個人投資家ならぜひ狙ってみたい「テンバガー」。テンバガーとは、株価が10倍に値上がりした株のこと。
株価が10倍以上になる株の特徴や気を付けるべきことは何か。まずは基本的な知識をおさえましょう。
買った株の株価が10倍になったことはありますか?
皆さんは、買った株の株価が10倍になったという経験はありますか? 筆者は何度もあります。
もし「そんなの無理だ…」と思っている方がいれば、ぜひ考え方を改めてください。株価が10倍になることなど、決して珍しい話ではないからです。
ただし、何も考えずに適当に買って、株価が10倍になるのを待つ、というのはあまりお勧めしません。
テンバガーにまで株価が上昇する3つのパターン
筆者は、株価が10倍、テンバガーにまで上昇するパターンは主に3つであると考えています。
(1)テーマ株相場の流れにより短期間で一気に上昇するケース
これは、直近であれば新型コロナウイルス感染拡大をきっかけとしてマスク関連、防護服関連、ワクチン開発関連の株が短期間に大きく上昇したケースが該当します。例えば 川本産業(3604) は2019年8月の381円が、2020年2月には4,000円となりました。
また、アベノミクス相場初期の2013年前半には、バイオ関連株が一斉に大きく上昇し、軒並み株価が10倍以上になりました。例えば テラ(2191) の株価は2012年6月の275円から2013年5月には4,970円まで上昇しました。
このケースはとにかく株価が上昇するスピードが速いのが特徴です。
(2)大きく売り込まれたもののその後業績が回復して大きく上昇するケース
これは、景気により業績が大きく変動する業種で、業績がどん底の状態から急速に回復する過程において現れることが多いです。典型的なのが不動産株です。
例えば サンフロンティア不動産(8934) は、2011年8月の69円が2013年4月には1,529円となりました。
(1)のテーマ株ほどではありませんが、このパターンも比較的速いスピードで株価が上昇します。
(3)業績の伸びが何年も続いたことにより株価が大きく上昇するケース
これは、企業業績の伸びが何年も続くことにより株価もそれに比例して上昇を続けるケースです。いわゆる「成長株」と呼ばれるものにこのパターンが多いです。IPO(新規公開株)から大きく株価が伸びるケースもこれに該当します。
例えば 日本M&Aセンター(2127) は2012年1月の153円(株式分割考慮後)が2020年1月には4,110円になりました。また、 WDBホールディングス(2475) は2011年8月の170円(株式分割考慮後)が2018年3月には4,540円になりました。
このケースは株価上昇のスピードは(1)(2)に比べて遅いですが、それでも数年で10倍、というのは珍しくありません。
個人投資家が狙うべきはどのケース?
では、私たち個人投資家としては、上記(1)~(3)のどれを狙うべきでしょうか?
もしデイトレードや短期売買をしている人であれば、(1)テーマ株相場の流れにより短期間で一気に上昇するケースが最も狙い目です。なぜなら、株価が短期間で大きく上昇するため、上手に立ち回れば効率的に資産を増やすことができるからです。
ただし、短期売買をしない人は、(1)は非常にリスクが高くなります。特に、株価が大きく上昇したところを飛びついて買って保有を続けた結果、首尾よく上昇が続けばよいですが、そうならずに失速して急落してしまうことも頻発する点には要注意です。
時には、朝方ストップ高で寄り付いたと思ったら、終値はストップ安で終わり、1日だけで30%、40%も下落してしまうこともあります。
したがって、中長期投資をする人は、(1)は避けて(2)大きく売り込まれた後、業績が回復して大きく上昇するケースや(3)業績の伸びが何年も続いたことにより株価が大きく上昇するケースを狙うことを狙うことをお勧めします。
(2)であれば株価が大きく下落し、業績がボトムをつけたあたりで買うことができれば、その後の大きな上昇が期待できます。
また、(3)であれば業績が伸びている株をまずは見つけることが近道となります。
具体的にどのように行動するべきかについては、次週以降に詳しく解説していきます。
これだけは言いたい!テンバガーは「狙わない」
テンバガーを何度も経験している筆者から、皆さんにこれだけは言いたい! ということがあります。それは、テンバガーになる株を「狙わない」ということです。
筆者が今まで経験したテンバガー株は、いずれも「たまたま買った株」です。もちろん、何も考えずにやみくもに買っているわけではなく、将来の株価上昇が期待できると思って買っているわけですが、株価が10倍になると思って買ったわけではありません。
もし、テンバガー株を狙おうとすると、株価が上昇せずに下落したとしても、「この株は業績も絶好調だし株価が大きく上がるに違いない」と無意識のうちに決めつけたりして、必要な損切りを怠り、その結果大きな含み損を抱えることになりがちです。
あまり気合を入れたり、力んでもテンバガーは見つかるものではありません。そもそもテンバガーになるのは結果論です。
したがって、筆者であればもしかしたらテンバガーになるかもしれない、という程度の株を複数銘柄(できれば10銘柄以上)投資します。
ぜひ、気負わずにテンバガーに出会えればラッキー、くらいの気楽な気持ちで投資してみてください。意外と大きな成果が出ることが少なくないですよ。
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(足立 武志)