20代といえば、多くの人が社会人の世界に足を踏み入れる時期。さらには結婚して世帯主となるケースも少なくありません。
「子どもが生まれ、そろそろマイホームを…」「貯金をしたいが、今の収入では厳しい」「仕事関係の付き合いや、友人の結婚式などで交際費がかかる」といった悩みを抱えやすい時期でもあるでしょう。
そんな若い家族の「貯蓄」と「マイホーム計画」事情をのぞいてみましょう。
■20代の貯蓄はどのくらい?
まずは、金融広報中央委員会(知るぽると)の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和元年(2018年)( https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/futari/2019/19bunruif001.html )」から、世帯主の年齢が20歳代の世帯の貯蓄状況をチェックしてみましょう。
金融資産を保有している世帯のみ、保有していない世帯を含んだもの、それぞれの平均と中央値は以下の通りです。
金融資産保有額(金融資産保有世帯)
- 平均…220万円
- 中央値…165万円
金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 平均…165万円
- 中央値…71万円
金融資産保有世帯と保有していない世帯の中央値を比較すると、2倍以上の差がみられました。20代のうちからしっかりと貯蓄している世帯がある一方、思うように貯蓄できていないケースも少なくないようです。
■マイホーム取得を視野に入れている世帯も
先ほどの調査結果をもとに、ご自身の貯蓄額と比較している方も多いのではないでしょうか。「もっとお金を貯めなければ」と、焦りを感じた人もいることでしょう。今後の貯蓄を計画するうえで踏まえておきたいのが、住宅についてです。
とくに20代で子育て中の世帯は、マイホームの購入を視野に入れている可能性も考えられます。そこで、20代の住宅事情ものぞいてみましょう。先ほどの調査のうち、「住居の状況」や「自家取得予定」における世帯主が20歳代のデータは以下の通りとなっています。
住居の状況
- 持家…27.1%
- 非持家…72.9%
自家取得予定
- 3年以内…20.0%
- 5年以内…22.9%
- 10年以内…17.1%
- 20年以内…2.9%
- 20年より先…0.0%
- 親からの相続等によるので、いつになるかわからない…5.7%
- マイホームの取得については目下のところ考えていない…14.3%
- 将来にわたりマイホームをする考えはない…17.1%
マイホームに住んでいる割合は3割に満たないものの、今後購入する予定のある世帯が多いことが分かりました。
マイホームを購入するか、賃貸のままなのか…その選択によって、これから必要となるお金が左右されます。
■貯蓄を増やすために心掛けたいこと
なかには、「マイホーム資金を貯めたいけれど、なかなか貯蓄が増えない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。そこで、貯蓄を増やすヒントをお伝えします。いずれも難しいことではありませんが、これらを習慣として継続できるかどうかで、その後の貯蓄への意欲が変わってくるでしょう。
貯蓄プランを作成する
まずは「貯蓄の目的」「期間」「最終目標金額」などを設定し、貯蓄の計画表を作りましょう。目標額とゴール時期が決まれば、1年間にどれくらい貯めればよいかが見えてきます。そこから、毎月の貯蓄額を割り出していきましょう。
貯金専用の口座を用意する
貯めたお金に手をつけられないようにする工夫も大切。ぜひ、貯蓄専用口座を用意しましょう。金欠になるとついATMで引き出してしまいそう…と心配な人は、あえてこちらの口座ではキャッシュカードを持たない、といった工夫もGOODです。
毎月の給与を複数口座に分けて振り込んでもらえるようなら、ぜひ活用しましょう。銀行の自動振替サービスを利用して、毎月の貯蓄額を自動送金する設定をするのもよいですね。
毎月の収支状況を確認する
貯蓄の計画を立てる際に大切なのは、「収入額」より、むしろ「無理なく貯められる金額」を見極めることでしょう。
そのためには、毎月の収支状況を把握する必要があります。「我が家は1カ月にいくら貯められるのか」をイメージするために、家計簿などを利用し、毎月「何に」「どれくらい」支出しているのかを確認していきましょう。
■まとめ
「まだ若いからお金がなくて当然」と言い訳していては、いつまで経ってもまとまったお金を準備することはできません。
20代の頃から将来を見据えた計画を立て、貯蓄を習慣化させてしまいましょう。「マイホーム購入のため」「5年以内に500万円を貯める」といった具体的な目標を設定することで、貯蓄のモチベーションもグッと高まるはずです。ご自身とパートナーのライフスタイルに合わせた「貯めるコツ」をつかんでいってくださいね。
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
【参考】
「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和元年(2018年)( https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/futari/2019/19bunruif001.html )」知るぽると 金融広報中央委員会