クラウドインフラに強みを持つ有力通信キャリア、GPUの進化で最大の恩恵銘柄に

現地コード 銘柄名 00728

中国電信


(チャイナ・テレコム)


株価 情報種類

6.22HKD
(8/15現在)


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 中国三大通信キャリアの1社、チャイナ・テレコムの2025年4-6月期決算は、サービス収入が前年同期比1.5%、純利益が同7.1%増加し、それぞれBOCIの予想の下限、上限を上回る水準に達した。BOCIはモバイルおよび無線ネットワークの共有による利払い・税引き・減価償却前利益(EBITDA)マージンの改善とクラウドビジネスのスケールメリットの拡大に注目。


 中国国内でこの先、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)の技術的なブレークスルーが実現すれば、同社に確実に恩恵が及ぶとした。目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。


 2025年4-6月期の純利益は前年同期比7.1%増の142億元と、BOCIの予想から5.4%上振れた。通信サービス収入が2.1%増の1,244億元と、同業他社を上回る伸びを達成したことが背景。産業デジタル化(DX)ビジネスの売上高は1.5%増加し、期中の売上高の上乗せ部分の48%を占めた。


 EBITDAマージンが1ポイント上昇して35.2%に達したことで、4-6月期のEBITDAは5.2%増と、サービス収入の増加率を上回る伸び。産業デジタル化事業の持続的な利益率の改善を示唆した。


 4-6月期の減価償却費はBOCIの予想(255億元)を上回る261億元。経営陣によれば、2024年に配置した1万に上るGPU搭載のインテリジェントコンピューティング・クラスターが、同費用の上乗せ分の5割以上を占めた。


 一方、上期の設備投資は342億元と、前年同期比27.5%縮小し、対売上高比率は13.7%まで低下した。BOCIは大規模5G・4Gネットワークの共有が設備投資の抑制に寄与したとの見方。海外同業他社が本来必要性の薄い計算力ネットワークの構築に設備投資の大半の振り向けていることを考慮すれば、同社の設備投資の低減は印象的だとしている。


 また、営業費用の対売上高比率も、引き続き改善傾向にあり、これもモバイルネットワークの共有が寄与した可能性が高いとしている。


 中間配当は前年同期比8.2%増の1株当たり0.1812元(上期利益に対する配当性向は72%)の予定。増配を通じて株主還元を強化する姿勢を示した。BOCIはクラウドおよびAI投資において、同社が国内最大級であると指摘し、国内のGPU分野におけるブレークスルーにより、最大の恩恵を受けるとの見方。同社を本土通信セクターのトップピック銘柄としている。


 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、中国政府による通信料金規制が売上高と利益に多大な影響を及ぼす可能性を指摘。ほかに、同社を対象とした米国の制裁措置が株価に影響する可能性にも言及している。


(Bank of China int.)

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