2025年上期決算は予想下振れ、米ファイザーによる「707」治験が今後の焦点に

現地コード 銘柄名 01530

三生製薬


(スリーエスバイオ)


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(9/2現在)


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 中国の大手バイオ医薬品メーカー、三生製薬の2025年6月中間決算は、売上高が前年同期比0.8%減の43億6,000万元、調整後純利益が2.1%増の13億6,000万元と、いずれもBOCIの予想を下回った。


 低分子医薬品「Mandi(蔓迪)」が伸びる半面、既存の主力製品「TPIAO(特比澳)」、EPO(遺伝子組み換えヒトエリスロポエチン)系製品、「Yisaipu(益賽普)」などは減収だった。


 BOCIはこの先、米ファイザーによる「707」(PD-1/VEGF二重特異性抗体)の開発計画と、ESMO(欧州臨床腫瘍学会)年次総会の場で発表される大腸直腸がん治療用の「707」治験フェーズ2のデータが焦点になるとの見方。主に「707」関連の売上見通しのアップデートを反映させる形で、目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。


 三生製薬の上期業績は低調で、売上高は前年同期比0.8%減(前期比では8%減)。売上全体の54%を占めるTPIAOが4%減収(同8%減)、EPO系列が12%減収(同9%減)だった。


 TPIAOの2024年実績の高さや、医療保険支出に対する管理の厳格化、競争激化、集中調達制度などが響いた。傘下の三生国健薬業の上期の売上高は、医薬品開発製造受託(CDMO)事業の成長を背景に9%増。


 品目別では、消費環境の低迷にもかかわらず脱毛症関連製品が好調で、24%増収を達成した(売上構成比16%)。一方、上期の調整後純利益は2.1%増。経営陣は業績見通しを据え置いたが、2025年通期に前年比2桁増収、2桁の実質増益という従来目標の達成はかなり難しくなった。


 三生製薬は2025年に入り、自社開発の「707」を米ファイザーにライセンス供与した。契約内容を見ると、前払金は12億5,000万米ドルで、マイルストーン払いが最大48億米ドル。さらに段階的なロイヤルティー(2桁%)支払いや1億米ドルの株式引き受けが含まれ、中国での商業化権を取得するオプションが1億5,000万米ドル。


 ファイザーの短期的な目標は、非小細胞肺がんやその他固形がんを対象とした治験フェーズ3を世界規模で開始すること。同時に、胸部がん、泌尿生殖器がん、消化器がんを適応症とする可能性や自社の抗体薬物複合体(ADC)療法との併用の可能性を探ることにあるという。


 一方、三生製薬は2026-28年に新製品の相次ぐ承認を見込む。尋常性乾癬(PsO)治療用の「608」や急性痛風性関節炎治療薬の「613」、成人アトピー性皮膚炎向けの「611」、ぜんそく治療薬の「610」などが含まれる。


 BOCIは既存製品の予想売上高を下方修正する半面、「Mandi」に関する予想を上方修正。さらに中国事業独占権をめぐるファイザーからの1億5,000万米ドルの支払いを反映させる形で、2025-27年の予想売上高を引き上げた。


 また、ファイザーからの15億米ドルの支払いを見込み、利息収入の予測を上方修正。ディスカウントキャッシュフロー(DCF)モデルに基づく目標株価を引き上げ、株価の先行きに強気見通しを維持した。


(Bank of China int.)

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