売買ランキングから見る、6月下旬の注目点
2019年6月下旬 米国株式売買ランキング 順位 ティッカー 銘柄名 関連するテーマ 1 AMZN アマゾン・ドット・コム eコマース、クラウド、AI 2 BYND ビヨンド・ミート 代替肉 3 WORK スラック・テクノロジーズ ソフトウェア 4 MSFT マイクロソフト クラウド、PC 5 ZM ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ ソフトウェア 6 V ビザ キャッシュレス、フィンテック、eコマース 7 AAPL アップル スマートフォン、エンターテインメント 8 SPXL Direxion デイリー S&P 500 ブル3倍 ETF 米国株式市場全体(レバレッジ) 9 FB フェイスブック SNS 10 GDX ヴァンエック・ベクトル・金鉱株ETF 金(ゴールド) 注釈:楽天証券金額ベース。6月17日~28日、国内約定日ベース6月下旬の売買ランキングの注目点としては、やはり上位に数多く入ったIPO銘柄でしょうか。ビヨンド・ミート(BYND)やスラック・テクノロジーズ(WORK)、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)の3銘柄がTOP5にランクインするなど、直近で新規上場した銘柄への注目の高さがうかがえます。
ランキング上位の銘柄について、直近の動向を解説
売買ランキングのTOP5に入った銘柄(ETF:上場投資信託を除く)や、その他注目銘柄について直近の動向を見ていきたいと思います。
アマゾン・ドット・コム(AMZN)

6月下旬の売買ランキングでも、1位は引き続きアマゾンとなりました。独占禁止法問題もひとまず落ち着き、特に目新しいニュースも出ない中、高値圏で横ばいの値動きとなっています。
7月上旬も小動きの展開が続くかもしれませんが、7月15~16日には今年も年に1度のプライム会員向け大型セール「プライムデー」が開催される予定なので、7月下旬はその販売動向の速報が流れる中、株価も動き出すかもしれません。
ビヨンド・ミート(BYND)

6月上旬のランキングでは10位でしたが、6月下旬のランキングでは一気に2位にランクイン! ビヨンド・ミート(BYND)は植物由来の代替肉を手がける企業ですが、その話題性からか強気派・弱気派の戦いが激しくなっており、株価が一時IPO価格の7倍以上になる中で、空売りも多く溜まってきていると報じられています。
金融分析会社S3パートナーズによると、なんと浮動株全体の半数近い数の空売り残高が一時積み上がったとのことで、多くの人たちがこの代替肉ビジネスの先行きを疑問視し空売りを行っているようです。現状は強気派が優勢ですが、果たしてこのまま強気派が勝ち、踏み上げ相場が発生するのかどうか、注目していきたいところです。
スラック・テクノロジーズ(WORK)

スラック・テクノロジーズは企業向けのビジネスチャットツールを手がける企業です。私も使ったことはありませんが、どうやらその「Slack」というソフトはeメールに対するLINEやMessengerのような存在で、非常に便利なツールのようです。
ちなみにスラックは「直接上場」という珍しい形で上場を行ったので、通常のIPO(新規公開株)のような「公募価格」がないため上場後の値動きについて評価が難しいところがありますが、上場時の「参照価格」が26ドルだったことを考えると、ひとまずは底堅い値動きと言ってもいいかもしれません。
マイクロソフト(MSFT)

4位はおなじみマイクロソフトです。6月25日にはウォール・ストリートのアナリストの一人が「マイクロソフトのAzureは、アマゾンのAWSではない(AWSのような成功はクラウドサービスで収められないだろう)」などと慎重な見方を示し、株価が押される場面もありましたが、大きく崩れることはなく、引き続き非常に堅調な値動きとなっています。
ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)

5位はまたしても直近IPOを行った銘柄がランクイン。ここまで多くのIPO銘柄が売買ランキング上位に入ってくるというのは、なにかこう世代交代が起きているような印象を受けますが、こちらのズーム・ビデオ・コミュニケーションズは「Zoom」というWeb会議システムを手がけている企業です。Web会議システムというとシスコの会議システムや、Skypeなどが思い浮かびますが、現在はこの「Zoom」という新しいものが急速に広まっています。
私も実はこの「Zoom」は何度か使ったことがありますが、確かに使いやすく「洗練している感」があります。最も使われている検索サイトがヤフーからグーグルへと移ったように、Web会議システムは「Zoom」へと世代交代が行われているのかもしれません。
今後の動向について
G20は急遽開催された米朝首脳会談など見どころいっぱいのイベントでしたが、ひとまず対中関税が一旦見送りとなったことから、次の焦点は今月末に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)と、今月中旬から始まる4-6月期決算シーズンの行方でしょうか。
7月最初の週は4日のアメリカ独立記念日の関係で市場関係者の多くが休暇に入りますので、おそらく今月前半は閑散相場が続き、相場は膠着モードに入るのではないかと思っていますが、後半は決算を含めイベントラッシュですので、嵐の前の静けさとなるかもしれません。
本資料は、掲載されているいかなる銘柄についても、その売買に関する勧誘を意図して作成したものではありません。本資料に掲載されているアナリストの見解は、各投資家の状況、目標、あるいはニーズを考慮したものではなく、また特定の投資家に対し特定の銘柄、投資戦略を勧めるものではありません。また掲載されている投資戦略は、すべての投資家に適合するとは限りません。銘柄の選択、売買、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。本資料で提供されている情報については、当社が情報の完全性、確実性を保証するものではありません。本資料にてバリュエーション、レーティング、推奨の根拠、リスクなどが言及されている場合、それらについて十分ご検討ください。
(中川 潤一)