エヌビディアの2026年1月期2Qは、55.6%増収、52.6%営業増益。中国向けが減少したが、高単価のBlackwellが本格出荷されたため、米国向けが好調。
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「 決算レポート:エヌビディア(今2Qは米国向けが増加し、中国向けの減少を吸収。「Rubin」が生産に入った) 」
本レポートに掲載した銘柄: エヌビディア(NVDA、NASDAQ)
1.エヌビディアの2026年1月期2Qは、55.6%増収、52.6%営業増益。
エヌビディアの2026年1月期2Q(2025年5-7月期、以下今2Q)は、売上高467.43億ドル(前年比55.6%増)、営業利益284.40億ドル(同52.6%増)となりました。売上総利益率は72.4%となり、今1Qの60.5%より上昇しました。ただし、前2Q75.1%よりは売上総利益率が低下しました。前2Qは生産効率が良い「H100」の生産が多かったためです。なお、今1Qの売上総利益率が低かったのは、今1Qにあった中国向け「H20」が米国政府の輸出規制強化によって輸出できなくなり減損したためです。
また、研究開発費を含む販管費は前年比37.7%増、売上高販管費比率は前2Q13.1%から今2Q11.6%へ低下しましたが、売上総利益率が低下したため、営業利益率は前2Q62.1%から今2Q60.8%へ低下しました。
市場別売上高を見ると、データセンター向けは410.96億ドル(同56.4%増)となりました。単価の高い「Blackwell」が主力製品となったため、高い伸びになりましたが、今1Qの前年比73.3%増よりは増収率は低下しました。これは中国向けが減少したためです。
データセンター向けの中で、コンピュート(AI半導体)は338.44億ドル(同49.7%増)、ネットワーキング(ネットワーク機器)は72.52億ドル(同97.7%増)となりました。Blackwellは大型システムとして販売するケースが増えている模様なので、ネットワーキングの伸びが大きくなりました。
ゲーミングは新型のグラフィックボードが好調だったため42.87億ドル(前年比48.9%増)となりました。
地域別売上高を見ると、米国向けが今1Q207.39億ドル→今2Q234.70億ドルと好調でした。米国国内のデータセンター投資が好調でした。シンガポール向けは同90.17億ドル→101.56億ドルと伸びましたが、シンガポールのデータセンター向け売上高の99%が米国を拠点とする顧客向けでした。中国向けは同55.22億ドル→27.69億ドルと減少しました。中国向け「H20」が4月に米国政府の決定で輸出禁止になったためです。
また、2026年後半に出荷開始予定の「Rubin(ルービン)」が生産開始となりました。
表1 エヌビディアの業績

表2 エヌビディアの市場別売上高(四半期)

グラフ1 エヌビディアの地域別売上高:四半期

表3 エヌビディア:楽天証券業績予想の詳細(四半期)

2.Blackwellの需要が好調。今3Qも大幅増収増益へ。
会社側の今3Q業績ガイダンスは、売上高は540億ドル±2%。売上総利益率は73.3%(GAAP(米国会計基準)ベース)±0.5%、売上総利益率は今期末に向けて70%台半ばに上昇する見込み。研究開発費を含む販管費は59億ドル(GAAPベース)、今年度では30%台後半の伸びを見込む。営業外収支は5億ドルのプラス。税率は16.5%±1.0%です。これをもとに会社側ガイダンスのレンジ平均値を計算すると、売上高540億ドル(前年比53.9%増)、営業利益336.80億ドル(同54.0%増)となります。会社予想売上高に中国向けは入っていません。楽天証券予想も会社予想と同じとします。
ただし、会社側は中国向けに今3Qに20~50億ドルの「H20」売上高があり得るとしていますが、これは米国政府のライセンス次第です。
会社側は今2Q決算電話会議において、今後の世界のデータセンター投資、AI投資について強気の見方を示しました。データセンター投資については、2025年、2026年ともに大型投資が続くと見ている模様です。会社側のこれらの見方と、今2Q実績、今3Qガイダンスを参考に、楽天証券では、2026年1月期を売上高2,070億ドル(前年比58.6%増)、営業利益1,233億ドル(同51.4%増)、2027年1月期を売上高2,720億ドル(同31.4%増)、営業利益1,710億ドル(同38.7%増)と予想します。今期、来期とも楽天証券予想を下方修正します。
楽天証券業績予想を下方修正した理由は、会社側は今後のデータセンター投資について強気ですが、私は不透明感を感じているからです。今後のデータセンター投資をどう見るかについては、別でレポートするつもりですが、グラフ2~5を見る限り、クラウドサービス大手3社+メタ・プラットフォームズの設備投資があまりにも大きくなっているため、この伸びが2026年にも続くのか不透明感があります。巨額投資を続ける会社の中には、アマゾンのように収益力を超える投資を行っているのではないかと思われる会社も出ています。また、これら現在の大口需要家に匹敵する新規のAI半導体需要家が来年現れるか不透明感があります。会社側は、中東で計画されている大型データセンターや、国ごとにデータセンターを作るソブリンAIに期待していますが、その成果を確認できるようになるのは来年になると思われます。
また、エヌビディアの有力な競争相手に浮上しつつある、特注型AI半導体メーカーであるブロードコムとの競争状態がどうなっているのかも、不透明要因の一つです。ブロードコムの特注型AI半導体の顧客名は公表されていませんが、大手クラウドサービス会社や大手IT会社のデータセンターに採用されていると思われ、その数量は増加している模様です。
表4 エヌビディアの市場別売上高(年度)

表5 エヌビディア:楽天証券業績予想の詳細(通期)

グラフ2 米国の大手IT設備投資動向:四半期

グラフ3 米国の大手ITの営業キャッシュフロー動向:四半期

グラフ4 米国大手IT4社の設備投資合計/営業キャッシュフロー合計

グラフ5 米国大手ITの設備投資

3.今後6~12カ月間の目標株価を、前回の160ドルから180ドルに引き上げる。
エヌビディアの今後6~12カ月間の目標株価を、前回の160ドルから180ドルに引き上げます。
9月4日(木)にブロードコムの2025年10月期3Q(2025年5-7月期)決算が発表されます(日本時間では9月5日(金)早朝)。ブロードコムの決算によって、足元と2026年に向けてのAI半導体の競争状態が把握できると思われます。エヌビディアがAI半導体で一強の存在ではないことが明らかになってくれば、株価の動きに影響が出る可能性があります。また、2026年のデータセンター投資が今年並みに伸びるのか伸びが鈍化するのか不透明感があります。
一方で、会社側は600億ドルの自社株買いを発表しました。これは株価に対してプラスの効果があると思われます。
業績以外にこれらのことを考慮して、目標株価を180ドルとしましたが、ブロードコムの決算発表後変更する可能性もあります。
投資リスクに見合った投資リターンを得ることは難しいと思われます。
本レポートに掲載した銘柄: エヌビディア(NVDA、NASDAQ)
(今中 能夫)