「ストップ高」「ストップ安」という言葉を聞いたことがありますか? 聞いたことはあるけれど、正確な意味は知らないという人が多いのではないでしょうか。株の売買注文を出すとき、「指値注文」にするか「成行注文」にするかを決める上でも、ストップ高・ストップ安についてきちんと知っておくことをお勧めします。


【クイズ】ストップ高・ストップ安って何?指値・成行注文の使い...の画像はこちら >>

今日のクイズ

 今日は、東京証券取引所での株価「ストップ高(だか)」・「ストップ安(やす)」について学べるクイズを出します。


【クイズ】ストップ高・ストップ安についての説明【1】~【5】のうち、誤っているものが一つだけあります。誤っている説明はどれでしょう。


【1】東京証券取引所では、1日の売買における値動きの幅を一定に制限しています。この値幅を「制限値幅」といいます。


 制限値幅の上限まで株価が上がった状態を「ストップ高」と言います。「今日はもうこれ以上、株価は上がらない」という意味です。制限値幅の下限まで株価が下がった状態を「ストップ安」と言います。「今日はもうこれ以上、株価は下がらない」という意味です。


【2】東証上場企業について何か驚くべき材料が出た時、投資家が冷静さを失って、過剰に買い上げたり、売り込んだりするのを防止する目的で、1日の制限値幅が決められています。


「ストップ安」まで下落した銘柄は、翌営業日も株価が下がる可能性が高いものの、まれに翌日に株価が上がることもあります。1日経つことで投資家が冷静さを取り戻し、あわてて売るのを止めることがあるわけです。


「ストップ高」まで上昇した銘柄は、翌営業日も上がる可能性が高いものの、まれに翌日下がることがあります。

1日経って投資家が冷静になり、投機的な買いが抑えられることがあります。


【3】ストップ高・ストップ安となる制限値幅は、前営業日の株価水準によって異なります。以下の通り、決められています。


 証券取引所が特別に値幅を変更する場合を除き、以下の制限値幅の範囲で株価がつきます。


【クイズ】ストップ高・ストップ安って何?指値・成行注文の使い分けを学ぼう
基準値段と制限値幅

【4】2025年8月15日(金曜日)の東証終値が1,300円の銘柄の8月18日(月曜日)の制限値幅は300円です。18日に株価が1,000円まで下がるとストップ安となります。株価が1,600円まで上がると、ストップ高となります。


 ストップ安の1,000円まで株価が下がり、なお売り注文が買い注文より多くて売買が成立しない状態を「ストップ安・売り気配(うりけはい)」と言います。ストップ高の1,600円まで株価が上がり、なお買い注文が売り注文より多くて売買が成立しない状態を「ストップ高・買い気配(かいけはい)」と言います。


【5】米国の株式市場にも制限値幅、ストップ高、ストップ安があります。


指値・成行注文とは

 株や上場投資信託(ETF)を売買する時に、最もよく使われる注文が、指値(さしね)注文と、成行(なりゆき)注文です。この二つを、うまく使いこなせるようになりましょう。


【クイズ】ストップ高・ストップ安って何?指値・成行注文の使い分けを学ぼう
指値(さしね)注文と、成行(なりゆき)注文

 株価が1,000円の時、「もう少し下がれば買いたい」と思うならば、下値(例えば980円)に買い指値することが考えられます。


 ただし、株価が下がらないと買えません。もう少し、積極的に買うならば、1,000円前後に買い指値することも、考えられます。


 好材料が出た直後、急いで買いたい時は、成行で買うのが良いと思います。


正解

 誤っている説明は、【5】だけです。


【1】~【4】は全て正しい説明です。


 米国株には、1日の制限値幅がありません。ストップ高・ストップ安もありません。


 米国株は、パニック売りが出ると、1日で株価が半値になることもあり得ます。投機筋の買いで、1日で株価が50%上がることもあり得ます。値動きが激しいことに、注意が必要です。


 東証は、投資家の過剰反応を抑えるために、投資家が冷静になるための時間を与える目的で、ストップ高・ストップ安を導入しています。


 私は、日本株にストップ高・ストップ安があるおかげで、投資家の過剰反応を抑えられることが多いと考えています。特に、流動性の低い小型株で、ストップ高・ストップ安の存在は、過剰な値動きを抑える上で大切な役割を果たしていると思います。


 さて、ここで指値注文と成行注文の意味を、改めて振り返ります。


【クイズ】ストップ高・ストップ安って何?指値・成行注文の使い分けを学ぼう
成行買い注文、成行売り注文

 急いで買う時、急いで売る時は、成行で注文すべきです。私は、ファンドマネジャー時代、悪材料が出た保有株を売る時は、原則、成行にしていました。早めの損切りが重要なので、成行がベストと思っています。ストップ安・売り気配にならない限り、売れます。


 急いで買う時も成行が良いですが、そうは言っても、いったいいくらで買えるか分かりません。成行で小型株を買いに行くと、時に想定外の高値で買いが約定してしまうことがあります。成行買いは、ストップ高水準に買い指値するのと同じだからです。そんな高値ならば、買わないでよかったと思うことがあるかもしれません。


 指値の買いはとても便利です。株価が上がった時、最大いくらまでなら買っても良いと思うか、その水準に買い指値すれば良いわけです。それよりも上で買えることはありません。

それよりも低い水準で値がつけば、そこで買い約定します。


 流動性の高い大型株は成行買いも良いですが、小型株の場合は「ストップ高でも買いたい」と思わないならば、買っても良いと思える上限の値段に買い指値すべきです。


株式投資を書籍でしっかり学びたい方へ

 最後に、私の著書を紹介します。ダイヤモンド社より、株価チャートの読み方をトレーニングする「株トレ」(黄色の本)と、決算書の見方などを学ぶ「株トレ ファンダメンタルズ編」(水色の本)が出版されています。どちらも一問一答形式で株式投資の基礎を学ぶ内容です。


「 2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ 」


「 2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ ファンダメンタルズ編 」


【クイズ】ストップ高・ストップ安って何?指値・成行注文の使い分けを学ぼう
「株トレ」 シリーズ2点

(窪田 真之)

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