日経平均株価の波乱はまだ続きそうです。それでも日本株は「買い場」と判断しています。
銘柄の選び方として、今日は米国でかつて有名になったことがある「ダウの犬」と呼ばれる手法をご紹介します。
「ダウの犬」戦略とは
米国で有名になった投資手法です。投資方法はきわめてシンプルです。
たったこれだけのシンプルな投資方法で、NYダウを上回るパフォーマンスが挙げられることが多かったので、「ダウの犬」戦略は有名になりました。
「ダウの犬」を日本株に応用
このシンプルな方法は、日本株にも応用可能です。
NYダウは米国に上場する時価総額の大きい銘柄30から構成されます。日本で言えば、時価総額上位30社から構成される「コア30」と言う指数があります。その構成銘柄から配当利回りの高い10銘柄を選べば、「ダウの犬」と同様の戦略をとることができます。コア30に属する銘柄のうち、今期配当予想を開示している24社から、配当利回りの高い10銘柄を選んだのが、以下の表です。
東証1部コア30採用銘柄のうち、配当利回り上位10社:8月21日時点 NO コード 銘柄名 業種 配当利回り 最低投資金額:円 1 2914 日本たばこ産業 食品 6.9% 223,900 2 8316 三井住友FG 銀行 5.2% 346,000 3 4502 武田薬品工業 医薬品 5.1% 352,600 4 8306 三菱UFJ FG 銀行 5.0% 50,180 5 8031 三井物産 商社 4.9% 164,050 6 8058 三菱商事 商社 4.9% 256,750 7 8411 みずほFG 銀行 4.9% 15,430 8 9437 NTTドコモ 情報通信 4.5% 263,950 9 7267 本田技研工業 自動車 4.5% 248,050 10 9433 KDDI 情報通信 4.0% 277,800 出所:配当利回りは、1株当たり年間配当金(今期会社予想)を8月21日株価で割って算出
実際にポートフォリオを作ってみる
それでは、上記の10銘柄を使って、実際にポートフォリオを組んでみましょう。
完全に10銘柄に同額を投資することはできないため、なるべく等金額になるように作ったのが、以下のポートフォリオです。全体の金額は約255万円です。このポートフォリオの平均配当利回りは5.0%です。
東証1部コア30銘柄から作った「ダウの犬」ポートフォリオ(平均配当利回り5.0%) 銘柄名 配当利回り 21日株価 投資株数 投資金額 投資比率 日本たばこ産業 6.9% 2,239.0 100 223,900 8.8% 三井住友FG 5.2% 3,460.0 100 346,000 13.6% 武田薬品工業 5.1% 3,526.0 100 352,600 13.8% 三菱UFJ FG 5.0% 501.8 400 200,720 7.9% 三井物産 4.9% 1,640.5 100 164,050 6.4% 三菱商事 4.9% 2,567.5 100 256,750 10.1% みずほFG 4.9% 154.3 1,400 216,020 8.5% NTTドコモ 4.5% 2,639.5 100 263,950 10.4% 本田技研工業 4.5% 2,480.5 100 248,050 9.7% KDDI 4.0% 2,778.0 100 277,800 10.9% 合 計 5.0% - - 2,549,840 100.0% 注:楽天証券経済研究所が作成、株価は2019年8月21日時点
次に、非課税で投資できるNISA(小額投資非課税精度:年間の投資枠は120万円)で、投資できるように、投資金額を114万円に抑えて作ったのが、以下のポートフォリオです。このポートフォリオの平均配当利回りは5.1%です。
ダウの犬ポートフォリオから、114万円で買えるように5銘柄にしぼったポートフォリオ(平均配当利回り5.1%) 銘柄名 配当利回り 21日株価 投資株数 投資金額 投資比率 日本たばこ産業 6.9% 2,239.0 100 223,900 19.6% 三菱UFJ FG 5.0% 501.8 300 150,540 13.2% 三菱商事 4.9% 2,567.5 100 256,750 22.5% 本田技研工業 4.5% 2,480.5 100 248,050 21.7% NTTドコモ 4.5% 2,639.5 100 263,950 23.1% 合 計 5.1% - - 1,143,190 100.0% 注:楽天証券経済研究所が作成、株価は2019年8月21日時点
上記はあくまでも1つの例に過ぎません。投資金額を変えれば、他にもさまざまな投資の組み合わせが可能です。
手作りファンドならば、信託報酬がかからない
投資信託で「高配当ファンド」を選んで買うのもいいですが、まとまった資金があるなら、自ら「手作りファンド」を作り、個別銘柄を買って長期保有するのも良いと思います。
投資信託を保有すると、信託報酬(ファンドから差し引かれる管理手数料)がかかりますが、自分で個別銘柄を保有すれば、信託報酬はかかりません(買う時に売買手数料は必要です)。長期(5~10年)で資産形成を考えるならば、自分で作ったポートフォリオに長期保有することを考えたらいかがでしょう。
なお、このように自分でポートフォリオを組むときに1つ注意点があります。「同じバスケットにすべての卵を入れるな」という投資格言があります。単一のリスクを取りすぎないよう、分散投資せよという意味です。同じ業種の銘柄ばかりでなく、いろいろな業種に分散投資した方が良いと思います。
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