礼新医薬科技を完全子会社化、がん領域の研究開発力を強化へ

現地コード 銘柄名 01177

中国生物製薬


(シノ・バイオファーマ)


株価 情報種類

6.82HKD
(7/18現在)


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 中国の総合医薬品メーカー、中国生物製薬は7月14日、礼新医薬科技(上海)(LaNova Medicines)の株式のうち残る95.09%を実質5億90万米ドルで追加取得し、完全子会社化すると発表した。礼新医薬のプラットフォームを活用することで、がん治療ビジネスを強化する狙い。

礼新医薬はグローバル展開が期待できる複数の資産を保有することから、中国生物製薬のライセンスアウト(製造販売権利の譲渡)契約の先行き見通しもより明確になった。BOCIはさらに、PDE3/4阻害剤、JAL/ROCK阻害剤、HER2二重特異性抗体薬物複合体(ADC)など、中国生物製薬が自社開発した資産に関しても、新事業の開発(BD:ビジネス・デベロップメント)の可能性に注目。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。


 礼新医薬の株式95.09%の買収額は最大9億5,092万米ドルだが、同社が保有する約4億5,000万米ドルの現預金を差し引くと、正味約5億90万米ドルとなる。取引完了後、礼新医薬は完全子会社となり、58人から成るチームが中国生物製薬に統合される。


 この買収により、中国生物製薬は礼新医薬の四つのプラットフォームを活用し、がん領域の初期段階の研究開発能力を強化する方針。この四つはGタンパク質共役受容体(GPCR)などの複数回膜貫通型タンパク質を標的とした抗体発見プラットフォーム、プロドラッグと二重ペイロードを備えた次世代ADCプラットフォーム、条件付き免疫細胞活性化で毒性を低減する免疫細胞エンゲージャープラットフォーム、腫瘍微小環境(TME)特異的抗体プラットフォーム。現時点で臨床段階にある礼新医薬の新薬候補は8種を数えるが、うち「LM-108」(CCR8モノクローナル抗体)と「LM-302」(CLDN18.2 ADC)はすでにフェーズ3段階にあり、関連データはいずれも良好とされる。他にフェーズ2および1がそれぞれ3種。うちフェーズ2の「LM-305」(GPRC5D ADC)とフェーズ1の「LM-299」(PD-1/VEGF二重特異性抗体)はすでに、アストラゼネカとMSDにライセンスアウトした。MSDとの契約では、年内の技術移転の完了に伴い、3億米ドルのマイルストーン払いが行われる運びとなっている。


 BOCIは今回、2025年以降の同社の利益モデルに潜在的なBD収益を反映させ、2025年の医薬品売上高に関する予想を微調整。

バイオシミラー医薬品(バイオ後続品)の販売増を追い風に、2025年の2桁の利益成長達成は十分可能だとした。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。新たな目標株価は2026年予想株価収益率(PER)で30倍相当の水準となる(これまでは22倍相当)。


 レーティング面の潜在リスク要因として、BOCIはジェネリック(後発薬)製品の発売が予想より遅れる可能性、主力製品市場で競争が激化する可能性、集中調達制度による主要ジェネリック製品の薬価引き下げの可能性を挙げている。


(Bank of China int.)

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