今日は、資産形成を考えるとき、最初に検討すべき「iDeCo(イデコ)」について理解を深めるためのクイズを出します。
資産形成は、非課税投資口座で
資産形成の王道は、「長期・分散・積立投資」といわれます。私は、それにもう一つ、付け加えたいと思います。
iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)やNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)などの非課税投資口座を、使える範囲でしっかり使っていくことが大切です。
iDeCoは、NISAより節税メリットが大きいので、加入資格がある方は積極的に活用すると良いでしょう。
ただし、NISAは18歳以上の国内居住者ならば誰でも加入できるのに対し、iDeCoは加入資格のある方とない方がいます。勤務先などで加入資格の有無を確認し、加入資格があるならば活用した方が良いでしょう。
iDeCoクイズ
iDeCoについて、以下、五つの説明【A】【B】【C】【D】【E】が書いてあります。
うち一つだけ誤った説明があります。それは、どれでしょう?
説明文の中にNISAの説明も入っていますが、NISAの説明は全て正しいです。誤りを含むのは、iDeCoの説明、1カ所だけです。
【A】加入資格についての説明
iDeCoに加入できるのは、原則20歳以上、65歳になるまでです。国民年金の被保険者であることが条件です。具体的には、以下が該当します。
(1) 自営業・フリーランスなど(第1号被保険者)
(2) 会社員・公務員など(第2号被保険者)、ただし企業年金(DB・DC)加入者の一部は加入できない
(3) 第2号被保険者に扶養されている専業主婦や主夫(第3号被保険者)
60~64歳で加入できるのは、
(2) 会社員・公務員など(第2号被保険者)
(4) 国民年金の任意加入者などです。
【B】節税メリットについての説明
iDeCoについて、以下、三つの節税メリットがあります。
(1) 拠出金が所得控除になる
(2) 運用益が非課税
(3) 受け取り時も非課税になる可能性が高い(退職所得控除・公的年金など控除あり)
加入して積み立てを始めて、すぐにメリットを感じられるのが(1)です。会社員(企業年金なし)の場合、年間最大27万6,000円(月額2万3,000円)、iDeCoへ拠出(積立投資)ができます。
限度額いっぱいまで拠出すると、その年の課税所得を27万6,000円減らすことができ、その分、所得税・地方税が減ります。
例えば、民間企業の勤務者で、給与収入が650万円(課税所得350万円と仮定)の人は、iDeCoで拠出額の約30%分、節税できます(復興特別所得税を勘案しない計算)。年間27万6,000円拠出を行うと、単純計算で年間8万2,800円の節税となります。ただし、課税所得がゼロだと、このメリットは受けられません。
(2)運用益が非課税になるメリットもあります。運用で得られる利息・配当金・売買益から、特定口座(分離課税)では20.315%の源泉税が差し引かれますが、iDeCoでは税金がかかりません。
【C】受け取りについての説明
原則60歳になるまで引き出すことができません。60歳以降は、加入期間が10年以上あればいつでも引き出すことができます。最長75歳になるまで、引き出さずにiDeCo口座に入れておくこともできます。
【D】投資対象についての説明
投資対象は、主に投資信託です。投資信託を通じて、外国株・日本株・外国債券・国内債券・外国REIT(リート:不動産投資信託)・国内REITなどに投資することができます。投資信託を通じて運用することで、長期的に資産を増やしていく期待がありますが、短期的には値下がりによって元本割れすることもあります。
元本確保型の運用対象として、iDeCoで定期預金もあります。定期預金に入れておけば、長期的なリターンは低いものの、元本割れはしません。
毎月の掛け金で何に投資するか、あらかじめ配分比率を決めておきます。例えば、日本株投信25%・外国株投信25%・外国債券投信25%・国内債券投信25%と決めておけば、毎月その比率で積立投資が行われます。この投資配分は、途中で変更することもできます。
【E】スイッチング(資産の入れ替え)の説明
スイッチングはできません。
iDeCoファーストで
読者の方から、以下の質問をいただきました。
「NISAに投資する資金がありません。iDeCoをやっていますが、続けて良いですか?」
それでは回答します。
ただし、NISA投資枠が拡大しても、節税メリットがより大きいのはiDeCoという位置づけは、変わりません。加入資格のある方は、まずiDeCoを枠いっぱいまで使って貯蓄することを目指してください。iDeCoを枠いっぱい使い、「さらに余裕資金があればNISAもやる」で良いと思います。iDeCoファースト!
ただし、iDeCoにはデメリットもあります。原則60歳まで引き出しができないことです。もっと早く引き出して使う予定があるならば、iDeCoには投資しない方が良いです。
クイズの答え
誤った説明は、【E】です。
正しくは、iDeCoでは、スイッチング(投資対象の入れ替え)ができます。
【A】から【D】までの説明は全て正しいです。
iDeCoでの年間拠出金上限は、勤務先や働き方で異なる
以下の通り、加入資格・年間の拠出金上限などが決められています。
<iDeCoの概要>

iDeCoに年間いくら拠出できるか、上の表に示した通り、勤務先や働き方によって異なります。iDeCo枠は、目いっぱいまで使い、三つの節税メリットをフルに活用していくことが良いと思います。
(窪田 真之)