■2021年お年玉事情
今月14日、政府は新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない状況を受け、観光支援事業「Go To トラベル」を全国一斉に一時停止することを発表しました。これまでの方針を一転させたこの決定は、年末年始の帰省にも大きな影響を及ぼすとも言われています。
そこで気になるのが、毎年多くの子どもたちが楽しみにしている「お年玉」。近頃は、キャッシュレス化によって現金に頼らないさまざまな決済手段が登場していますが、「お年玉」のあり方も多様化してきているようです。
そこで今回は、最新の意識調査結果をもとに、2021年のお年玉事情を紹介していきます。
■過半数がお年玉のキャッシュレス化に賛成
総合マネースクール「ファイナンシャルアカデミー」を運営する日本ファイナンシャルアカデミー株式会社は、全国の子を持つ男女300人を対象に「キャッシュレスとお年玉に関する意識調査」を行いました。
調査によると、お年玉のキャッシュレス化に賛成する人の割合は「とてもよいと思う(10%)」「まあよいと思う(41%)」を合わせて51%となり、調査開始3年目にして初めて賛成派が過半数を超えました。
昨年は賛成派は38%でしたので、この1年で賛成派の割合が大きく伸びたことがわかります。クレジットカードや電子マネーなど、日常生活でキャッシュレス決済が普及したことも要因の1つでしょうが、やはりコロナ禍にも大きな要因があるようです。
同調査では、お年玉のキャッシュレス化に賛成・反対する理由もそれぞれ聞いており、賛成派の最も多い理由は「支払いが便利」だからですが、それに続く理由として「コロナ関連」があげられています。
「感染リスクを抑えられる」「帰省自粛で会えなくてもお年玉を渡すことができる」といった理由が、お年玉のキャッシュレス化を後押ししているようです。
一方で、キャッシュレス化に反対する理由としては「お金のありがたみ・価値が分からない」「伝統だから・情緒がない」「セキュリティが不安」「現金のほうが使いやすい」などの意見があがっており、お年玉のキャッシュレス化には100人いれば100人それぞれ異なった考え方や価値観があると言えそうです。
■実際にお年玉をキャッシュレスで渡すつもりの人はどれくらい?
キャッシュレス賛成派が過半数を超えてはいるものの、実際にキャッシュレスでお年玉をあげるつもりの人はどのくらいいるのでしょうか。
同調査の中で「2021年はお年玉をどのようにあげますか?」と聞いたところ、「キャッシュレスであげる」と答えた人は全体のわずか9%でした。
「キャッシュレスであげる」と回答した人の割合は、2019年は4%、2020年は7%でしたので、ゆるやかに増加傾向にはありますが、「お年玉のキャッシュレス化には賛成だけれど、実際に自分がキャッシュレスでお年玉をあげるのは抵抗がある…」という人も少なくないことがうかがえます。
ちなみに、筆者も今年は年末年始の帰省は控える予定でおり、例年であれば甥っ子や姪っ子に渡していたお年玉をどうするべきかはまだ決めかねているところです。
■お年玉は子どもにとって「お金」を学ぶ絶好の機会
お年玉と言えば「ぽち袋に入れて直接手渡しするもの」という考えを持っている人にとって、お年玉をキャッシュレス化するというのは、どことなく情緒がなく味気ないものに思われるかもしれません。
お年玉のキャッシュレス反対派から「お金のありがたみ・価値が分からない」といった指摘があったように、お年玉は子どもがまとまったお金を手にすることができる数少ない機会であり、お金の使い方を学ぶ絶好のチャンスとも言えます。
子どもは、もらったお金のうちどれぐらいの金額を何に使うのか、どれぐらいを貯金に回すのかといったことを通じて、お金の管理の仕方などを学んでいきます。今後ますますキャッシュレス化の波が進行していくことを考えると、お金の価値をきちんと理解した上で、多様な決済手段に慣れるのも大切なことでしょう。
ついコロナ禍や大人の事情に目が向きがちですが、子どもの教育という面からも、年齢や成長に合わせて適切なお年玉のあげ方を考えていきたいものですね。
【参考資料】
日本経済新聞「GoToトラベル全国で一時停止 12月28日~1月11日( https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFS147PS014122020000000 )」
日本ファイナンシャルアカデミー株式会社「キャッシュレスとお年玉に関する意識調査( https://www.f-academy.jp/contents/newsrelease/1249 )」