2024年配当を含む株主還元に失望感、海外向け「Trip.com」が当面の足かせに
現地コード 銘柄名 09961携程集団
(トリップ・ドットコム)
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世界最大級のオンライン旅行プラットフォーム、トリップ・ドットコムの2024年10-12月期決算は、売上高と非GAAP(一時損益などを除く調整後)ベースの営業利益がBOCIの予想を3%、5%上回る水準に達した。それでも市場の失望感を招いたのは期末配当が総額2億米ドル、1株当たり0.3米ドルにとどまったため。
2024年10-12月期の売上高は前年同期比24%増の127億6,800万元、非GAAPの営業利益は4%増の27億6,000万元。ほぼ全業務の回復でいずれも市場予想を上回った。営業増益率は低いとはいえ、想定の範囲内。10-12月期決算は堅調だったと指摘している。
経営陣は2025年に4億米ドルの自社株買いを実施すると発表。さらに2024年の普通配当を総額2億米ドルに設定したが、これは配当性向8%に相当し、市場予想を下回る。総額6億米ドル(43億8,000万元)の株主還元は2024年通期純利益の約30%に当たる。
海外向けの「Trip.com」の売上高は2024年に前年比70%以上増加し、早くも売り上げ全体の10%を占めるまでに成長した。BOCIによれば、2025年にはさらに50%超の増収を達成する見込み。ただ、抑え気味の株主還元策に示唆された通り、「Trip.com」のシェア拡大に向け、同社はさらに多くの資源を投下する可能性がある。また、「Trip.com」はまだ、多くの地域で赤字段階にあり、売上貢献がさらに15%へ上昇すれば、利益率が低下すると予想。2025-27年の予想営業利益(非GAAP)を9-10%下方修正した。
2025年1-3月期の売上高に関しては、前年同期比16%増との従来予想を据え置いた。旧正月期間中も、同社はインバウンド、純海外事業をはじめとする全業務で成長を持続。一部商品の平均販売価格の低下による影響を販売量の伸びでカバーする見通しという。
BOCIは2025-27年の予想純利益(非GAAP)を8-10%下方修正。SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく同社H株とADR(米預託証券)の目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。レーティング面の潜在リスク要因としては旅行需要が鈍化する可能性や、引き締め方向への規制強化、一段の競争激化、シェア拡大に向けたコスト増などの可能性、予想を下回る自社株買いと配当を挙げている。
(Bank of China int.)