今日のレンジ予測

[本日のドル/円]上値メドは147.70 ↓下値メドは145.95 

日本買い:2024年は円資産で「一世代に一度の資産再配分」が起きる
日本雇用市場:労働者不足が深刻。求人数が求職者を60%も上回る
メキシコ利下げ:メキシコ中銀、来年2月から利下げサイクルへ
NZ:移民による人口増加でインフレ上昇リスク。RBNZは2025年まで利下げなし
FRB:NY連銀総裁「FF金利はほぼピークに達している」


市況

 2024年12営業日目のドル/円は、前日比1.40円の「円安」。24時間のレンジ幅は1.73円。


 東京市場から始まったドル買いは、この日1日を通して続いた。この背景には、月曜日の休日明けに米国の長期金利が上昇したこと、トランプ前大統領がアイオワ州の共和党予備選で勝利したこと、そして中東の地政学的リスクの高まりでリスクオフが強まったことがある。やや想定外のドル高にドルのショート・ポジションが買い戻されたこともドル上昇を強めた。


 1月16日(火曜)は145.68円でオープン。東京時間 朝にやや下げた145.58円がこの日の安値となって、その後は底堅く上昇を続けた。


 1月米ニューヨーク連銀製造業景気指数が大幅に悪化したことでドルが売られる場面もあったが、ウォラーFRB理事の利下げ慎重発言で米長期金利が上昇するなかで、146円台を通り抜け明け方までかけてこの日の高値となる147.31円に到達した。

終値は147.18円。


レジスタンス:
147.31(01/16)
145.94(01/15)
146.42(01/11)
147.30(23/12/07)


サポート:
145.58(01/16)
144.82(01/15)
144.35(01/12)
144.32(01/10


 ウォラーFRB(米連邦準備制度理事会)理事のこの日の発言は、利下げを否定するものではなかったが、マーケットが期待するほどFRBは急がないという内容だった。早期利下げの期待が後退し、米金利が上昇に転じた。


 ウォラーFRB理事は「インフレが再上昇しなければ、FRBは今年中に利下げを行う可能性がある」としながらも、3月の利下げには慎重な姿勢を示した。金利市場は、合計で今年1.5%の利下げを想定しているが、ウォラー理事は12月FOMCのドットチャートで示された0.75%の利下げを支持しているようだ。つまりFRBの利下げ開始は6月以降、あるいは9月だと考えていることになる。


ウォラー理事はまた、過去5年分が新たな季節要因によって修正されることになる2月発表のCPI(消費者物価指数)改定値が重要だと指摘している。


主要指標 終値

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今日の為替ウォーキング

今日の一言

人生における敗北、苦しみは試練であり、不幸ではない – 大友宗麟


Money For Nothing

 2024年が始まり米国のNFP(雇用統計)とCPI(消費者物価指数)が発表された。
次は1月30-31日のFOMC(米連邦公開市場委員会)だ。


 FRBが金融政策の運営にあたって課せられている法的使命とは「物価の安定」と「最大限の雇用」を達成することであり、FRBのデュアル・マンデートと呼ばれている。


 デュアル・マンデートを具体的な数字で示すならば、「物価の安定」とは、コアPCEが2%の水準だ。PCEとは個人消費支出の略で、米国の家計が購入した財やサービスを集計した経済指標のことである。そのうち変動の激しい食品とエネルギーを除いた数字をコアPCEという。


「雇用の最大化」とは、失業率がNAIRU(Non-Accelerating Inflation Rate of Unemployment:非加速的失業率)の水準で、FRBはこれを4%と見積もる。


 パウエルFRB議長の理想は、失業者を出さずにインフレ目標を達成することである。失業率は自然な人口動態と労働力の変化によって上昇させる。しかし、この理想の実現は非常に困難である。


 FRBは「雇用の最大化」を達成した。あと残るのは「物価の安定」、すなわち労働市場を動揺させることなくインフレ率を下げることである。


 CPI(消費者物価指数)は、昨年6月のピーク時から1/3に低下した。しかし、下落の大部分はベース効果とエネルギー価格の下落のおかげだ。ベース効果は1年後には消えているし、エネルギーが今後も低価格で推移するという保証はない。


 一方、6月のコアPCEは前年比4.1%で、1年前の4.8%と比べてほとんど下がっていない。賃金上昇率は4.0%以上で高止まり、賃金と物価のスパイラルの脅威にも直面している。FRBはインフレとの戦いに勝利したのか?もしFRBがコアPCEに注目しているならば、決してそうではない。


 CPIの低下を受けて、利上げ終了との見方が強まっている。たしかに政策金利はピークに達したと思われる。注意しなくてはいけないのは、利上げ終了と利下げは全くの別物であるということだ。長期間にわたる高金利の維持と、労働市場の大幅な調整の必要性が残っている。FRBの仕事はまだ終わっていない


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今週の注目経済指標

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今週の重要ブレークアウトレベル

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コーンチャート分析

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(荒地 潤)