本格的に夏を迎え、毎日暑い日々が続いています。



海水浴やキャンプなど楽しいレジャーに心が躍る一方、熱中症や夏風邪など、体調を崩さないための注意も必要です。



特に高齢の方となると、症状が重くなることもあるので、より一層気をつけたいものです。



そこで今回は、厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」から高齢者の健康意識について振り返ったうえで、老後の貯蓄の実態も解説していきます。



■健康に関する高齢者の自覚症状の状況



まずは、同調査から健康に関して自覚症状の状況について振り返ります。



同調査では、有訴者(病気やけがなどで自覚症状のある者)は人口1000人当たり302.5という割合となりました。なお、本記事では「人口1000人当たりの自覚症状のある者の割合」を、有訴者率と呼びます。



60歳代の通院率は6割。貯蓄の統計を振り返りながら、お金とセットで考える「健康」の問題

出所:厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」



有訴者率を性別でみてみると、男性270.8、女性332.1と、女性の方が割合が高いことがわかりました。



年齢階級別で見てみると、「10~19歳」が157.1と最も低くなり、年齢が高くなるにつれて上昇する傾向が見て取れました。



なお、「60~69歳」では338.9となり、「80歳以上」では511.0という結果となりました。



60歳代の通院率は6割。貯蓄の統計を振り返りながら、お金とセットで考える「健康」の問題

出所:厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」



症状別では、男性では「腰痛」の有訴者率が最も高くなり、続けて「肩こり」「鼻がつまる・鼻汁が出る」といった結果となりました。



一方、女性では「肩こり」が最も高く、続けて「腰痛」「手足の関節が痛む」という結果となりました。



■高齢者の通院の状況



それでは次に、同調査から通院の状況について振り返っていきます。



60歳代の通院率は6割。貯蓄の統計を振り返りながら、お金とセットで考える「健康」の問題

出所:厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」



傷病による通院者は人口1000人当たり404.0という結果となりました。

なお、本記事ではこの「人口1000人当たりの通院者の割合」を、通院者率と呼びます。



性別で通院者率を見てみると、男性が388.1、女性が418.8となり、女性の方がやや高い結果となりました。



年齢階級別にみると、「10~19歳」の140.1が最も低く、年齢が上がるにつれて上昇し、「60~69歳」では586.3となり、「80歳以上」では730.3となりました。



60歳代の通院率は6割。貯蓄の統計を振り返りながら、お金とセットで考える「健康」の問題

出所:厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」



傷病別に見てみると、男性では「高血圧症」での通院者率が最も高く、続けて「糖尿病」「歯の病気」という結果となりました。



一方、女性では「高血圧症」が最も高く、続けて「脂質異常症(高コレステロール血症等)」「眼の病気」となりました。



■老後の健康とセットで考えたい貯蓄の問題



同調査では、多くの高齢者が通院していることがわかりました。



しかし、通院には当然費用がかかります。



日本の高齢者は、どのくらいお金に余裕があるのでしょうか。



そこで、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」を参考に、60歳代二人以上世帯の貯蓄額についてまとめていきます。



60歳代の通院率は6割。貯蓄の統計を振り返りながら、お金とセットで考える「健康」の問題

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和3年調査結果」をもとにLIMO編集部作成



■60歳代世帯「金融資産保有額」(※金融資産を保有していない世帯を含む)



  • 平均値:2427万円
  • 中央値:810万円

■保有額ごとの人数割合



  • 金融資産非保有:19.0%
  • 100万円未満:6.4%
  • 100~200万円未満:4.8%
  • 200~300万円未満:3.4%
  • 300~400万円未満:3.3%
  • 400~500万円未満:2.6%
  • 500~700万円未満:5.9%
  • 700~1000万円未満:5.3%
  • 1000~1500万円未満:8.4%
  • 1500~2000万円未満:6.0%
  • 2000~3000万円未満:9.6%
  • 3000万円以上:22.8%
  • 無回答:2.6%

このデータによると、金融資産「ナシ」を含めた貯蓄100万円未満の割合は、25.4%となりました。



4世帯に1世帯という計算となります。



一方、最も金額の大きい「3000万円以上」のクラスは22.8%となりました。



貯蓄が3000万円以上あれば医療費もまかなえるかと思いますが、100万円未満となると、かなり厳しいのではないかと思います。



■まとめにかえて



常日頃気を付けたい「健康」の問題。



しかし、高齢になればなるほど、健康の問題はお金の問題とセットで考える必要が生じてきます。



老後を迎えた時にお金の余裕を持てるよう、早い段階からコツコツ準備を進めていきましょう。



■参考資料



  • 厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」( https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/04.pdf )
  • 金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯](令和3年)( https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari2021-/2021/ )