.5%の男性が「取得する機会があれば取得したい」と答えており、給与水準やポジションの維持が保証されるのであれば取得したいと考えるケースは少なくはないと推察できます。



■実際に育休を取得した男性はどう感じている?



では、実際に育休を取得した人は、そのことについてどのように感じているのでしょうか。あるネット証券会社に勤務するAさんは、育休取得により妻のサポートをしながら家族としての時間をしっかり確保できたことにプラスの手ごたえを感じているようです。



「妻が第二子を出産するときに育休をとりました。妻に第一子と赤ちゃんの世話を一人でしてもらうのは無理があると思ったからです。

それに、『産後で体力も心も不安定な妻を助けなかったことを恨まれている』という話も聞くのですが、産後のサポートを意欲的にすることでそうならず良かったと感じています。夫婦で協力できたことは、何より人生にとって大きなプラスになると思います」とAさん。



さらに、「育休取得を職場の人がサポートしてくれたのがありがたかった。もともと仲が悪かったわけではないけれど、さらに信頼感が増しました。自分も仲間が困っているときは積極的に助けようと思うようになり、職場の雰囲気も良くなったと思います」と、家庭だけではなく職場でも育休取得で良い効果があったと言います。



一方、育休のデメリットとしては、休職することによる収入減が挙げられるでしょう。

どのくらいの水準かというと、育休期間中は「育休給付金」として、男女問わず育休開始から6カ月までは休業前賃金の67%、それ以降、子供が1歳(一定条件で最大2歳)までは50%が支給されることになっています。



このように、育休中は収入が減ることは確かなので、妻の立場でも「稼いで来てくれたほうが助かる」というケースもあるでしょう。それでも「かけがえのない時間を家族と過ごせて良かった」というAさんのような声もあるのです。



■おわりに



日本では男女問わず育休の制度としては整っているのにも関わらず、会社での理解を得られない・収入が減るなどの理由で男性の利用者がまだまだ少ない傾向にあります。



しかし、夫が育休を取得し、産後で精神・体力共に不安定な妻をサポートすることにより、妻が産後うつになるようなシチュエーションを避けることができるでしょう。また、子どもが小さい頃から父親が積極的に育児参加していると、父親の家庭での疎外感も少なくなるとされるなど、子育てから得られるものは多々ありそうです。



最近は「育休給付金」の給付率を80%に引き上げる方向で検討されているということが報道されています。収入面での不安もなく、どんな企業でも男性が育休を取りやすくなるなる日が早く来ることを願います。



【参考資料】「育児休業期間中に就業した場合の育児休業給付金の支給について( https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000178877.pdf )」(厚生労働省)