■ひと月あたりの平均給付金額や日本学生支援機構の奨学金と併給もチェック



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日本学生支援機構の「令和2年度 学生生活調査」によると、奨学金を受給している学生の割合は「大学(昼間部)が49.6%、短大56.9%」となっています。



【奨学金】大学生の約半数が受給という現実「日本学生支援機構以外」に利用できる奨学金制度や金額は?

出典:日本学生支援機構「令和2年度 学生生活調査」



奨学金制度といえば、日本学生支援機構が真っ先に思い浮かぶ人が大半だと思われますが、この奨学金制度以外にも、多くの奨学金制度があります。



どのような奨学金制度があるのか、また受給できる奨学金の金額などを見てみましょう。



■全国の奨学金制度のうち、約半数は大学対象



日本学生支援機構の「令和元年度 奨学事業に関する実態調査報告」によると、令和元年度に奨学金制度を有していると回答した団体(以下「実施団体」という)は3809団体。



そして、これらの団体が実施している奨学金制度は8834制度。実施団体の区分別に見ると、最も多いのが学校で5615制度と全体の63.6%を占めており、次いで地方公共団体が1514制度(17.1%)、公益団体が1044制度(11.8%)となっています。



【奨学金】大学生の約半数が受給という現実「日本学生支援機構以外」に利用できる奨学金制度や金額は?

出典:独立行政法人 日本学生支援機構「令和元年度奨学事業に関する実態調査報告」



実際の実績がある奨学金制度のうち、大学を支給対象としてる制度は4629あり、奨学金制度のほぼ半数が大学を対象にした制度になっています。



実施団体別の内訳を見てみると学校の2576制度が最も多くなっています。



■【大学対象の制度数】



  • 学校…2576
  • 地方公共団体…1036
  • 公益団体…629
  • 医療関係機関…343
  • 営利法人…27
  • 個人・その他…18

次いで「地方公共団体1036、公益団体629、医療関係機関343、営利法人27、個人・その他18」となっています。



■奨学金制度を利用している大学生は100万人超。ひと月あたりの平均給付金額は約3万5千円



日本学生支援機構の奨学金制度も含めた奨学金制度を利用している大学生の数は109万1427人。そのうちの大半は日本学生支援機構(94万4920人)が占めていますが、14万6507人の大学生はその他の奨学金制度を利用しています。



【奨学金】大学生の約半数が受給という現実「日本学生支援機構以外」に利用できる奨学金制度や金額は?

出典:独立行政法人 日本学生支援機構「令和元年度奨学事業に関する実態調査報告」を元に筆者作成



日本学生支援機構以外の奨学金制度を利用している学生が受給する、奨学金の金額を見ていきましょう。



各団体によって奨学金の支給金額は異なるため、大学(大学院)を対象にした年間の奨学金事業額(594億2619万9000円)を対象奨学生(14万6507人)で除し、さらに12月数で除して奨学金の平均月額を算出したところ、3万3802円でした。



【奨学金】大学生の約半数が受給という現実「日本学生支援機構以外」に利用できる奨学金制度や金額は?

出典:独立行政法人 日本学生支援機構「令和元年度奨学事業に関する実態調査報告」を元に筆者作成



さらに、奨学生数の割合を月額ごとに見ると、「月額2~3万円」の割合が18.7%で最も高く、次いで「1万円未満」が18.2%、「3~4万円未満」が16.8%、「1~2万円」が13.6%、「4~5万円未満」が12.3%、「5~6万円未満」が10.2%と続きました。



一方、月額6万円以上の奨学金を受給している学生の割合も10%を超えており、10万円以上の学生も2.3%いることが分かります。



■日本学生支援機構の奨学金と併給はどうか



8834ある奨学金制度のうち、日本学生支援機構との併給が可否の状況を見ると、併給可としている制度は89.7%。



【奨学金】大学生の約半数が受給という現実「日本学生支援機構以外」に利用できる奨学金制度や金額は?

出典:独立行政法人 日本学生支援機構「令和元年度奨学事業に関する実態調査報告」



■【日本学生支援機構との併給の可否別の制度数】



  • 併給可…89.7%(7927制度)
  • 併給不可…5.9%(523制度)
  • 重複しない…4.3%(384制度)

※「重複しない」とは日本学生支援機構が貸与の対象としない学生を対象とした奨学金制度などの場合。



約9割の奨学金制度で、日本学生支援機構の奨学金と合わせて、受給することが認められています。



■大学の奨学金制度では給付型が9割超



奨学金には、返済不要の給付型奨学金と、返済が必要な貸与型奨学金の2種類があります。



大学が実施している奨学金制度で、給付型と貸与型、併用別での奨学生の割合は以下の通りでした。



【奨学金】大学生の約半数が受給という現実「日本学生支援機構以外」に利用できる奨学金制度や金額は?

出典:独立行政法人 日本学生支援機構「令和元年度奨学事業に関する実態調査報告」



■【大学の給付・貸与等別奨学生数】



  • 給付…10万1043人(93.2%)
  • 貸与…7210人(6.7%)
  • 併用…165人(0.2%)

給付型が93.2%、貸与型が6.7%、併用0.2%と、9割以上の奨学生が給付型奨学金を受給していることが分かりました。



日本学生支援機構で給付型奨学金を受給する場合、本人の「学力基準」だけでなく、収入や資産の「家計基準」も満たさなければなりません。



ですから、対象者は限定されることになり、給付型が多く占めるその他の奨学金制度とは、ずいぶん対照的な結果だといえそうです。



■選考基準は「人物・学力を重視」



大学が実施する奨学金制度について、奨学生を採用する際に重視する基準を見ると、「学力・人物を重視」する制度は44.6%。



【奨学金】大学生の約半数が受給という現実「日本学生支援機構以外」に利用できる奨学金制度や金額は?

出典:独立行政法人 日本学生支援機構「令和元年度奨学事業に関する実態調査報告」



■【奨学生の選考基準】



  • 学力・人物を重視…44.6%
  • 家計状況を重視…18.8%
  • 学力・人物と家計を同程度に重視…23.8%
  • その他…12.9%

次いで「学力・人物と家計を同程度に重視」する制度が23.8%、「家計状況を重視」する制度は18.8%と、6割以上の制度において、家計状況より人物・学力に重点を置いた選考になっています。



■まとめにかえて



奨学金制度は、学生が経済的な理由で進学を諦めることがないよう学資を借りたり、給付を受けたりすることができる制度です。



日本学生支援機構以外の奨学金制度は、事業規模は小さいかもしれませんが、返済が不要な給付型奨学金の割合が高い点で大変魅力的だといえます。



志望校を選ぶ際に、学校独自の奨学金制度の有無や、また住んでいる地域の自治体や団体の奨学金制度の有無も調べておくといいのでのではないでしょうか。



■参考資料



  • 日本学生支援機構「令和2年度 学生生活調査」( https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_chosa/__icsFiles/afieldfile/2022/03/16/data20_1.pdf )
  • 独立行政法人 日本学生支援機構「令和元年度奨学事業に関する実態調査報告」( https://www.jasso.go.jp/statistics/shogakukin_jittai/__icsFiles/afieldfile/2021/09/28/result2019_1.pdf )