2024年7-9月決算は予想上振れ、オンラインゲームが好調持続へ
現地コード 銘柄名 03888金山軟件
(キングソフト)
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29.20HKD
(11/20現在)
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中国のオンラインゲームとオフィスソフト大手、キングソフトの2024年7-9月期決算はゲーム事業の貢献で力強い内容となった。ゲーム事業の売上高は前年同期比78%増。
7-9月期の売上高は前年同期比42%増の29億元に上り、粗利益率は84.2%と、前四半期比1.7ポイント上昇。ゲーム事業の比重の拡大が寄与し、営業利益率は39.3%へ7.2ポイント大きく改善した。純利益は前年同期実績の約14.5倍に当たる4億1,300万元。BOCIと市場の予想をそれぞれ4%、14%上振れた。
ゲーム事業の売上高は78%増の17億800万元と、BOCIの予想を27%上回る数字となったが、けん引役は新作「JX3 Ultimate」の好調と「JX3オンライン」の際立った好成績。同社は2024年12月通期のゲーム収入について前年比30%増を見込み、2025年も力強い伸びが続くとみている。2025年には五つの新作をリリースする予定。加えて、8月にベータテストを完了したSFメカゲーム「Mecha BREAK(解限機)」は国内外市場での事前登録者数が300万人を記録したという。BOCIはこうした点を考慮し、2025年、2026年のオンラインゲームの予想売上高を各7%増額修正している。
一方のオフィスソフト事業の売上高は7-9月期に前年同期比10%増の12億700万元。個人向けと企業向けのサブスクリプション収入が各17%増、横ばいとなり、企業向けライセンス収入は9%増。マクロ経済の減速に伴うIT支出の停滞が響き、いずれもBOCIの予想を下回った。ただ、BOCIは中国政府が今後数カ月内に景気刺激策を強化するとみて、政府機関、国有・民営企業のIT投資意欲の改善を予想。同社ビジネスへの恩恵を見込む。
ほかにクラウド事業は前年同期比16%増収。粗利益率は前四半期を0.7ポイント上回る16.1%。純損失率は前四半期比で縮小したとみられる。2025-2026年には、小米集団(01810)向けのAIクラウド業務(3年間の契約更新)がけん引役となる見通しという。
BOCIはオフィスソフト事業とクラウド事業について、2025年予想PSR(株価売上高倍率)12倍、1.2倍をあてはめ、ゲーム事業には予想PER(株価収益率)9倍を適用。さらに35%の持株会社ディスカウントを適用し、SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく目標株価を引き上げた。
レーティング面の潜在リスク要因としては、単一ゲームタイトル(JX)への依存度の高さや「信創」(中国当局による国産技術の優先的調達システム)需要の短期的な不透明感、コラボレーションソフト市場競争激化、AI製品の開発に絡むリスクを挙げている。
(Bank of China int.)