iDeCoはNISAより節税メリットが大きく、資産形成で最初に検討すべき制度です。 加入資格がある方は、まずはiDeCoを枠いっぱいまで利用するのがおすすめです。

三つの節税メリットと主なデメリットについて説明します。


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資産形成は、非課税投資口座で

 資産形成の王道は、「長期・分散・積み立て投資」と言われます。私は、それにもう一つ、付け加えたいと思います。「長期・分散・積み立て投資」を「非課税口座で」やるのが、資産形成の王道と思います。NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)やiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)などの非課税投資口座を、使える範囲でしっかり使っていくことが大切です。


 今日は、資産形成を考えるとき、最初に検討すべき「iDeCo」について解説します。加入資格があるのに加入していない方がまだたくさんいます。加入資格があることに気づいていない方が多いかもしれません。


 皆さまが、制度をきちんと理解されているかチェックするために、以下のフローチャートで、ご自分がどこに該当するか、確かめてください。「加入資格」からスタートして、問いに答えながら先に進んでください。


iDeCoの理解度をチェックするフローチャート
iDeCo(イデコ)入っていますか?NISAよりも節税メリット大きい(窪田真之)
iDeCo(イデコ)の理解度をチェックするフローチャート

 加入資格があるかないか「わからない」方は、加入できるのに未加入の可能性があります。iDeCoは、原則20歳以上で一定条件を満たす方が加入できます。加入資格について、詳しいことは、勤務先などで確認してください。


 加入資格があり、加入するメリットもあるのに「未加入」の方は、節税メリットを受け損なっていて、もったいないと思います。早めにスタートした方が、良いと思います。


 ただし、加入資格があっても、入るメリットがない場合もあります。課税所得がゼロの方は加入メリットが小さくなります。それについても、後述します。


 ところで、非課税貯蓄制度として代表的なものに、「iDeCo」、「NISA」があります。iDeCoは、NISAより節税メリットが大きいので、加入資格のある方は、まずiDeCoを枠いっぱいまで使って積み立て投資するのが良いと思います。


 iDeCoに加入資格のない方、あるいは、すでにiDeCoを枠いっぱい使っていてさらに投資余力のある方は、NISAも使うという考えで良いと思います。iDeCoファースト!


 それでは以下、iDeCoの制度概要を解説します。


節税メリットはフルに活用しましょう。iDeCo、三つの節税メリット

 iDeCoには三つの節税メリットがあります。すぐに恩恵を感じられるのは、【1】拠出金が所得控除、です。


1:拠出金が所得控除になります

 年末調整、または確定申告によって所得控除を受け、所得税・住民税の納税額を減らすことができます。


 例えば、民間企業の勤務者で、給与収入が650万円(課税所得350万円と仮定)の方は、iDeCoで拠出額の約30%分、節税できます(復興特別所得税を勘案しない計算)。年間27万6,000円(月額2万3,000円ずつ)拠出を行う、単純計算で、年間8万2,800円の節税となります。


2:運用益が非課税となります

 運用期間中に得られる利息・配当金・売却益が、非課税となります。将来、10万円の運用益(配当金や売却益)が得られるとします。通常の課税(分離課税・単純計算)では、2万円(復興特別所得税を勘案しない計算)が税金として差し引かれます。iDeCo・NISAなど非課税制度を使っていれば、10万円まるまる受け取れます。


3:受け取り時にも節税メリットがあります

 一時金で受け取るならば、退職所得控除の対象となります。年金方式で受け取る場合は、公的年金等控除の対象となります。詳細は割愛しますが、非課税で受け取れる可能性が高いと言えます。


iDeCoに入るデメリット

 主なデメリットについても、説明します。


1:原則60歳まで引き出しができない。

 60歳になるよりも早い時期に、住宅購入や子供の教育などで使う予定があるお金ならば、iDeCoではなく、NISAで運用した方が良いと考えられます。


2:投資信託を通じて株などに投資する場合、値下がりすることもある

 投資信託で運用する場合、当然ですが、必ず資産が増加するとは限りません。値下がりする可能性もあります。運用リスクを取りたくなければ、iDeCoで定期預金に加入することもできます。


 ただし、私は、60歳まで長期運用できるお金を定期預金に置いておくのは、おすすめしません。利回りが低くて、ほとんど資産が増えないからです。短期的な値下がりリスクを負っても、長期的な資産形成に寄与すると期待される投資信託などに投資していくべきと考えています。


3:加入先によっては運営管理手数料がかかる場合があります

 ただし、楽天証券ならば、運営管理手数料は、条件なしで誰でも無料です。


専業主婦(主夫)などで課税所得ゼロだと「所得控除」メリットは無い

 iDeCoの三つの節税メリットのうち、すぐに恩恵が表れるのは、拠出金が所得控除になることでした。ただし、課税所得がゼロで、所得税を納めていない場合は、そのメリットがありません。


iDeCoでの年間拠出金上限は、勤務先や働き方によって異なる

 以下の通り、加入資格・年間の拠出金上限などが決められています。


iDeCoの概要
iDeCo(イデコ)入っていますか?NISAよりも節税メリット大きい(窪田真之)
出所:楽天証券が作成

 iDeCoに年間いくら拠出できるか、上の表に示した通り、勤務先や働き方によって異なります。iDeCo枠は、目いっぱいまで使い、三つのメリットをフルに得ていくことが良いと思います。


(窪田 真之)

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