「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第57回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。
今日のクイズ
<クイズ>以下の表には、小売業3社の売上高と営業利益(売上高を100とした比率で表示)が出ています。以下のA社、B社、C社はそれぞれ、ファーストリテイリング(2024年8月期)、ZOZO(2024年3月期)、ヤマダホールディングス(2024年3月期)のうちのどれでしょう?
なお、 ファーストリテイリング(9983) (以下「ファストリ」と表記)は、カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開します。 ZOZO(3092) は、衣料品通販サイト「ZOZOTOWN」を運営、 ヤマダHLDG(9831) は、家電量販店「ヤマダデンキ」を展開します。
<小売業3社の売上高と営業利益>
個別株に投資する際には営業利益率にも注目
2024年にスタートした新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)では、「成長投資枠」(240万円)の範囲で個別株にも投資できます。日経平均株価や米国S&P500種指数などの株価指数に連動することを目指すインデックスファンドばかりではなく、個別株投資にも、チャレンジしてみると面白いと思います。
投資銘柄を選別する際には、一度、営業利益率を計算してみてください。
【営業利益率】=【営業利益】÷【売上高】×100%
営業利益率は、収益基盤がどれだけしっかりしているのかを見るのに有効です。営業利益率が安定的に10%を超えている企業は、まあまあ収益基盤がしっかりしていると言えます。安定的に20%を超えていれば、さらに信頼が増します。差別化されたビジネスで、安定的に利益を稼ぐことができていると考えられます。
一方、営業利益率が3%に満たない会社は要注意です。競争の激しいビジネスをやっている可能性があり、景気が悪くなった時には赤字に転落することもあり得ます。
できれば、1期だけの営業利益率を見るのではなく、過去4~5年の営業利益率の推移を見るのが望ましいです。景気が良い時に営業利益率が非常に高くても、景気が悪くなると営業赤字に転落するような企業は、収益基盤が不安定です。
正解は…
正解は以下の通りです。
A社はZOZO、B社はファストリ、C社はヤマダHDです。
<小売業3社の売上高と営業利益>
小売業3社の利益率を比較している上記の表から、業態によって利益率が大きく異なることが分かります。
ZOZOは無店舗販売ですが、「ユニクロ」を展開するファストリと、「ヤマダデンキ」を展開するヤマダHDは、有店舗販売が中心です(一部ネット販売もやっています)。
【1】A社:ZOZO
ZOZOは、さまざまなメーカーのブランド品を、通販サイト「ZOZOTOWN」で販売しており、受託販売手数料を得ています。自社で仕入れて売るわけではなく受託販売なので、利益率は高くなります(一部仕入れ品もあるが少ない)。無店舗販売なので、店舗を保有して運営するコストがかからないことも、利益率が高くなる要因です。ただし、品物の配送費は高くなります。
【2】B社:ファーストリテイリング
ユニクロは、中国やベトナムなどで生産した独自開発のプライベートブランド品を売る小売業です。差別化されたプライベートブランド品を販売するので、競争力が高く、利益率も高くなります(ZOZOより低いが小売業の中で高い方)。
【3】C社:ヤマダHD
ヤマダデンキは、ソニーやパナソニック、日立などのメーカー品(ナショナルブランド品)を中心に販売する小売業です。ナショナルブランド品は、他社でも販売しているため競争が激しく、利益率が低くなります。
テクニカル・ファンダメンタルズ分析を詳しく学びたい方へ
8月1日に、私の「株トレ」新刊が、ダイヤモンド社より出版されました。
「 2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ ファンダメンタルズ編 」
一問一答形式で、株式投資のファンダメンタルズ分析を学ぶ内容です。
2021年12月出版の前作で、テクニカル分析を学ぶ「 2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ 」の続編です。
(窪田 真之)