日本にはさまざまな方言が存在します。
普段は何気なく使っていても、思わぬタイミングで「これって方言なの!?」と気づくタイミングがありますよね。
今回は幼稚園の子どもにもらった手紙から、「実は関西弁」だと気づいた特徴についてご紹介します。
■子どもの文章はウソをつかない
私達は普段、口語と文語を使い分けています。
口では「シュミレーション」と発声しても、正しくは「シミュレーション」と書きますよね。
他にも「ふいんき→(正)ふんいき」「マニュキア→(正)マニキュア」「せんたっき→(正)せんたくき」など、口で言う言葉と文章で書く言葉に違いが出るものがしばしばあります。
しかしまだ教育を受けていない子どもは、耳で聞いた言葉をそのまま字で表現します。
以下は、知り合いの子ども(関西ネイティブ)がお手紙に書いてくれた文章です。
子どもからもらったお手紙

「きょうは じいの れんしゅうを したよ」
「てえから ちいがでたよ」
読んでしばらくは、「幼稚園の劇でおじいちゃんの役をしたのかな?」など悩んだものです。
実はこれ、
「今日は字の練習をしたよ。」
「手から血が出たよ」
という意味なのです。
関西では1音の言葉をもう1音節伸ばし、2拍で発声する文化があります。
意識したことはありませんが、こうして字で表現してもらうと独特のクセを感じるものです。
■関西で発音される「一音ことば」
しかも一音の言葉は、すべて同じ発音というわけではありません。
■2拍目が高くなる言葉(→↑)
- 木
- 手
- 目
- 字
- 絵
- 酢
- 二
- 根
■2拍目が低くなる言葉(→↓)
- 歯
- 毛
- 背
■同じ高さが続く言葉(→→)
- 血
- 胃
- 蚊
文脈で変わることもありますし、同じ関西でも地域でイントネーションが変わることもあります。
1音を表現するのになぜここまで変化が出てくるのか、関西弁の不思議なところですよね。
逆に関西人が1拍で発音しようとすると、なかなか難しいものです。
■そうかと思えば省略する言葉
一音のことばには2拍使うくせに、反対に省略しがちな言葉もあります。
先ほどご紹介した手紙からまたひとつ引用します。
「また あそびにいこ」
本来は「遊びに行こう」ですが、「う」まで発音することは滅多にありません。
このように語尾の最後の最後を省略することが関西では多いのです。
勉強しよ!飲みにいこ!映画みよ!…など、誘うときに語尾を省略することが多いようですね。
他にも省略しがちな言葉を挙げてみます。
- あつなってきた(暑くなってきた)
- おもろい(おもしろい)
- かまへん(かまわへん)
関西にはせっかちな人が多いと言われますが、こうしたことも影響しているのかもしれません。
■語尾には「知らんけど」をつけておく
関西人は何かを話したあと、最後に「知らんけど」を多用します。
決して責任逃れをするつもりはなく、やわらかく表現したいときに使うのですが、やはり関西以外では違和感を持たれるようですね。
あいまいな知識を披露した時だけでなく、日常的にも使います。
「最近ちょっとあったかくなってきたなぁ」
「ほんまやな。でも明日はまたさむなるらしいで。知らんけど」
関西人にとっては馴染みのある表現ですが、知らない人にとっては「知らんのかい」と突っ込みたくなるかもしれません。
■関西弁は奥が深い!
関西以外の方が関西弁を話してみようとすると、「~やん」「~やで」と語尾から入る方が多いものです。
しかし、語尾だけでなくイントネーション自体が標準語と異なり、また独自の単語もあるのが関西弁のおもしろいところ。
例えば大阪府観光局のウェブサイトでは、ユニークな大阪弁としていくつかの単語が紹介されています。
- おおきに
- なんぼ
- しゃあない
- ぼちぼち
- まいど
テレビ等の影響もあり、関西以外の方でも意味がわかる言葉もあるでしょう。
大阪府観光局が紹介している関西弁は、どちらかというと「コテコテの関西弁」の代表格で、「関西弁と言えばこれ!」というものが並んでいます。
しかし「目ぇ」のように語尾を伸ばしたり「遊びにいこ」と省略したりするのは、意識していない方も多いのではないでしょうか。
素直に文字に表現してくれた子どものおかげで、筆者も気づけたものです。
他にもまだまだ、方言には奥深い法則が隠れていそうです。みなさまのお住いの地域では、どのような方言の法則が見つかりますでしょうか。
■参考資料
- 大阪府観光局「大阪まるわかり」( https://osaka-info.jp/osaka/basic/osaka-dialect/ )