日経平均株価は2月以来の水準まで値を戻しましたが、日米関税交渉の行方や、混迷を極める中東情勢などが意識されて、上値は重くなりそうな状況です。こうした中、早くも猛暑日が続出していることからサマーストックに注目します。


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日経平均3万8,885円、2月来の水準

 日経平均株価は、足元の上値抵抗とみられていた3万8,500円を上回り、6月18日の取引時間中には3万8,885円と2月20日以来の水準まで上昇しました。


 東京証券取引所が公表するデータでは、外国人投資家が6月第2週(9~13日)まで11週連続で日本株の現物を買い越しています。現物・先物合計でも9週連続で買い越しています。ポートフォリオ上で低下した日本株の保有株比率を戻しているだけで日本株を積極的に買っているわけではないと考えますが、こうした買いが日経平均株価の下支えとなっているようです。


プライム市場が伸び悩む二つの要因

 一方、プライム市場の売買代金は需給イベントを除くと4兆円前後にとどまっていますので、市場エネルギーはまだ乏しいままです。


 要因の一つは、カナダで開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)で、日米関税交渉の進展が見られなかったことです。米関税方針が明確に確定しない限り、2026年3月期業績見通しは曖昧なままです。


 とくに関税の影響が大きい トヨタ自動車(7203) や ホンダ(本田技研工業:7267) など自動車株は時価総額、純利益の総額が大きいことから、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)に大きな影響を与えます。2026年3月期の業績見通しに大きな影響を与える米関税方針が明確化していないことは、業績を重視した投資を行う投資家の大きな足かせとなっています。


 7月9日の相互関税交渉の期限が迫っている中、プライム市場の大型株を中心に企業業績を材料とした中長期的な投資は引き続き手控えられるでしょう。


夏枯れ相場の買いに期待。猛暑関連株5選

 そこで、今回注目したいのは、テーマ性が高いサマーストック(猛暑関連)です。梅雨明けの発表前から、日本各地では35度を超える猛暑日が続出しています。


 株式市場では、毎年夏本番前の6月ごろから、サマーストックにスポットが当たることが度々あります。

決して「短期間で2倍」などの爆騰は期待できないのですが、機関投資家の多くが夏休み入りで売買代金が減少しがちな7月下旬から8月中旬の「夏枯れ」相場を見越した個人投資家を中心とした買いが入りやすい季節的なテーマです。


銘柄名 証券コード 株価(円)
(6月25日終値) 特色 四国化成HD 4099 1,927 プールに使用される殺菌消毒剤などを展開 アース製薬 4985 4,890 大阪・関西万博に殺虫スプレーを提供 ホシザキ 6465 5,066 全自動製氷機は世界トップクラスのシェア ワークマン 7564 5,930 ファン付きカジュアルウエアを展開 山善 8051 1,272 多機能扇風機やサーキュレーターが人気

四国化成HD<4099>

 化学品事業と建材事業を展開しており、プール用殺菌消毒剤や自動塩素供給システム「ナピックス」などの機器、除藻・脱塩素用薬剤を用いて安全で快適なプール運営を支える体制を整えています。学童施設や公共プール、レジャー施設などさまざまな利用規模・現場で使用されていることから、まさに「サマーストック」といえます。


 株式市場ではさほどサマーストックとして認知されていない気はしますが、株価は昨年7月に上場来高値2,315円をつけるなど長期的な上昇トレンドが続いています。この強い上昇トレンドはまだ継続していると考えますので、上場来高値の更新に期待します。


アース製薬<4985>

 殺虫剤の国内最大手で「アースレッド」「ごきぶりホイホイ+」などを展開しています。5月下旬、大阪・関西万博でユスリカが大量発生したことから、同社は殺虫スプレーなどの商品を万博協会に提供しました。


 株価への影響は限定的でしたが、家庭用殺虫剤の需要が増加する夏に入ることで、株価の見直し機運は高まると考えています。年初来安値圏からのしっかりとした展開に期待します。


ホシザキ<6465>

 冷凍冷蔵庫、製氷機や食器洗浄機など厨房(ちゅうぼう)機器を幅広く展開しています。全自動製氷機は世界トップクラスのシェアを誇っており、スーパーやコンビニ、教育機関、病院などさまざまな施設に提供しています。「猛暑」というキーワードに反応しやすく、株式市場では代表的なサマーストックといえます。


 米国企業買収をネガティブ視した動きが強まり、株価は年初来安値圏で推移していますが、猛暑到来を受けて、見直される展開に期待します。


ワークマン<7564>

 作業服からカジュアルウエアまで幅広いジャンルを展開しています。過去の記事でも取り上げましたが、同社もサマーストックの一角と考えます。


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 2023年にファン付きカジュアルウエアを展開し始め、2024年にキッズなどラインアップを拡充したことで「夏のワークマン」の定着化に成功しました。

株価は強い上昇トレンドが続いており、年初来高値を更新中です。この強い流れは、この夏も続くと考えます。


山善<8051>

 工作機械や物流機器など生産財関連事業のほか、家庭機器など消費材関連事業を展開しています。消費者目線では、低価格で節約志向高めな扇風機メーカーのイメージが強いでしょう。同社が展開する安価な扇風機やサーキュレーターはサポート的な存在のため、手軽に買い替え可能です。


「省エネ」「リモコン付き」「タイマー・首振り」などさまざまな機能があり、同社の製品はさまざまなサイトの売れ筋ランキング上位にランクインしています。株価は昨年8月に1,560円台をつけた後は調整局面を迎えていましたが、4月の年初来安値1,211円からはじりじりと値を戻しています。緩やかな反発に期待します。


(田代 昌之)

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