3月の発売以来、大人も子供も夢中にさせているニンテンドースイッチの超人気ゲーム「あつまれ どうぶつの森」(通称「あつ森」)。無人島を自分好みに開拓しつつ、スローライフを楽しむゲームですが、ゲームの中の世界では「住宅ローン」「利息」「カブ」といったお金に関する設定も盛りだくさん。
実は、子供の遊び方を見ていると、お金の使い方や稼ぎ方の傾向がよくわかるのです。「お金の教育」にもぴったりの「あつ森」。さて、あなたのお子さんは、どんな風にローンを返済していますか?
■ゲーム進行のキモとなる「住宅ローン」
「あつまれ どうぶつの森」では、まずテント生活から脱出するために家を建てる必要があります。家を注文すると自動的に「住宅ローン」が組まれます。ゲーム内では独自の通貨「ベル」を使用して物を売買するのですが、最初に家を建てるのに必要な住宅ローンは98,000ベル。
このローンは、島で採れた虫や植物などを売ることで返済していきます。期限や貸付金利はないので、リアル世界の住宅ローンのような重圧感はありませんが、完済しないと次の増築ができず、部屋のリフォーム機能を使えなかったりするので、「あつ森」のたのしさを満喫するには自然と増築(それに伴う住宅ローン)を繰り返すことになります。
マイホーム増築の最終形にたどりつくまでにかかる金額は、合計5,696,000ベル! これをコツコツと返していくのです。
図らずも子供たちは、「あつ森」をプレイしながら「家を建てるためには住宅ローンを組むこと」「ローンは最後まで返済しないと次のローンを組めないこと」を学んでいくのです。
■ローン返済のしかたにも個性が…
「あつ森」に夢中になっている小学6年生と3年生の兄弟のママ、Hさんは笑顔でこう語ってくれました。
「まさか、ゲームの中での“お金の稼ぎ方”で子供たちの性格の違いがここまでわかるなんて、思ってもみませんでした」
「あつ森」では、ローン返済の方法がいくつかあります。どのような方法でローンを返済するかで、子供の“お金の稼ぎ方”の傾向がわかる…とHさんは話します。
「長男は、島にあるフルーツや雑草をコツコツ集めて売っています。『もっと効率のいい稼ぎ方はないの?』と思わず言うと、『こうやって集めていくのが楽しいから、いいの』とのこと。たまに、高値で売れる魚や昆虫を捕獲して大喜びしています」
地道に稼いでいる長男と対照的なのが次男。
「次男はとにかく“いかに楽して稼げるか”を追求するタイプですね。なんでも『日付を操作して利息を稼ぐ』という裏技(※)があるらしく、それを利用してあっという間にローンを返済していました」
※ 4月23日のアップデートで「たぬきバンク」の預金金利が大幅に引き下げられ、今では日付操作の裏技で利息を荒稼ぎすることはできなくなっています。
少々ズルをしてローンを返済した次男に対して、長男は「それはダメだと思う!」と憤慨していたそうですが、次男はどこ吹く風。「ローンなんてさっさと終わらせないと楽しくない」と言っていたそうです。いやはや、大人顔負けの会話ですね…。
「ともあれ、『あつ森』で、子供たちは『貯金をすれば利息がつく』ということを学んだのも大きいと思います」とHさんはニッコリ。
■なんと「カブ」の売買で稼ぐことも!
また、Hさんが驚いたのが、「あつ森」には「株」ならぬ「カブ」の売買でお金を稼ぐ方法もある、ということ。
「見た目は野菜のカブなんですが、現実の株式と同じく価格変動があるんです。しかもそのカブは1週間で腐ってしまうので、1週間以内にタイミングを見て売ってしまわないといけません」
カブの売買の方法でも長男と次男の性格がよくわかる、とHさん。
「長男は、カブ価が高くなった時に、少しずつ慎重に売るタイプ。『全部売っちゃうと、もっと高くなった時に悔しくなっちゃうから』というのがその理由。一方次男は、『今だ』と思ったら豪快に全部売っちゃうタイプです」
そんな次男を見て、また苦言を呈する長男。
「そんなにいっぺんに売っちゃうと、もっと高くなった時に損した気分になるから、一気に売らないほうがいいよ」
すると次男はこう返したのだとか。
「そんなの、先はどうなるかわからないんだから、自分の直感を信じたほうがいいよ。損したらまた稼げばいいんだよ」
最近ではHさんのご主人が、二人の様子を見て「『あつ森』で投資の勉強をさせよう」と息巻いているのだとか。
■まとめ
ゲームにそんなに夢中になるなんて…と思わず眉をひそめてしまいそうになりますが、よくよく見れば、「あつまれ どうぶつの森」には、子供たちのお金に対する考え方を知ることができたり、お金について学ぶための格好の教材となったり…と良いところもたくさん。
しかもゲーム内での仮想通貨なので、安全にお金の教育ができるのではないでしょうか。
とはいえ、有利な攻略法を見つけようと四六時中「あつ森」の中で暮らしている…なんてことにならないよう、各家庭でしっかりとルールを決めることだけはお忘れなく。