今日のレンジ予測

[本日のドル/円]上値メドは111.20下値メドは109.80

米国でビジネストラベルが7割復活。秋に大規模なコンファレンスも多く予定

 11日(水曜)のドル/円は、やや「円高」、前日の高値更新後に下落。高値110.80円、安値110.31円、1日の値幅は0.49円。

 


 この日は110.55円からスタート。引き続きドル買いが優勢で、東京時間夕方には前日の高値(110.60円)を更新して110.80円まで上昇。しかし、NY時間の7月米CPI(消費者物価指数)の発表後は一転ドル売りとなって110.31円まで下落。終値は110.44円(前日比▲0.14円)。終値が前日比で円高なのは6営業日ぶり。


 マーケットの注目を集めていた7月米CPIの結果は、前月比+0.3%、前年比+5.4%という結果でした。

数字として強かったのですが、事前予想とほぼ同じ水準。つまりFRB(米連邦準備制度理事会)が今以上に緩和縮小を焦る必要がないということ。株式市場にとっては安心材料となりましたが強い数字を期待していたFXにとってはやや失望の結果でした。一部で噂されていた10月緩和縮小開始の見方が後退したので、米10年債利回りも低下。インフレはピークをつけたかどうかについては、単月の結果では判断が難しい。ただ雇用統計後に起きた「利上げ熱」はやや静まりそうです。


 NY株価堅調のなかで商品価格が落ち着きを取り戻し、今日の注目通貨はドル/円です。


 1年前、ドルは基軸通貨としての地位を疑問視されていました。コロナ対策としてFRBが未曾有の緩和政策を打ち出し、景気対策によって膨らんだ米国の史上空前の財政赤字が危険視されていたからです。


 その結果、大量のドルショートポジションがマーケットに積み上げられていったのですが、6月FOMC(米連邦公開市場委員会)で、強気のドットチャート、いわゆる当局者による利上げ予想が公表されたことがショックとなって、ドルショートの解消が始まり、それはポジションがフラットになるまで続きました。


 グローバルFX市場でこのようなドルポジションの急激な反転が起こることは非常に稀であり、いったん発生した場合には、その変動が大きくなる可能性が高い。マーケットはドルショートの手じまいを終え、今度はロングの積み立てを始めています。

短期的なデコボコはあっても「トレンドとしてのドル高」はこれからが本番でしょう。


ドル/円111円、なぜ失敗した? 今は110円割れが危険。今月高値更新の豪ドル/円は反発チャンス?
出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

主要指標 終値

ドル/円111円、なぜ失敗した? 今は110円割れが危険。今月高値更新の豪ドル/円は反発チャンス?
出所:楽天証券作成

今日の一言

自分の不運を嘆いたり、怒ったりするのではなく、目を見開いて、辛抱強く、すでに「手にしているもの」を探してみる


Have You Ever Seen the Rain?

 バイデン大統領は4月、「米国における一世代に一度の投資」と銘打って、大インフラ投資計画を発表しました。1950年代の州間高速道路システムの建設以来、過去70年間で最大規模の計画になります。


 バイデン大統領のインフラ投資計画は、橋や道路の建設といった「オールド・エコノミー」だけではなく、水道管交換や高速ブロードバンドなどの整備や人工知能(AI)など研究開発投資に、防衛関連以外としては過去最大の投資金額を見込んでいます。


 バイデン大統領は「インフラ計画は中国との競争で不可欠」であると強調。インフラ計画には、中国からの部品供給の依存度を下げるために、半導体のサプライチェーン(供給網)強化も盛り込まれています。


 バイデン政権が中国との対立姿勢を明確にしたことは、地政学的にも重要です。

両国の緊張関係はトランプ前大統領時代よりも、高まったとも考えられます。


 米上院は10日、超党派によるインフラ投資法案を賛成69、反対30の賛成多数で可決しました。投資計画は、当初案から半分以下の1兆ドル規模まで縮小されました。しかし金額よりも、民主党と共和党が協力する「超党派」の合意であることに意義がありました。バイデン大統領はこの投資計画を、トランプ前大統領によって分断されたアメリカ政治を修復する象徴にしたい考えがあったからです。


 上院は、社会福祉や気候変動などに対応した3.5兆ドル規模の財政支出法案についても、審議入りを承認。

下院は夏季休暇を早めに切り上げ、23日の週から議会に戻ります。下院で可決されると、予算案は上院に戻されますが、共和党からの反対が予想され、成立できるかどうかは不透明。そこで民主党は財政調整措置(リコンシリエーション)と呼ばれる特別な仕組みを使い、共和党の賛成がなくても可決する考えです。


「財政調整措置」とは、上院の多数派が、優先順位が高いと見なす法案を強引に通過させるための仕組み。財政調整措置を用いると単純過半数での採決が可能になります。つまり民主党は50人と議長のハリス副大統領の1票で事足りることになります。


 バイデン・インフラ投資計画に対するマーケットの関心はいまひとつのようです。景気刺激策のような即効性がないせいかもしれません。しかし金額の巨大さを考えるなら、9月以降の米10年債利回りとドルの方向に少なからぬインパクトを与えることになるでしょう。


ドル/円111円、なぜ失敗した? 今は110円割れが危険。今月高値更新の豪ドル/円は反発チャンス?

今日の注目通貨

豪ドル/円:今週の予想レンジ ↑82.16円 ↓79.68円

 今週の豪ドル/円のピボット(ブルベア判断の分かれ目)は、80.92円。
80.92円より上ならば豪ドル買いが優勢、80.92円より下ならば豪ドル売りが優勢と判断します。


 2021年これまでの高値は85.80円、安値は78.85円。平均値は82.33円、値幅は6.95円。
1日の最大値幅は1.84円、最小値幅は0.19円。平均値幅は0.66円。
先週末の終値は、2020年終値に比べて1.08円の円安。


82.63円 :     第4レジスタンス (HBO)
82.16円 :     第3レジスタンス


81.68円 :     第2レジスタンス
81.58円 :     08月 高値
81.54円 :     第1レジスタンス


81.04円 :     08月 61.8%


80.92円 : ピボット


80.87円 :     08月 平均値
80.70円 :     08月 38.2%
80.30円 :     第1サポート
80.16円 :     08月 安値
80.15円 :     第2サポート 


79.68円 :     第3サポート
79.20円 :     第4サポート  (LBO)


78.85円 :     2021年 安値


2021年 豪ドル/円データ

ドル/円111円、なぜ失敗した? 今は110円割れが危険。今月高値更新の豪ドル/円は反発チャンス?

(荒地 潤)