2024年のマーケットは良いことも悪いことも多く、波乱の年でした。


 新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)をきっかけに投資を始めた初心者の方に限らず、投資を長年続けてきた経験者の方も、昨年の波乱を過ごして2025年のマーケット事情が不安になっているのではないでしょうか。


 そこで、トウシルで連載を持つアナリストや専門家に、2025年の見通しについてアンケート形式でお聞きしました。


 注目点や警戒すべきサプライズを知り、少しでも2025年投資戦略の参考になれば幸いです。


※アンケートの回答は2024年12月時点のものとなります
 

回答者

・ ハッサク
トウシル連載: ハッサクのなるほど為替超入門
 


・ 楽天証券経済研究所チーフエコノミスト 愛宕伸康
トウシル連載: 3分でわかる!今日の投資戦略 (水曜日)
 


・ FX・CFD事業部 荒地 潤
トウシル連載: 毎ヨミ!為替Walker 、 今月の米国雇用統計
 


1.為替市場についてお聞きします。2025年注目すべき政治・経済イベント、テーマ、シナリオについて教えてください

(ハッサク)
 注目は日米金融政策です。FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げも日本銀行の利上げもペースは緩やかになると思われます。政策変更のタイミングが異なることから多少の上げ下げはあっても、日米金利差が縮小する方向は変わらないため、緩やかに円高が続くシナリオを想定しています。


 原油価格が下落すれば、FRBのペースが勝ることも想定されるため原油価格にも注目しています。


 トランプ次期大統領の発言や行動では、直接的に影響する「円安批判発言」を最も警戒しています。


(愛宕)
 景気・物価とも相対的に米国の方が強く、この点は円安圧力。日銀は利上げ、FRBは利下げと普通に考えれば円高圧力。しかし、いずれもすんなりいくとも考え難く、円高圧力は弱め。とすれば、緩やかな円安がベースシナリオとして想定可能です。


 最大の不透明要因はトランプ新政権の政策運営とインフレ動向。


 米国でインフレ再燃となれば、長期金利上振れで円安加速の可能性。長期金利の波乱で金融機関の財務が悪化すれば金融システム不安定化のリスクが高まる。そうなれば株価急落で円高となるでしょう。


(荒地)
 円に関しては、日銀の政策が重要です。その理由は二つあります。


 一つ目は、2024年のドル/円のトレンドがFRBや米国の経済指標よりも日銀の政策を理由に動いていたことです。そしてこの傾向は2025年にさらに強まると考えています。


 もう一つは、他の主要中央銀行がデータに基づいた(data dependency)金融政策を行っていることに対して、日銀はデータに基づかない政策決定を続けていること。


 つまり不透明部分が多く、ドル/円相場の変動要因となります。
 


2.ドル/円の最高値はいくらになると思いますか

(ハッサク)
1ドル=158円


(愛宕)
1ドル=165円


(荒地)
1ドル=160円 前後
 


3.ドル/円の最安値はいくらになると思いますか

(ハッサク)
1ドル=138円


(愛宕)
1ドル=140円


(荒地)
1ドル=138円 前後
 


その他、2025年気になることやトウシル読者・個人投資家に伝えたいことがあれば教えてください

(ハッサク)
 為替相場の変化は速いため、常に複数のシナリオを想定し、変化に対応できるよう半身の構えで相場に臨むことが重要と思われます。


(愛宕)
 2025年は、日米ともにインフレと長期金利の動向に注意が必要だと思います。


(荒地)
「努力した投資家が成功するとは限らないが、成功した投資家はみな努力している」
 


ハッサク


トウシル連載: ハッサクのなるほど為替超入門


・大手金融機関でセールス業務、為替ディーリング(22年)に従事し、若手社員にも為替関連業務を教示してきた大ベテラン。

「お金は戦後最大の成長産業」と言い切り、「新聞などの身近な情報で為替分析」がモットー。 


楽天証券経済研究所チーフエコノミスト 愛宕伸康


トウシル連載: 3分でわかる!今日の投資戦略 (水曜日)


・1991年神戸大大学院経済学研究科修了後、日本銀行。政策委員会審議委員スタッフ、物価統計課長、日本経済研究センター主任研究員(チーフフォーキャスター)などを歴任。岡三証券チーフエコノミスト、いちよし証券上席執行役員チーフエコノミストを経て、2023年10月より現職。東京財団政策研究所主席研究員なども兼任。著書に『日本経済 30の論点』日本経済新聞出版(2022年、共著)など。


FX・CFD事業部 荒地 潤


トウシル連載: 毎ヨミ!為替Walker 、 今月の米国雇用統計


・バンカース・トラスト(現ドイツ銀行)とスイス銀行コーポレーション(現UBS)、日本興業銀行で通貨オプションの経験を積む。活発な投機取引で知られたバンカースではアジアの取引時間帯のディーリング責任者として、マーケットメーカーとして積極的なディーリングを行う。スイス銀行と興銀では日本の機関投資家や事業法人にオプション関連商品を幅広くセールスし、バークレイズ銀行などをへて現在にいたる。


(トウシル編集チーム)

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