■大都市圏限定!初乗り運賃で電車に乗りまくり
関東圏のJR初乗り運賃は140円。たったこれだけの料金で、関東圏の電車に1日中乗車して、電車の旅を満喫することができるのをご存知でしょうか?
実は、東京、大阪、福岡、新潟、仙台のJRには「大都市近郊区間」というものが設定されています。
もし、通った区間の運賃を厳密に実際通った区間の運賃で徴収すると、出発駅から目的地の駅までの運賃が何通りにもなります。すると、切符の販売がとてつもなく繁雑になりJRも乗客も困ります。乗客が自動販売機で切符を買うにも、乗車経路をいちいち指定しなければなりません。
そこで生まれたのが、大都市近郊区間の特例です。
大都市近郊区間内であれば、出発駅から目的地までの駅までの運賃は「もっとも安くなる経路」で計算することになっています。ですから、大都市近郊区間内を「重複せずに一筆書き」かつ「同じ駅を通らない」「途中で駅の改札を出ない」という条件であれば、初乗り運賃で、好きなだけ電車に乗ることができるのです。
たとえば、東京駅近郊区間内の東京駅から神田駅までを考えてみましょう。東京駅で140円の切符を自動販売機で購入して乗車するわけですが、山手線に乗車して一駅で神田駅の改札を出ても、品川駅を経由して、茅ヶ崎→八王子→高崎→新前橋→小山→友部→我孫子→成田→千葉→秋葉原→神田という経路で乗車しても、途中駅で改札を出ない限り、運賃は同じです。つまり、たった140円で丸1日電車の旅が楽しめるのです。
鉄道ファンの間では、この乗車方法は「大回り乗車」という言葉で知られています。「大回り乗車」と検索すると「乗りテツねっと」のように、大回り乗車の詳しい解説をしているサイトもあります。
まだまだ、一般には知られていない大回り乗車。JRもこの乗車方法を推奨しているわけではありませんが、運賃規則上は、なんら問題のない方法なのでご安心ください。ただ、実践するにはちょっとしたコツが必要です。ここでは、失敗しない大回り乗車の方法をご紹介します。
■計画のポイントは「食事」と「座る」でゆる~く立てる
出発前に必ずやっておきたいのが、旅程表の作成です。一つの電車ごとに出発駅と到着駅を時刻と一緒に書いていくと見やすくなります。今は時刻表のスマホアプリがありますし、ネットで「時刻表」と検索すると電車の時刻を簡単に調べることができます。次のようにホームの「番線」、「行き先」、「始発駅」かどうかを書いておくと必要な情報が一目でわかります。
- 東京(9:04)7番線→上野(9:07)5番線:宇都宮行き
- 上野(9:11)11番線→友部(11:07):勝田行き:始発
さて、せっかくの電車の旅、楽しくなるかならないかは、旅程の計画次第です。事前にある程度、目的を持って計画を立てると上手くいきます。特にとくに「食事をどこでとるか?」と「座れるかどうか?」は重要なポイントです。通勤電車型の多い大都市圏では、駅に入ってしまうと食事ができる場所は意外と少ないからです。
また、通勤通学のように、車内で立って移動するのも旅行気分が盛り上がらないので避けたいところです。電車の始発駅から乗車すれば、早めに並んでおくと座って移動できる確率が高くなります。できるだけ、始発駅から乗車するようにしましょう。
まず、駅で弁当を購入して食事を車内でする場合、新幹線や特急のように、他の乗客と視線を合わすことがない座席では、車内で弁当を食べてもさほど気になりません。しかし、大都市近郊区間内を走る電車の多くが、通勤電車型のロングシートと呼ばれる、乗客同士が対面する長い座席です。座っていても、対面に座っている乗客や目の前に立っている乗客と目を合わせることになります。そんな状況の中で弁当を食べる勇気のある人がどれだけいるでしょうか?
ですから、車内で弁当を食べるなら、ボックス型と呼ばれる4人が座れる箱型の座席や、追加料金はかかりますがグリーン車や特急を利用します。ボックス型の座席がある車両やグリーン車は、東海道本線、宇都宮線、高崎線、常磐線の一部電車に連結されています。また、常磐線には多くの特急が走っていますので、上手に旅程に組み込んでみましょう。
また、車内での食事よりも駅構内やホームで、という方には、飲食店が充実している改札内の駅ナカで食事がオススメです。

品川駅構内(寿司)

品川駅構内(蕎麦)
また、140円でいくらでも電車に乗れるからと言って、乗車距離を欲張りすぎないことも大切です。24時間でも電車に乗れる方は良いのですが、電車に長時間乗っていると疲れます。ですので、最初は、電車に乗る合計時間を6時間以内に留めておくと良いでしょう。
とくに、お子さんと一緒に行く場合は、駅ナカで十分に休憩できる無理のないプランを組みましょう。まず「大都市近郊区間」の範囲を確認しましょう。「大都市近郊区間」と検索すればJRのサイトが出てきます。東京近郊区間は、かなりの広範囲になりますので、大回り乗車のプランを立てること自体も楽しい時間です。時刻表アプリや「時刻表」で検索を使って予定を立てていきます。
参考:JR東日本ホームページ「大都市近郊区間の特例」( https://www.jreast.co.jp/kippu/1103.html )
■東京駅を出発して駅弁と駅ナカでスイーツを楽しむプラン
編集部注:初出時のモデルルートの一部に誤りがありましたので、2017年8月7日15:35に訂正いたしました。
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朝に東京駅を出発し、隣の有楽町駅に15時ごろに戻ってくるプランを考えてみました(土曜・休日ダイヤ)。
ポイントは、できるだけ始発駅から乗車することと、朝食と昼食を東京駅で購入してしまうことです。そして、上野→友部の常磐線のボックス席かグリーン車で朝食をとり、友部→小山の水戸線で昼食をとります。大宮駅では気に入ったお店でスイーツを満喫します。具体的な旅程は次の通りです。
- 出発前に東京駅で朝食と昼食の駅弁を購入
- 東京(8:46)7番線→上野(8:52)5番線
- 上野(9:11)11番線→友部(11:06)勝田行き:始発駅
- 友部(11:17)→小山(12:20)小山行き:始発駅
- 小山(12:22)→大宮(13:11)逗子行き
- 大宮駅の駅ナカでスイーツ
- 大宮(14:12)→大崎(14:56) 逗子行き
- 大崎(15:03)→有楽町(15:16) 品川・東京方面
東京駅には「祭」という駅弁屋があります。北海道から九州まで日本各地の駅弁を取り揃えているので、最低20分ぐらいは弁当を選ぶ時間に取っておきましょう。
大宮駅の駅ナカはスイーツの充実度が凄いです。改札を出ずとも、これだけのお店が揃っているの駅ナカは、大回り乗車にはありがたい存在です。
■駅スタッフとのトラブルを避けるために
ルール上は問題ない「大回り乗車」ですが、無用なトラブルは避けたいものです。ルールに則って乗車している証拠として、作成した旅程表をすぐに駅スタッフに見せられるようにしておきましょう。
また、目的地駅で改札を出る時、長時間の乗車で通れないことがありますので、有人改札から出られることをオススメします。
しっかり、準備をして140円で楽しむ電車の旅、車内は冷房も効いていて快適なので夏にはピッタリの遊びスタイルです!