給与がアップしたらうれしいですよね。企業の業績が好調で賞与が増えたり、月給のベースアップが実施されたり。

そのほか給与を上げる方法として「出世する」という選択肢もあります。若い人に中には、労働時間や責任が増えるため、「給与は上がってほしいけれど、出世は…」と思う人も増えているといいます。「出世」と「昇給」は見合うものなのでしょうか。



例えば部長クラスの人は、どのくらいの給与をもらっているのでしょう。民間企業と公務員の役職者についてのデータを見てみましょう。



■民間企業の役職の給与はどれくらい?



役職別の給与について、厚生労働省の「令和元年(2019年)賃金構造基本統計調査」( https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2019/index.html )でデータが公表されています。



(ここでいう「給与」とは、「労働契約等であらかじめ定められている支給条件、算定方法により6月分として支給された現金給与額(きまって支給する現金給与額)のうち、超過労働給与額を差し引いた額で、所得税等を控除する前の額(※1)( https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2019/yougo.html )」となっています。)



また、調査対象は、企業全体の常用労働者が100人以上の企業で、その企業に属する雇用期間の定めのない常用労働者(正規雇用)となります。



では、役職別の給与・平均年齢・勤続年数などのデータを見てみましょう。



「会社員の部長」と「地方公務員の部長」、給料はどれくらい?

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民間企業の役職別の平均給与(厚生労働省の資料をもとにLIMO編集部作成)



表の役職者の給与を見ると、クラスが上がるごとに10万円単位で昇給し、とくに部長ランクでは男女ともに60万円を超えていることが分かります。部長職の男性・女性とも、非役職者・一般労働者の平均の倍額になっています。



年齢的には、係長職40代半ば、課長職40代後半、部長職50代前半が多いようです。

また、学歴別の部長比率を見ると、



  • 大学・大学院卒の部長比率(2018 年)・・・55-59歳(17.3%)
  • 高校卒の部長比率(2018年)・・・55-59歳(3.8%)

このように、50代後半の割合が多いようです(※2)( https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2019/index.html )。



■地方公務員の部長・局長の給料は?



ここからは総務省の資料から(※3)( https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/kyuuyo/h30_kyuuyo_1.html )、地方公務員の部長・局長クラスの給料について見ていきましょう。平均年齢を見ると、民間企業と同じように50代後半が中心であることが分かります。



部長・局長および相当職の平均年齢

  • 都道府県[部(局)長] …大学卒:57.1歳/高校卒:57.3歳
  • 指定都市[局長]    …大学卒:57.1歳/高校卒:57.6歳
  • 指定都市[部長]    …大学卒:55.7歳/高校卒:56.8歳
  • 市[部(局)長]    …大学卒:56.2歳/高校卒:56.8歳
  • 特別区[部(局)長]  …大学卒:56.3歳/高校卒:56.8歳
  • 以降に自治体の種別ごとに部(局)長の平均給料データを掲載していきます。



    (「平均給料」とは、2018 年4月1日現在における職員の平均基本給(調整額を含む)であり、諸手当は含んでいません。また「全体の平均給料」とは、各自治体の一般行政職の男女を合わせた平均額となっています。)



    「会社員の部長」と「地方公務員の部長」、給料はどれくらい?

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    (総務省の資料をもとにLIMO編集部作成)



    「会社員の部長」と「地方公務員の部長」、給料はどれくらい?

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    (総務省の資料をもとにLIMO編集部作成)



    「会社員の部長」と「地方公務員の部長」、給料はどれくらい?

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    (総務省の資料をもとにLIMO編集部作成)



    「会社員の部長」と「地方公務員の部長」、給料はどれくらい?

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    (総務省の資料をもとにLIMO編集部作成)



    「会社員の部長」と「地方公務員の部長」、給料はどれくらい?

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    (総務省の資料をもとにLIMO編集部作成)



    部(局)長の平均給料の中で50万円を超えるのは、



    • 「都道府県」部(局)長の「48-51歳」高卒
    • 「指定都市」局長の「全年代」大卒・高卒

    となりました。一番低いケースでも40~45万円の範囲にあり、それぞれのカテゴリの平均給料より5万~10万円高くなっていることがわかります。



    また、おおよその年収については、《都道府県》大学卒(56-59歳)の部局長(平均給料47万6,000円)を例にすると、給料と賞与(推定)で年間約760万円、その他の手当や残業代を含めると、1,000万円近くになると考えられます。



    公務員の場合、学歴による給料の差は民間企業の例ほど大きくないように見えますが、学歴によっては上位の役職に就くことが非常に難しいようです。



    局長比率

    • 都道府県:大学卒(56-59歳)17.6% 高校卒(56-59歳)2.2%
    • 指定都市:大学卒(56-59歳)9.2%   高校卒(56-59歳)0.9%

    このように、学歴によってはかなりの狭き門となっているようです。



    ■さいごに



    給与の多さは賞与・年収・退職金にも反映されます。役職ランクによる給与の差を見てみると、出世も魅力的に映るのではないでしょうか。ただし、官民問わず、上位の役職に就くには学歴や年齢の面など一定の条件が必要となるようです。

    データを見ることで、出世につながる働き方を模索したり、専門職としてのレベルアップを目指すなど、人生の目標や選択肢が見えてくるかもしれません。



    また、若い世代であっても、投資などの方法で資産そのものを大きくしていく方法もあります。出世や昇給の難しい環境であっても、支出管理や資産運用により、実質的に豊かな生活を作り上げることは可能です。収入を伸ばすことと同時に、ライフプランや人生の資産管理についても考えてみてはいかがでしょうか。



    参考

    「令和元年(2019年)賃金構造基本統計調査」( https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2019/index.html )厚生労働省
    (※1)「令和元年賃金構造基本統計調査 結果の概況:主な用語の定義」( https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2019/yougo.html )厚生労働省
    (※2)「ユースフル労働統計2019」( https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2019/index.html )労働政策研究・研修機構
    (※3)「平成30年地方公務員給与の実態」( https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/kyuuyo/h30_kyuuyo_1.html )総務省



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