■日本労働組合総連合会「非正規雇用で働く女性に関する調査2022」より考察



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非正規雇用で働きながら、家計を担う女性も珍しくありません。



日本労働組合総連合会が2022年2月8日~10日、全国の非正規雇用(有期契約社員・嘱託社員、臨時・非常勤公務員、派遣社員、パートタイマー、アルバイト)で働く20歳~59歳の女性1000名に行った「非正規雇用で働く女性に関する調査2022」によると、家計を担う女性の平均年収は214.6万円(2022年3月31日公表)。



非正規でも有期契約・嘱託社員や派遣社員、パートタイマーなど雇用形態によって年収は異なります。それぞれの平均年収はいくらなのか、非正規雇用女性の実態を見ていきましょう。



■【雇用形態別】非正規女性の平均年収



同調査より、まずは雇用形態別に非正規女性の平均年収を確認します。



家計を担う非正規雇用の女性「平均年収214万円」3人に1人が正規で働きたいと希望

出典:日本労働組合総連合会「非正規雇用で働く女性に関する調査2022」



■平均年収



  • 有期契約・嘱託社員:268.0万円
  • 臨時・非常勤公務員:263.6万円
  • 派遣社員:255.2万円
  • パートタイマー:137.3万円
  • アルバイト:152.3万円

有期契約・嘱託社員と派遣社員では「200万円~299万円」が最多となり、パートタイマーとアルバイトでは「100万円~199万円」が最多でした。



誰が家計を担っているのか、主な家計収入別にも平均年収を確認しましょう。



■主な家計収入



  • 自分の勤労収入:214.2万円
  • 配偶者の勤労収入:137.6万円
  • 配偶者以外の家族の勤労収入:175.7万円

主に自分が家計を担っている方の平均年収が214.2万円。フルタイム(週40時間以上)であっても平均250.6万円でした。



家族の人数や居住形態などにより生活費は異なりますが、平均年収210万円では生活が苦しく貯蓄もままならないご家庭が多いでしょう。



ちなみに同調査による現在の仕事の職種は「販売・接客・サービス職」43.0%や「事務職」19.6%が目立ち、週の労働時間35時間未満・35時間以上のいずれにおいても「販売・接客・サービス職」が最多となっています。



■雇用形態で「正社員希望」の割合は異なる



全回答者に今後どのような働き方をしたいと思うか聞いたところ、「正社員転換して、現在の勤め先で働きつづけたい」が10.7%、「別の勤め先に転職して、正社員の仕事に就きたい」が15.1%。



全体では正規雇用を希望する人は計25.8%と、およそ4人に1人でした。



家計を担う非正規雇用の女性「平均年収214万円」3人に1人が正規で働きたいと希望

出典:日本労働組合総連合会「非正規雇用で働く女性に関する調査2022」



雇用形態別にみると、正規雇用を希望する人は有期契約・嘱託社員で計44.9%、派遣社員では計38.3%とほかに比べて高い結果に。



主な家計収入が自分である女性も計33%が希望しています。正規雇用を希望するものの、なりたくてもなれない女性がおよそ3人に1人いると分かります。



■生涯で見ると差が大きい正規・非正規雇用の賃金



正規雇用を選ぶか、非正規雇用を選ぶかは育児や介護など家庭の事情によるところも大きいものです。一方で、「正規雇用に就きたい」と願う女性も一定数いました。女性だけでなく、男性でも正規雇用を希望する方は多いでしょう。



正規雇用と非正規雇用では、生涯出てみてもその賃金差は大きいものです。



厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、正規・非正規別の10代~70歳以上の年齢階級別賃金の推移は以下の通り。



家計を担う非正規雇用の女性「平均年収214万円」3人に1人が正規で働きたいと希望

出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」



上記は月給になりますが、非正規の場合は生涯でみても賃金が上がりにくく、正規雇用との差が大きいことが分かります。



実際には家族の状況や体力など個人差があり、どの雇用形態が適しているかは個人差があります。ただ家計を担う女性の場合は、正規雇用を目指したいと希望される方もいるでしょう。



仕事探しについてはひとりで考えているだけでは分からない部分も多いものです。ひとりで思い込んで最初から諦めるのではなく、ハローワークや子連れでも相談できるマザーズハローワークなど、専門家に相談してみるといいでしょう。



プロに相談することで現状の把握ができたり、意外な求人情報を知ったり、今自分が何をすべきかということが分かったりすることもあるでしょう。ひとりで抱え込んでしまう女性は多いですが、「専門家に相談する」という選択肢をもってみてはいかがでしょうか。



■参考資料



  • 日本労働組合総連合会「非正規雇用で働く女性に関する調査2022」( https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/news_detail.php?id=1831 )
  • 国税庁「令和2年分 民間給与実態調査統計」( https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/002.pdf )
  • 厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」( https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/index.html )
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