■過去からの推移を確認
2022年4月から、NHKおかあさんといっしょの夕方放送分が、18時へ移動しました。共働き家庭が増えたことで、子どもの帰宅時間に合わせる狙いがあります。
最近は専業主婦家庭が減り、共働き世帯が主流となりつつあります。具体的に、どれくらいの割合で存在しているのでしょうか。
専業主婦の割合について、夫の年収別に確認してみましょう。
■まずは「専業主婦世帯」の推移を確認
内閣府男女共同参画局「結婚と家族をめぐる基礎データ」より、1980年~2020年までの専業主婦と共働き世帯数の推移を確認しましょう。

出典:内閣府男女共同参画局「結婚と家族をめぐる基礎データ」
1980年には1114万世帯だった専業主婦世帯ですが、1990年代後半に共働き世帯と同程度の921万世帯になりました。
さらに2020年には、571万世帯まで減少しています。
共働き世帯に注目すると、1980年に614万世帯だったのが2020年には1240万世帯へ倍増に。やはり数字で見ても、今は共働き世帯が主流と言えそうです。
ただし、同資料によればフルタイムの共働き世帯は40年間ほぼ増えていません。このことから、パートタイムでの共働き世帯が増えていることがわかります。
専業主婦を選択するのには、様々な背景があります。育児や介護で離職する方もいますし、体調面で専業主婦を選ぶしかない方もいます。
また意外に多いのが、夫の転勤でなかなか仕事につけないという事情です。
いろいろなタイプの専業主婦がいる昨今。「同年代や同じ年収帯だと、専業主婦の人はどれくらいいるのだろう?」と気になっている方もいるかもしれません。
そこで次は夫の年収別にも見ていきましょう。
■夫の年収別に専業主婦世帯の割合を確認
同資料から、夫の所得階級別の妻の有業率を見ていきます。夫の年齢別に整理しました。

出典:内閣府男女共同参画局「結婚と家族をめぐる基礎データ」
■夫が30代の妻の有業率(年収別)
- 300~399万円:72.9%
- 400~499万円:68.7%
- 500~599万円:62.6%
- 600~699万円:56.3%
- 700~799万円:54.6%
- 800~899万円:50.8%
- 900~999万円:49.0%
- 1000~1499万円:48.5%
- 1500万円以上:39.7%
30代の場合、年収300~500万円台では有業率が60~70%です。つまり専業主婦世帯は3~4割ほどとなります。
その後専業主婦世帯が多くなり、年収900万円以上では半分を超えます。
■夫が40代の妻の有業率(年収別)
- 300~399万円:80.8%
- 400~499万円:77.9%
- 500~599万円:75.6%
- 600~699万円:71.5%
- 700~799万円:68.8%
- 800~899万円:65.9%
- 900~999万円:61.5%
- 1000~1499万円:59.8%
- 1500万円以上:56.0%
■夫が50代の妻の有業率(年収別)
- 300~399万円:79.1%
- 400~499万円:78.6%
- 500~599万円:75.9%
- 600~699万円:74.6%
- 700~799万円:72.2%
- 800~899万円:67.7%
- 900~999万円:65.8%
- 1000~1499万円:61.9%
- 1500万円以上:55.8%
年齢別×年収別に整理すると、夫の所得が高くなるほど妻の有業率が低くなる傾向がみられました。
夫の年齢が30代の場合に、その特徴が顕著です。30代といえばまだ子どもが小さい家庭も多く、この時期だけ専業主婦を選択するケースも多いと予想されます。
■専業主婦世帯は貯蓄をいくら保有しているのか
同じように専業主婦をしている家庭の場合、いくらくらいの貯蓄を保有するのか気になりますよね。ここからは2022年5月10日に公表されたばかりの総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2021年」から、「夫のみ有業世帯」の年収や貯蓄を確認します。
- 年間収入:684万円
- 世帯主の年齢:49.8歳
- 世帯人員:3.18人(18歳未満人員1.02人)
- 持家率:75.2%
専業主婦世帯の平均世帯年収は684万円でした。日本の平均年収が約433万円なので、それより上であることが分かります。
■専業主婦世帯の貯蓄と負債
平均貯蓄額:1578万円
〈内訳〉
- 金融機関:1535万円
- 通貨性預貯金:573万円
- 定期性預貯金:440万円
- 生命保険など:285万円
- 有価証券:237万円
- 金融機関外:43万円
平均負債額:825万円(うち、住宅・土地のための負債783万円)
世帯主が約50歳で、平均貯蓄額は1535万円であることがわかります。ただし住宅ローンなどの負債が800万円以上残っており、18歳以下の子どもがいる世帯では教育費とローン返済が重くのしかかることが推測できます。
■働き方は家庭ごとに正解がある
専業主婦世帯の割合や貯蓄状況をまとめてきました。確かにここ数年は共働き世帯が多くを占め、専業主婦世帯は減少傾向が見られます。
NHKおかあさんといっしょが「共働き世帯」を見据えて枠変更を行ったのもうなずけます。
ただし、子どもが小さいときや親の介護が必要なとき、あるいは夫の職業などにより、専業主婦を選択せざるを得ない家庭があるのも事実です。
もしそのような事情がなくとも、「専業主婦」という選択は尊重されるべきで、家庭により正解はさまざまです。
専業主婦世帯の平均年収は600万円台でしたが、もし貯蓄の必要を感じたときには、妻の労働以外にもつみたてNISAなどによる資産形成という選択肢もあります。
世帯全体の貯蓄を考え、あらゆる選択肢を知っておきたいですね。
■参考資料
- 内閣府男女共同参画局「結婚と家族をめぐる基礎データ」( https://www.gender.go.jp/kaigi/kento/Marriage-Family/1st/pdf/5.pdf )
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2021年」( https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20210&month=0&tclass1=000000330007&tclass2=000000330008&tclass3=000000330009&result_back=1&tclass4val=0 )