2019年10月から「幼児教育・保育の無償化( https://www.youhomushouka.go.jp/ )」が始まり、3~5歳児クラスの幼稚園や保育所等の利用料が無償となりました。また、0~2歳児クラスにおいても、住民税非課税世帯を対象に無償化がスタートしています。



そして、2020年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で在宅勤務を行う人が増加しました。子育てする環境に大きな変化があったと感じた世帯も多いのではないでしょうか。今回は調査データをもとに、最近の育児事情をのぞいてみましょう。



■「出産・育児環境の不安」は大きな変化なし



2020年5月、「公益財団法人1more Baby応援団」は既婚者2,954名と自身・配偶者が 不妊を検討・経験したことがある方844名を対象とした「夫婦の出産意識調査 2020( https://www.1morebaby.jp/release/2020/0528.pdf )」を公開しました。この調査結果、日本の子育て環境に関する回答は以下の通りとなっています。



日本は子どもを「産みやすい」国に近づいていると思う

  • 近づいている…29.6%
  • 近づいていない…70.4%

日本は子どもを「育てやすい」国に近づいていると思う

  • 近づいている…30.5%
  • 近づいていない…69.5%

どちらも、約7割の人が「産みやすい」または「育てやすい」国に近づいてはいないと答えています。その主な理由として、「社会制度が整っていない」(75.7%)、「給与が低い。または、給与が上がる見込みがない」(59.5%)、「保育・学校にかかるお金が高い」(58.1%)などが挙げられています。



また、前回の調査で「『産みやすい』国に近づいていない」と回答した人の割合は67.8%でした。今回の70.4%と比べると、出産・子育ての社会環境が大きく改善したとはいえないでしょう。幼保無償化が始まったとはいえ、金銭的な不安や社会制度に対する不満を払拭できていないのが現状のようです。



■テレワークで夫の家事育児の参加時間に変化が



その一方で、子育て世帯に変化がみられた一面もあるようです。

先ほどの調査では、「ご自身が正規雇用・事業主の人のテレワーク実施率」は23.3%という結果に。そして、夫側の「実際にテレワークを実践して感じたこと」としては「家族とのコミュニケーションが増えた」(59.6%)、「家事・育児により多くの時間をあてられた」(55.3%)などが挙げられています。



また、妻側も47.9%が「夫の家事、育児への参加時間が増えた」と回答しました。テレワークの実施は各々の働き方だけでなく、家族の時間にも大きな影響を与えたといえるでしょう。



■ママたちが感じた「育児環境の変化」は?



ではここで、ママたちの意見を聞いてみましょう。最近の育児環境において、どのような点に変化を感じているのでしょうか。



「保育園から登園自粛のお願いを受けた際、仕事を休んだのは母親である私でした。出産後は、キャリアアップとも無縁に。保育園は無償化になりましたが、私の給料が上がる見込みはなく、現在も金銭的な余裕はありません。」



「夫婦ともに職場でテレワークが導入されたため、夫と交互に家事や育児を行っています。通勤時間がなくなったぶん、家族団らんの時間も増えました。その代わり、ボーナスカットなどにより家計は悪化。教育費の捻出に頭を悩ませています」



「わが家の場合、夫だけがテレワークになりました。

そのため、家事や休校中の子どもの相手は夫がすることに。最初は慣れない家事に悪戦苦闘していましたが、今では育児をしながらテキパキとこなしています」



■まとめ



テレワークの実施によって、夫の家事・育児の参加時間が増えた世帯が多く見受けられました。それにより、以前より夫が協力的になったというケースもあるようですね。



また、幼稚園・保育園にかかるお金は無償化が始まったものの、金銭的な問題と向き合い続けている子育て世帯も存在します。COVID-19の影響により家計の悪化が懸念される今、子育て世帯への支援の必要性はさらに高まりそうです。



【参考】
「幼児教育・保育の無償化( https://www.youhomushouka.go.jp/ )」内閣府
「夫婦の出産意識調査 2020( https://www.1morebaby.jp/release/2020/0528.pdf )」公益財団法人1more Baby応援団



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