2022年6月より、児童手当の現況届提出が原則廃止となりました。毎年提出する手間を省くほか、行政の事務手続き簡略化が目的とされています。
ただし、なかには例外で提出が必要なケースも。
そこで今回は、現況届提出が必要なケースの解説、および児童手当の制度をおさらいします。
■【児童手当】今後も現況届の提出が必要なケース
例外的に今後も現況届が必要なケースは次のとおりです。
- DVから避難しており、住民票とは異なる住所地で受け取っている方
- 6月1日現在で離婚協議中であり、配偶者と別居している方
- 無戸籍児童等がいる世帯
- 前年度(2021年)の現況届を提出していない方(時効は2年間)
自治体によっては里親や未成年後見人にも提出が義務付けられているため、お住まいの市区町村HPを確認してみましょう。
上記に当てはまらない世帯には、既に現況届廃止の通知が送られているでしょう。お手元にある手紙を確認してみてください。
なお、今後児童手当を請求する世帯は、請求手続きさえ行えば現況届の提出は免除となります。
ただし各自治体の判断によっては、これまで通りすべての児童手当受給者から現況届の提出を請求できるそうです。自治体から公表される情報は細かくチェックし、届出の漏れがないよう気を付けましょう。
次の項目では、児童手当の現況届を出し忘れたケースについて解説しています。
■現況届の提出を忘れたらどうなる?
過年度分の現況届を提出せずに2年以上経過すると、時効により児童手当の受給権が消滅します。
横浜市の場合は、過年度分の現況届の締切を次のように定めています。
- 過年度分「令和3年度 現況届」は令和5年10月15日
- 過年度分「令和2年度 現況届」は令和4年10月15日
※横浜市HPより引用
令和2年(2020年)から現況届を提出していない方は、時効が成立する前に早めの提出をしましょう。
なお現況届の再交付は、自治体HPからのダウンロードと児童手当の担当部署への郵送請求の2通りがあります。
■公務員で児童手当の届出が必要となるケース
公務員は次に該当する場合、その翌日から15日以内に現住所の市区町村と勤務先に届出・申請しなければなりません。
- 公務員になった場合
- 退職等により、公務員でなくなった場合
- 公務員ではあるが、勤務先の官署に変更がある場合
※横浜市HPより引用
配偶者が公務員になった場合も申立書の提出が必要です。
上記に当てはまる、もしくは今後当てはまる可能性がある方は、勤務先に確認を取りましょう。
■児童手当の所得制限についておさらい
児童手当とは、0歳から15歳までの児童を養育している世帯に対し、以下の金額を支給する制度です。
- 3歳未満:一律1満5000円
- 3歳以上~小学校修了前:1万円(第3子以降は1万5000円)
- 中学生:一律1万円
また、現行では一定の年収の世帯は「特例給付」として、月額一律5000円を支給しています。
しかし2022年10月以降になると、扶養家族の人数にかかわらず年収1200万円以上の世帯は、児童手当の特例給付5000円の支給対象外となります。
特例給付の5000円は、15年間毎月受け取ると1人当たり90万円にのぼります。扶養親族の人数が多いほど家計に響きますね。
ただし、年収が960万円~1200万円以下の世帯は、今のところ2022年10月以降も特例給付の対象です。
出所:内閣府「児童手当制度のご案内」
今後の政府の方針によっては、特例給付の所得制限が1200万円以下になる可能性もあります。
■年収1200万円以上に実践してほしい所得控除と節約法
税控除で年収1200万円以下を狙える世帯は、iDeCoの加入(もしくは増額)や固定費の見直しを検討してみましょう。
iDeCoの掛け金は所得控除の対象となり、児童手当の計算に反映されます。
新規加入には1~2ヵ月かかるので、早めの検討がオススメです。
住宅ローンなどの固定費を見直すのも有効です。各種ローンの返済額や保険料をすべて見直し、余計なお金を支払っていないか確認してください。
昨今は食費や水道光熱費の値上げも深刻です。
■現況届の提出漏れに要注意
現況届の提出を忘れて2年以上経過すると、児童手当の受給資格が消滅してしまいます。
締切間際に提出すると、手続きによっては受理が遅くなるかもしれません。
今のうちに現況届を用意し、速やかに提出しましょう。
■参考資料
- 厚生労働省「【内閣府子ども・子育て本部関係】」( https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000748149.pdf )
- 出雲市「令和4年度児童手当現況届について」( https://www.city.izumo.shimane.jp/www/contents/1243389968346/index.html )
- 横浜市「児童手当-年度更新について(現況届の提出は原則不要になりました)」( https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kosodate-kyoiku/oyakokenko/teate/teate/jite-genkyo.html#:~:text=%E9%81%8E%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E5%88%86%E3%81%AE%E7%8F%BE%E6%B3%81%E5%B1%8A,%E6%A8%A9%E3%81%8C%E6%B6%88%E6%BB%85%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82&text=%E3%81%9D%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AB%E3%81%94%E6%8F%90%E5%87%BA,%E6%8F%90%E5%87%BA%E3%82%92%E3%81%8A%E9%A1%98%E3%81%84%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82 )
- 横浜市「児童手当-令和4年度から児童手当の制度が一部変更になります」( https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kosodate-kyoiku/oyakokenko/teate/teate/jite-genkyo202210.html )
- 内閣府「児童手当制度のご案内 所得制限限度額」( https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/annai.html )
- 内閣府「令和3年児童手当見直しに関する 全国説明会資料」( https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/administer/setsumeikai/r030901/pdf/s1.pdf )