2019年6月、金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書から端を発した「老後資金2000万円問題」が話題となりましたね。まだ記憶に新しいという人も多いかと思います。
お金の話、とくに貯金の話は親しい友だちともしづらいものです。今回は、みんなの貯蓄額に関するデータに触れたあと、お金を上手に増やす「銀行口座の使い方」についてみていきます。
■「貯蓄現在高の平均値=1755万円」ってホント?
2019年に総務省が実施した「家計調査報告(貯蓄・負債編)( https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/pdf/2019_yoyaku.pdf )」によると、2人以上世帯の貯蓄現在高は、1世帯あたり平均で1755万円という結果に。「みんなそんなに貯めているの!?」と驚いた人も多いでしょう。
それもそのはず、実は約3分の2の世帯がこの平均値を下回っているのです。つまり、貯蓄の多い一部の世帯が底上げをしているだけ。1755万円というのは、あくまで「平均値」にしか過ぎないのです。
さて、この貯蓄を種類別に見てみると、そのほとんどが金融機関への貯蓄ということがわかります。具体的には、定期性預貯金や通貨性預貯金、生命保険、有価証券などですね。そして、金融機関外の貯蓄(社内預金,勤め先の共済組合などへの預貯金 ※1)は、わずか2.2%(2019年)しかありません。
金融機関は私たちが生きていく上で必要不可欠なインフラといってよいでしょう。そのなかでも、銀行は給与振込・ローンの引き落としなどで最も生活に密着しているのではないでしょうか。「銀行口座を上手に使っている人はお金が貯まりやすい」といわれることも。貯蓄額をアップさせるために、口座の活用方法、見直してみませんか?
■今すぐできる貯蓄術「銀行との上手な付き合い方」
お給料の受け取りだけじゃもったいない!せっかくお世話になっている銀行です。上手に口座を使い分けて、着実にお金を貯めていきましょう。では、その具体的な方法をご紹介していきますね。
口座を分ける
みなさんは銀行などの口座をいくつ持っていますか?複数持っている場合、「積み立て用」と「普段用」のように使い分けている人も多いのではないでしょうか。
実は、「用途別」に口座を分けるとお金が貯まりやすい、というのをご存じでしたか?
たとえば、「生活費用」「教育資金用」「マイホーム購入資金用」「老後資金用」、といった感じですね。各用途別資金の口座は、毎月定額を振り分けて貯金するための専用口座とします。そして、普段は「生活費用」の口座しか使いません。この方法で、それぞれの用途別の預貯金額がしっかり把握できます。決められた用途以外には使わない、というルールを守れていれば、目標額に近づく様子もわかりやすく、貯蓄へのモチベーションアップも期待できそうですね。
デビッドカードを使う
デビッドカードは支払いと同時に口座から料金が引き落とされます。そのため、クレジットカードのように、口座残高以上の買い物をしてしまう心配がありません。
クレジットカードは、どのくらいお金を使ったのか把握しづらいと感じている人も多いようです。分割払いを利用した場合はなおさら。請求額の多さに驚いて、口座残高を慌ててチェックした経験がある、という人もいるでしょう。
デビッドカードなら買い物のたびに残高を意識することになるので、その点の心配はありません。また、現金と異なり「どこでいくら使ったのか」が記録されるため、簡易家計簿としても活用できそうです。さらにネットバンキングを利用すれば、お金の流れが「見える化」されて、家計管理もスムーズになります。
ネットバンキングを活用する
では、その「ネットバンキング」についてみていきます。わざわざ通帳の記帳をせずに、自宅にいるまま口座残高を把握できるという点が、まず思い浮かぶメリットでしょう。
入出金の具合がすべて記録されるためお金の出入りが「見える化」されます。貯蓄の成果も、はたまた浪費の実態も一目瞭然。貯金を頑張っている人は、好きなときに残高をチェックできるため、モチベーションアップが期待できます。「貯め上手」の人には、口座の残高を見るのが好きだという人が多いという声もありますので、ぜひご参考に。
金利や手数料に着目する
銀行を変える、特にメインバンクの変更となると、月々の引き落としなどの絡みもあり、二の足を踏んでしまうのは当然でしょう。自宅や勤務先に近いから、という理由で選んだ金融機関をそのまま使い続けている人も多いと思います。
今は普通預金の金利はどこの金融機関も雀の涙ですが、店舗を持たないネット専用銀行などは、いわゆるメガバンクより金利がお得ということが多いです。また、振込手数料やATM手数料については「月に4回までは無料」、「口座残高に応じて月3回まで無料」などとなっているところも。
一つ一つは大きな金額ではないのですが、典型的な「チリツモ」項目ですよね。ご自身のライフスタイルに合った、使い勝手のよい銀行に移しかえることで、「チリツモ効果」が発揮されてきます。シンプルな方法ですが、細かいお金を大切にする意識も高まる効果も期待できそうです。
日頃から、色々な銀行の金利やATM手数料をチェックして、情報を集めてみましょう。情報感度の高さは、お金が貯まる人の特徴、なんていわれることもあるようです。
■まとめ
「貯蓄を増やそう!」と思ったら、まず、お金に興味を持つことから始めてみませんか。また、月の世帯収入はいくらで、日常生活にはどれくらい必要なのか。そして、現時点での貯蓄額、定年までの期間に準備すべき金額はどれくらいなのか。それらを洗い出してみることは、ご自身に合ったマネープランへの第一歩となるかもしれません。
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
【参考】
「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2019年(令和元年)平均結果-(二人以上の世帯)( https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/pdf/2019_yoyaku.pdf )」総務省
(※1)「金融機関外の貯蓄とは( http://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/pdf/h26_gai7.pdf )」 用語の定義 総務省